職場でどう思われているか気になるということを聞いたことがあります。また、SNSの反応が気になって何度もスマホを見てしまうということも聞いたことがあります。そして、そんな風に、人の評価を気にしすぎて疲れ果ててしまう人がいます。また、ほとんど他人の評価を気にしない人もいます。
そして、他人の評価を気にする人が、自分が打たれ弱いからだと考えがちです。また、自己肯定感が低いからだと自分を責めてしまいがちです。しかし、「社会的脅威の過敏性」と呼ばれるメカニズムが関係しているようです。
そこで、このブログでは、なぜ人の評価が気になりすぎてしまうのかについて注目することにしました。そして、拒絶の痛覚、社会的脅威の過敏性、条件付き自己受容の罠、評価の過敏性をやわらげる対処法について調べましたので以下に説明します。
集団から排除される恐怖!進化心理学に見る「拒絶の痛覚」
なぜ、他人の視線や評価にこれほどまでに強い恐怖を感じるかという疑問が浮かびます。そして、そこには、狩猟採集社会において「集団からの追放」はそのまま「死」を意味していました。そのため、人間の脳は「他者からの拒絶=生命を脅かす緊急事態」と認識するように進化してきました。
また、社会的拒絶や他者からの否定的な評価を受けたときに反応する脳部位に背側前頭帯状回があります。そして、身体的な痛みを引き起こしたときに反応する部位と全く同じであることが分かっています。つまり、人の評価が怖い、否定されるのが辛いと感じるのは、脳が痛覚として捉えているからです。そして、生命を守るための自然な生存本能ということになります。
脳の警報装置が暴走する「社会的脅威の過敏性」
すべての人が同じように評価を恐れるわけではありません。この拒絶に対する警戒レベルが異常に高まった状態が、「社会的脅威の過敏性」です。そして、脳の危険察知センサーである「扁桃体」が過敏になると、周囲の環境に含まれる微細なネガティブシグナルを過剰に拾い上げるようになります。例えば、以下のような状態です。
- すれ違った同僚の表情が硬い ➔ 「私を嫌っているのではないか」
- チャットの返信が短い ➔ 「怒らせるようなことを書いたかもしれない」
- 会議での発言後の沈黙 ➔ 「つまらない発言だと思われた」
このように、実際には中立的または無関係な他者の言動があったとします。しかし、脳が「社会的攻撃(=脅威)」と誤判定して警報を鳴らし続けてしまうのが、過敏性の正体です。
「他者評価=自分の価値」という条件付き自己受容の罠
評価過敏に拍車をかけるのが、認知の構造です。つまり、「他者からの評価」と「自分の人間的価値」を直結させてしまうというものです。また、この状態に陥ると、外部からの承認が「自分の存在を維持するための酸素」のようになります。そして、評価が下がることは「自分の存在価値がゼロになること」と同義になります。
- 自己評価の外部委託: 他人が認めてくれて初めて「自分には価値がある」と思えます。
- 全か無か思考: 完璧な評価を得られないなら「完全に失敗した」と感じます。
つまり、他人の評価は、その人の気分や体調、個人的な価値観によって刻一刻と変動する不確実なものです。そして、その不安定な指標に自分の価値を預けてしまうため、常に不安と緊張がつきまとうことになります。
評価の過敏性をやわらげる3つの具体的アプローチ
過剰に働いている脳の警戒システムを鎮め、過敏性を緩和することが必要になります。そして、緩和するためには、心理療法(認知行動療法など)に基づいた以下のアプローチが効果的です。
① 「脱フュージョン(脱結合)」で脳の誤作動を客観視する
「評価されるのが怖い!」という感情に呑み込まれそうになります。そして、その際にはその思考と自分を少し切り離します。つまり、「今、私の脳の扁桃体が過剰に警戒して、『社会的脅威シグナル』を出しているな」と認識します。そして、他人事のように心の中で実況中継(ラベル貼り)を行います。
② 「事実」と「他人の解釈」を切り離す(課題の分離)
相手があなたをどう評価するかは、100%「相手の課題」です。つまり、同じ発言をしても素晴らしいと評価する人もいれば面白くないと評価する人もいます。そして、相手のフィルターを通して出てきた評価は、あなた人間そのものの価値ではありません。そこで、単なる「相手の感想」に過ぎないと割り切る練習をします。
③ 「安全基地(Psychological Safety)」を身近に確保する
評価や成果に関係なく、自分をありのまま受け入れてくれる環境や存在を意識的に持ちます。例えば、家族、親友、ペット、あるいは没頭できる趣味の時間などです。そして、「ここに戻れば安全だ」と思える拠点(安全基地)を作ります。そうすることで、脳は社会的脅威に対して過剰に警戒する必要がなくなっていきます。
まとめ
ここまで、拒絶の痛覚、社会的脅威の過敏性、条件付き自己受容の罠、評価の過敏性をやわらげる対処法について説明しました。まず、拒絶の痛覚について、集団から排除される恐怖!進化心理学に見る「拒絶の痛覚」を説明しました。つぎに、社会的脅威の過敏性について、脳の警報装置が暴走する「社会的脅威の過敏性」を説明しました。続いて、条件付き自己受容の罠について、「他者評価=自分の価値」という条件付き自己受容の罠を説明しました。最後に、対処法について、3つの方法を説明しました。
まず、評価が怖いのは決してあなたの意志が弱いからではありませんでした。そして、人の評価が気になりすぎてしまうのは、あなたの脳があなたを守ろうとしているからでした。そこで、「社会的脅威」に過剰に反応しているからでした。そのため、あなたが弱いからでも、性格に問題があるからでもありません。まず、「評価は相手の課題」「脳がちょっと過敏になっているだけ」と受け止めます。そして、少しずつ「自分が自分を認める軸」を太くすれば楽になるような気がしました。

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