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なぜランダムなのに「偏り」を感じるのか?シャッフルやガチャに騙される心理学

心理
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 スマホのシャッフル再生、何千曲もあるのになぜか同じアーティストの曲ばかり続けて流れる。また、アプリのガチャ、当たる確率は10%のはずなのに、30回連続で外れる。これは、絶対に運営が確率を操作していると思ったりしています。日常生活の中で、こんな風に「ランダムなはずなのに、明らかに何かが偏っている」と感じたことはないでしょうか?

 おみくじで3年連続「大吉」を引いたり、カジノのルーレットで「赤」が5回連続で出たりします。すると、私たちは「今、とんでもない波が来ている!」と興奮します。逆に、「何か見えない力が働いているのでは……」と不気味に思ったりします。そして、あまりに偏りが続くと、科学的な確率よりも、自分の直感や「運命」を信じたくなります。

 しかし、スマホの運営が裏に不正があるわけでも、神が舞い降りているわけでもないようです。実は、「人間の脳は、完全なランダムを正しく認識できないシステム」になっているようです。心理学や統計学の世界では、私たちが勝手にランダムの中にストーリーや偏りを見出してしまう現象を「クラスター錯覚」と呼び、脳が進化の過程で身につけた「愛すべき過剰防衛」の結果であると説明されています。

 このブログでは、脳が「ランダム」をこれほどまでに嫌い、勝手に偏りを作り出してしまうことに注目しました。そして、その心理トリック、バグる要因、関係の裏話について調べましたので以下に説明します。そして、日常のあらゆる「偶然」の見え方がガラリと変わり、確率に振り回されない知的な視点が身につくことを目指しています。

脳はランダムが大嫌い!勝手に「偏り」を作る3つの心理トリック

 「何の意図もない、ただの偶然」を、脳が勝手に「意味のあるドラマ」に書き換えてしまいます。ここでは、代表的な3つの脳のバグを以下に説明します。

意味のない場所にドットを繋ぐ「クラスター錯覚」

 何の規則性もないランダムなデータの中に、勝手に「塊(クラスター)」や「パターン」を見出してしまう脳のバグをクラスター錯覚と呼びます。例えば、コインを10回投げて、以下のような結果が出たとします。

 全体を数えれば「表5回・裏5回」で、これ以上ないほど綺麗な五分五分のランダムです。しかし、人間の脳は全体を見ず、最初の「表が4連続している部分」だけを脳のハサミで切り取って、「おい、このコインはおかしい!表ばかり出るぞ!」と大騒ぎしてしまいます。

「今、波が来ている」という大いなる勘違い「ホットハンド誤謬」

 バスケットボールで、ある選手がシュートを3回連続で決める。すると、周囲は「今、あの選手には勝利の神(ホットハンド)が憑いている!」と信じ込みます。これがホットハンド誤謬(ごびゅう)です。しかし、統計学者が何千ものシュートデータを徹底的に解析しました。その結果、次にシュートが決まる確率は、過去に連続で決まったかどうかとは一切関係がありませんでした。そして、その選手の平均成功率と同じ(完全にランダム)であることが証明されました。そして、パチンコやゲームのガチャで「今、当たりが出やすい時間帯(波)が来ている!」と感じます。しかし、これも上記のホットハンド誤謬であり全く同じ脳の錯覚です。過去の結果は、未来の確率に1ミリも影響を与えません。

後から標的の「的」を描く「テキサス・シャープシューターの罠」

 ある銃の撃ち手が、壁に向かってデタラメに銃を乱射しました。その後、たまたま弾痕が密集している場所に後からきれいな「的(まと)」を描きました。そして「私は百発百中の天才スナイパーだ!」と主張しました。これが心理学でいうテキサス・シャープシューター(テキサスの狙撃手)の謬論です。私たちは、日常にある無数のランダムな出来事の中から、「たまたま一致した2〜3の偶然」だけを後からピックアップして、「これは運命の偏りに違いない」と思い込んでしまう性質があります。

