財布やスマホ、メガネなどをどこに置いたか忘れてしまい探し回ることがあります。そして、記憶を頼りにいろいろな場所を探し回ります。そして、財布やスマホを置いたはずなのにと探し回ります。しかし、気づけばあそこは探し終わったなど「探した場所」ばかりが記憶に残っています。このような経験をしたことはないでしょうか?
しかし、この現象は、記憶力の低下ではないようです。それは、脳の記憶システムが持つ“偏り”によって起きているようです。つまり、人は、置いた瞬間よりも「探しているとき」のほうが強い感情と注意を使うため、記憶がそちらに偏ってしまうようです。そして、なぜ置いた場所を忘れ、探した場所を覚えるのかということが気になりました。
そこで、このブログでは、置いた場所より、探した場所を覚えてしまうことに注目することにしました。そして、探し物における注意と感情、探し物における記憶、探し物は「未完了タスク」になるため記憶に残るについて調べましたので以下に説明します。
探しものにおける注意と感情
記憶は「注意を向けた瞬間」に強く残る
記憶は、経験したすべてが残るわけではありません。つまり、脳は「注意を向けた情報だけ」を選んで記憶します。そして、これは 選択的注意(Selective Attention) と呼ばれる仕組みです。
置いた瞬間は“自動行動”で注意がほぼゼロ
そして、財布やスマホを置く行為は、習慣的、無意識、自動化された行動になっていることが多いです。そのため、自動化された行動は、脳が「注意を向ける必要がない」と判断するため、記憶として保存されにくくなります。
探しているときは注意が最大化する
探し物をしているときは、焦り、不安、緊張が高まり、注意が一点に集中します。そして、注意が強いほど記憶が強く残るため、探した場所のほうが記憶に刻まれることになります。
探し物には「感情」が強く伴うため記憶が濃くなる
記憶は、感情が強いほど残りやすいという特徴があります。そして、これは 情動記憶(Emotional Memory)と呼ばれ、扁桃体が関与します。
探し物は“小さな危機”として脳が処理する
財布やスマホが見つからないとき、脳は軽い危機状態になります。そして、「失くしたかもしれない」という不安が扁桃体を刺激し、記憶の定着を強めます。
置いた瞬間は感情がほぼゼロ
置くときは、平常心、無感情、ルーティンであるため、記憶が弱くなります。つまり、感情の強度の差が記憶の偏りを生むということになります。
探し物における記憶
探し物は「検索記憶」を強く刺激する
記憶は、保持(覚えている)、検索(思い出す)の2段階で成り立っています。そして、探し物は、この「検索」のプロセスを強く刺激します。
検索行動は記憶を強化する
探している間、脳は 「どこに置いたっけ?」と何度も検索を試みます。そして、検索を繰り返すほど、検索に使った場所の記憶が強化されるという特徴があります。
置いた場所は検索されない
置いた瞬間は検索が行われないため、記憶が弱いままになります。
探し物は「探索行動の記憶」が残りやすい
人間の脳は、探索行動(探す行動)を強く記憶する性質があります。そして、これは進化心理学的な理由があります。
探索行動は生存に直結していた
人類の歴史では、
- 食べ物を探す
- 危険を探す
- 仲間を探す といった探索行動は生存に直結していました。
また、そのため、脳は探索行動を優先的に記憶する仕組みを持っています。そして、財布やスマホを探す行動も、この仕組みに乗ってしまうため、探した場所の記憶が強く残ります。
探した場所は「複数回確認する」ため記憶が強化される
探し物をするとき、同じ場所を何度も確認することがあります。
繰り返し確認=記憶の強化
記憶は繰り返すほど強くなります。そして、探した場所は、見た、開けた、もう一度見たというように、複数回確認されるため記憶が強く残ります。
置いた場所は“一度きり”
置いた瞬間は一度しか経験しないため、記憶が弱いままです。
探し物は「未完了タスク」になるため記憶に残る
探し物は、心理学でいう ツァイガルニク効果を引き起こします。
未完了タスクは脳に残り続ける
探し物は「まだ見つかっていない」という未完了状態です。そして、脳は未完了のタスクを強く記憶し、注意を向け続けます。そのため、探した場所の記憶が濃く残るという現象が起きます。
完了した瞬間に記憶が薄れる
見つかった瞬間、タスクは完了します。そして、そのため、置いた場所の記憶はさらに弱くなります。
まとめ
ここまで、探し物における注意と感情、記憶、探し物が「未完了タスク」になるについて調べましたので以下に説明します。まず、注意と感情について、記憶は「注意を向けた瞬間」に強く残る、探し物には「感情」が強く伴うため記憶が濃くなるを説明しました。つぎに、記憶について、探し物は「検索記憶」を強く刺激する、探し物は「探索行動の記憶」が残りやすい、探した場所は「複数回確認する」ため記憶が強化されるを説明しました。最後に、探し物が「未完了タスク」になるについて、未完了タスクは脳に残り続ける、完了した瞬間に記憶が薄れるを説明しました。
まず、財布やスマホを置いた場所より「探した場所」を覚えてしまうのは、
- 置いた瞬間は注意が弱い
- 探しているときは感情が強い
- 検索行動が記憶を強化する
- 探索行動は脳が優先的に記憶する
- 繰り返し確認するため記憶が濃くなる
- 未完了タスクとして脳に残る といった複数の心理メカニズムが同時に働くためでした。
つまり、これは記憶力の低下ではなく、脳の記憶システムが持つ自然な偏りによって起きている現象ということになります。そして、次に探し物をしたとき、「探した場所ばかり覚えているのは脳の仕組みなんだ」と理解すると、少し気持ちが楽になるような気がしました。
よくスマホや財布に限らずよくどこかに置いて探し回るということがあります。そして、なんでこんな所に置いたのか?ということが多々あります。そこで、何かを取った際に、その代わりに置くのには注意しなければいけないような気がしました。

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