「えっと、あの……じゃなくて!」 言おうとした言葉とは違う言葉が口から出てしまうことがあります。そして、慌てて言い直すことがあります。いつもではないのですが時々あります。また、誰もが経験しそうな“言い間違い”があります。
そして、この言い間違いは、決してドジでも、性格の問題でもないようです。また、心理学では、言い間違いは脳の言語処理が一瞬だけズレたときに起こる自然な現象と説明されています。
そこで、このブログでは、なぜ言い間違いが起こるのかに注目することにしました。そして、言い間違いとその心理メカニズム、対処法について調べましたので以下に説明します。
言い間違いは「スリップ・オブ・ザ・タング」
心理学では、言い間違いは スリップ・オブ・ザ・タング(Slip of the Tongue)と呼ばれます。そして、これは、脳が言葉を組み立てる過程で起こる“処理のズレ”のことを言います。なお、言葉を話すとき、脳は以下のような高速処理を行っています。
- 言いたい内容を決める(意味の処理)
- 適切な言葉を選ぶ(語彙の検索)
- 文法に沿って並べる(構文処理)
- 発音の形に変換する(音韻処理)
- 口や舌を動かす(運動処理)
そして、このどこかでズレが起こると、本来言うはずだった言葉とは違う言葉が出てしまいます。
また、似たような言葉に、思い出したいのに思い出せない状態を「Tip of the Tongue(舌の先)現象」があります。そして、通称TOT現象と呼ばれています。
作業記憶の限界:脳は同時に多くのことを処理できない
言葉を話すとき、脳は「作業記憶(ワーキングメモリ)」を使って言葉を保持しています。しかし、作業記憶は容量が非常に小さくものです。そのため、同時に複数のことを考えると、保持していた言葉がこぼれ落ちることになります。
例:
- 話しながら別のことを考えていた。
- 相手の反応が気になった。 急いで話そうとした。
こうした状況では、作業記憶が圧迫され、言い間違いが起こりやすくなります。
注意の揺らぎ:脳は常に“脱線”しやすい
人間の注意は常に揺らいでいます。そのため、言葉を選んでいる途中で注意が別の方向へ向きます。すると、その方向に関連する言葉が口から出てしまいます。
例: 「冷蔵庫から牛乳取って」 と言おうとして、「冷蔵庫から卵取って」 と言ってしまう
これは、脳が「冷蔵庫の中のもの」というカテゴリーに注意を向けたために起きたものです。そして、その中の別のアイテムが誤って選ばれた状態になります。
音の似た言葉が“誤作動”する
脳は言葉を音のかたまり(音韻)として処理しています。そのため、音が似ている言葉は誤って選ばれやすくなります。
例:
- 「会社に行く」→「外出に行く」
- 「スマホ」 →「スイホ(言い間違い)」
- 「資料」 →「試料」
音韻が似ていると、脳の検索システムが誤作動しやすくなります。
言語処理の“自動化”が暴走する
言葉を話す行為は、ほとんど自動化されています。そのため、脳は「よく使う言葉」を優先的に出そうとします。
例:
- 「おはようございます」→「お疲れ様です」
- 「いらっしゃいませ」 →「ありがとうございました」
これは、脳が状況に合いそうな言葉を自動的に選ぼうとして、 誤って別の言葉を出してしまった状態です。
感情が強いと、言葉の選択が乱れる
緊張・焦り・怒り・喜びなど、強い感情があります。すると、 脳の前頭前野(言語や判断を司る部分)がうまく働かなくなります。その結果、言葉の選択が乱れ、別の言葉が出てしまいます。
特に、 以下の場面で言い間違いが増える
- プレゼン
- 初対面の会話
- 急いでいる場面
ブルームフィールド効果:言い間違いは「心の中身」を反映する
言い間違いは、時にその人の心の状態を反映することがあります。そして、これをブルームフィールド効果と呼ばれています。
例:
- 本当は気になっていることが口に出る
- 心の中で考えていた言葉が混ざる
- 抑えていた感情が言葉に現れる
もちろんすべての言い間違いが深層心理を反映するわけではりません。しかし、心理学的には「心の中の情報が表に漏れる現象」として扱われることもあります。
言い間違いを減らすためのヒント
- ゆっくり話す:作業記憶の負荷を減らします
- 話す前に一度頭の中で言葉を組み立てる
- 感情が強いときは深呼吸する
- 似た言葉を連続して使わない
- 疲れているときは特に注意する
言い間違いは自然な現象ですが、環境を整えることで減らすことができます。
まとめ
ここまで、言い間違いとその心理メカニズム、対処法について説明しました。まず、言い間違いとその心理メカニズムについて、言い間違いは「スリップ・オブ・ザ・タン」と6つの心理メカニズムを説明しました。そして、対処法について、言い間違いを減らすための5つのヒントを説明しました。
そして、言おうとした言葉とは違う言葉が出てしまうのは、以下のような複数の心理メカニズムが重なって起こるものでした。
- 作業記憶の限界
- 注意の揺らぎ
- 音韻処理の誤作動
- 言語の自動化
- 感情の影響
- 心の中の情報の“漏れ”
つまり、言い間違いは「脳の処理が一瞬ズレただけ」であり、誰にでも起こる自然な現象でした。
確かに、似たような音の言葉や、緊張している時など思い当たる節がありました。しかし、緊張して慌ててしまっている時には、対応策はできないような気がするので、まず落ち着くことが必要な気がしました。ただし、私の場合ではですが。

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