職場で、「いつでも相談してね」という言葉はよく耳にすることがあります。そして、私自身も言われたことがあります。加えて、テレビのドラマなどでも耳にしたことがあります。しかし、実際にはその上司に相談した記憶がありません。そういう言葉をかける上司ほど相談しづらいということはないでしょうか?
そして、そういう上司ほど相談しにくいということには理由があるようです。また、その相談のしづらさは、部下の気のせいではないようです。そして、そこには、言語メッセージと非言語メッセージの矛盾が生む心理的拘束があるようです。つまり、「ダブルバインド(二重拘束)」が関係しているようです。
そこで、このブログでは、上司の“言葉”と“態度”のズレがなぜ相談しづらさに注目することにしました。そして、「いつでも相談してね」が相談しづらい理由を生むのか、上司、部下の視点、ダブルバインドを避けるためのヒントについて調べましたので以下に説明します。
「いつでも相談してね」が相談しづらい理由
ダブルバインドとは何か
ダブルバインドは、 矛盾する2つのメッセージが同時に提示され、どちらにも適切に反応できない状態を指します。そして、特徴は次に示す3つです。このようなことがある職場ではこの構造が頻繁に起こります。
- 矛盾するメッセージが同時に存在する
- どちらかを選ぶともう一方を否定することになる
- 矛盾を指摘することも許されない
「いつでも相談してね」がダブルバインドになる理由
上司が発するメッセージは大きく言語メッセージと非言語メッセージの2種類があります。以下に説明します。
- 言語メッセージ(Verbal)
「いつでも相談してね」 「遠慮しなくていいよ」 - 非言語メッセージ(Non-verbal)
- 忙しそうな表情
- 話しかけると不機嫌そう
- パソコンから目を離さない
- 相談すると「今それ必要?」と冷たい反応
- ミスを相談すると怒る
そして、この言語と非言語の矛盾が、部下にダブルバインドを引き起こすことになります。
非言語メッセージは言語より強く脳に影響する
認知心理学では、人は言語より非言語情報を優先して解釈することが知られています。そして、その理由は次の通りです。
- 非言語情報は脳の「情動系」で処理される
- 表情・声のトーンは危険察知に直結する
- 言語より処理速度が速い
- 生存に関わる情報として優先される
そのため、上司がどれだけ「相談してね」と言っても、 非言語メッセージが「相談するな」と伝えてしまえば、 脳はそちらを優先することになります。
部下、上司の視点
部下が感じる“心理的拘束”
矛盾したメッセージを受け取ると、部下は以下のよう状態になります。そして、このような状態になるのは、典型的なダブルバインドの症状になります。
- 相談すると怒られるかもしれない
- 相談しないと「なぜ相談しない」と言われる
- どちらを選んでも否定される
- 矛盾を指摘すると関係が悪化する
- 結果として「何もできない」状態になる
なぜ上司は矛盾したメッセージを出してしまうのか
また、上司側にも心理的背景があります。つまり、上司自身が自分の言葉と行動の矛盾に気づいていないケースです。その状況について、以下に示します。
- 忙しさから余裕がない
- 「相談されると仕事が増える」と感じている
- 自分の態度が部下にどう見えているか自覚がない
- 言語メッセージだけで関係を築けると思っている
- 「心理的安全性」の理解が浅い
ダブルバインドを避けるためのヒント
- 非言語メッセージを整える
- 表情
- 声のトーン
- 反応の一貫性
これらが言語と一致しているか確認します。
- 相談の“条件”を明確にする
「午前中は忙しいから、午後なら相談しやすいよ」。または、 「5分だけならすぐ聞けるよ」などです。このようにして、 曖昧さを減らすことで矛盾が消えます。 - 相談を受けたときの反応を統一する
怒らない、否定しない、「相談してくれて助かった」と言います。これだけで心理的安全性が大きく向上します。
まとめ
ここまで、「いつでも相談してね」が相談しづらい理由を生むのか、上司、部下の視点、ダブルバインドを避けるためのヒントについて調べましたので以下に説明します。まず、その理由について、ダブルバインドとは何か、「いつでも相談してね」がダブルバインドになる理由、非言語メッセージの影響について説明しました。つぎに、上司、部下の視点について、部下が感じる“心理的拘束”、なぜ上司は矛盾したメッセージを出してしまうのかを説明しました。最後に、ダブルバインドへのヒントについて、3つの項目を説明しました。
ここで、「いつでも相談してね」が相談しづらい理由について整理します。
- 「いつでも相談してね」が相談しづらいのはダブルバインドが起きているため
- 言語より非言語メッセージが脳に強く影響する
- 矛盾したメッセージは部下を“動けない状態”にする
- 上司は矛盾に気づいていないことが多い
- 非言語の整合性と相談の条件提示がダブルバインド解消の鍵
職場の相談しづらさは、個人の性格ではなくコミュニケーション構造の問題でした。そして、この仕組み科学的に理解することで改善が可能なような気もしました。そう言えば、私も「いつでも相談してね」と言われたことはありますが、相談したことがありませんでした。今思い起こせは、非言語メッセージの部分で避けていたような気がしました。非言語の部分の雰囲気も結構重要なことを再確認しました。

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