喫茶店、ショッピングモール、デパートなどいたるところでBGMが流れています。また、家での勉強中や作業中だけでなく、会社などでも流されているようになってきています。そして、このようにBGMはより身近になってきています。また、ショッピングモールやスーパーを歩いていると当たり前のようにBGMが流れています。そして、「気づいたら店内の音楽のテンポに合わせて歩いていた」 。こんな経験はないでしょうか。私も、いつもではないのですが、そのようになっていることがあります。
しかし、この現象は偶然ではないようです。そして、そこには人間の脳がリズムに自動的に同期する性質が関係しているようです。加えて、テンポが覚醒水準や行動ペースに影響する性質も関係しているようです。
そこで、このブログでは、音楽テンポが歩行速度への影響に注目することにしました。そして、BGMのテンポで歩いてしまう理由、音楽に対する印象の影響、店側のマーケティングについて調べましたので以下に説明します。
BGMのテンポで歩いてしまう理由
音楽テンポが行動ペースに影響することは科学的に確認されている
背景音のテンポが速いほど、歩行速度や作業速度が上昇することは多くの研究、報告されています。そして、 特に、テンポが速い音楽を聴くと 行動ペースが加速する ことが示されています。
また、歩行者を対象とした研究では、 120 bpm前後のテンポが歩行リズムと最も同期しやすい という結果もあります。
なぜテンポに歩調が合うのか:感覚運動同期(Sensorimotor Coupling)
人間は、外部のリズムに対して身体運動を自動的に同期させる傾向があります。そして、これは 感覚運動同期(sensorimotor coupling)と呼ばれます。この感覚運動動機には、以下に示されている理由があります。
- 音の間隔(拍)を脳が予測する
- その予測に合わせて運動のタイミングが調整される
- 結果として「歩くテンポ」が音楽に引っ張られる
加えて、この同期は、音楽のリズムが規則的であるほど強く起こります。そして、規則的なリズムが歩行速度を変化させる鍵になるとも言われています。
テンポが覚醒水準を変化させる
テンポの速い音楽は、心拍数、呼吸などの脳の覚醒水準を上昇させることが知られています。そして、覚醒が上がると、 内的な時間感覚(internal clock)が速く進みます。そのため、行動ペースが自然と速くなります。ただし、研究によっては「覚醒だけでは歩行速度の変化を説明できない」とされ、 リズムの規則性やテンポの変化の文脈(速くなる・遅くなる)も重要 とされています。
音楽の“印象”も歩行速度に影響する
テンポだけでなく、音楽の情動的な印象(明るい・軽快・安心感など)も歩行速度に影響します。その影響について以下に示します。
- 明るく活動的な音楽 → 歩行速度が上昇
- リラックス系の音楽 → 歩行速度が低下
という傾向が確認されています。
つまり、店内BGMはテンポだけでなく「雰囲気」でも歩行行動を変化させます。
店側はこの効果をマーケティングに利用している
スーパーマーケットやショッピングモールでは、 BGMのテンポを調整することで、回遊速度、滞在時間、購買行動をコントロールする試みが行われています。そして、科学的根拠があるため、実際の店舗設計でも活用されています。
- 速いテンポ → 店内の流れを速くする
- 遅いテンポ → ゆっくり見てもらう
まとめ
ここまで、BGMのテンポで歩いてしまう理由、音楽に対する印象の影響、店側のマーケティングについて説明しました。まず、BGMのテンポで歩いてしまう理由について、音楽テンポが行動ペースに影響する、感覚運動同期、テンポが覚醒水準を変化させるを説明しました。つぎに、音楽に対する印象の影響について、歩行速度との関係について説明しました。最後に、店側のマーケティングについて、回遊速度、滞在時間、購買行動をコントロールする試みが行われていることを説明しました。
まず、BGMのテンポで歩くことについて、これまでの内容を整理すると以下のようになります。
- 音楽テンポは歩行速度に影響することが科学的に確認されている
- 人間は外部リズムに自動的に同期する性質がある(感覚運動同期)
- テンポは覚醒水準を変化させ、行動ペースを加速・減速させる
- 音楽の情動的印象も歩行速度に影響する
- 店舗ではBGMを戦略的に使い、行動をコントロールしている
つまり、「音楽のテンポで歩いてしまう」現象は、 脳の予測機能・感覚運動統合・覚醒の変化など、 複数の科学的要因が重なって自然に起こるものでした。そう言えば、自分が聴いている音楽でなくても、流れている音楽でもリズムをとっていることがありました。確かにその行動は無意識でした。人間の生存本能とはどこで関係しているかはわかりませんが、どこかで関係していて、そしてこの機能が残ってきたような気がしました。


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