なぜ脳はバグるのか?原因は原始時代の「サバイバル本能」だった

 そもそも、なぜ人間の脳はランダムを拒絶し、偏り(パターン)を探そうとするのでしょうか?その理由は、私たちの先祖が命がけで生きていた原始時代のサバイバルにあります。原始時代において、「何も規則性のないランダムな自然現象」の中から、以下のような、わずかな偏りやパターンを「超高速で察知できる個体」だけが、敵から生き延びることができたました

  • 「雲の形がいつもと違う ➔ 大雨(危険)が降るぞ」
  • 「草むらがガサガサと揺れた ➔ 猛獣(敵)が潜んでいるぞ」

 たとえそれが「ただの風のいたずら(ランダム)」だったとしても、パターンだと勘違いして逃げた方が生き残る確率は上がります。私たちの脳は、そのサバイバル本能の遺伝子を色濃く受け継いでいるため、現代のスマホ画面に対しても「草むらのガサガサ」と同じように、必死に偏り(意味)を探してしまいます。

【面白い雑学】Appleがあえてランダムを“偽装”した日

 この「脳のバグ」が引き起こした、テック業界の有名な事件があります。かつてAppleが初代iPodを発売したとき、音楽をランダムに再生する「シャッフル機能」を搭載しました。Appleは数学的に100%完璧な、嘘偽りのない「真のランダム」のプログラムを組みました。

 しかし、製品を手にしたユーザーから、怒りのクレームが殺到しました。「同じアーティストの曲が3回も続けて流れた!これは全然ランダムじゃない!偏っている!」数学的には、完全なランダムであれば「同じ曲や同じ歌手が連続で流れる確率」は当然含まれます。しかし、前述の「クラスター錯覚」を持つ人間の脳は、それを「偏り(バグ)」だと認識し、不快感を抱いたのです。

 そこで、クレームを受けたスティーブ・ジョブズは、エンジニアにこう命じました。脳が『ランダムだ』と感じるようにあえて同じ歌手が続かないようにプログラムをコントロールしろ。こうして、現代の多くの音楽アプリは、「真のランダム」を捨てました。そして、「人間が心地よく感じるための、偽りのランダム」を流すようになりました。つまり、私たちの脳のバグが、テクノロジーの仕様を書き換えてしまった面白い実例になります。

まとめ

 ここまで、脳が「ランダム」を嫌う心理、バグる要因、関係の裏話について説明しました。まず、心理について、クラスター錯覚ホットハンド誤謬テキサス・シャープシューターの罠を説明しました。次に、脳がバグる要因について、原因は原始時代の「サバイバル本能」を説明しました。最後に、裏話として、Appleが初代iPodの「シャッフル機能」について説明しました。

 まず、ランダムな出来事に「偏り」を感じるは、完全なランダムを脳は拒絶するからでした。そのため、何か見えない力が働いているのでは……、自分の直感や「運命」を信じたくなります。そして、勝手にパターンを切り取ってしまう「クラスター錯覚」が原因でした。また、パチンコなどの「波が来ている」は脳の勘違いで、「ホットハンド誤謬」によるものでした。ルーツは、原始時代のサバイバルで自然界の偏りを察知してきた人類の進化の証でした。

 しかし、AppleのiPodのシャッフル機能がランダムでないことを知りませんでした。つまり、人間の脳がランダムだと感じるように、あえて偏りをなくす偽装をしていることを知りませんでした。ただし、統計は一般的には母数がかなり大きいのに対して、現実の試行数は少ないのでそのような現象が起きるかもという気がしました。また、自分がインポートした曲のそんなに多くはない曲の中でランダムなのでたまたまのような気もしました。ただし、普段は統計的な思考はしないので偏りがあるように感じてしまうのかとも感じました。

 

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