冷蔵庫を開けた瞬間、「あれ? 何を取りに来たんだっけ?」と立ち尽くすことがあります。また、何かをしようとして部屋を移動した時にやろうとしていたことを忘れてしまうこともあります。しかし、多くの人が経験するこの“あるある”は、記憶力の低下でも、注意不足でもないようです。
そして、脳が「場所の切り替え」をきっかけに短期記憶を整理し、必要ない情報を捨ててしまうために起こる現象のようです。また、これはドアウェイ効果と呼ばれているものです。なお、以前のブログで同じ範疇の内容について記載しています。もしよければ、参照してみて下さい。さっきまで覚えていたことを、部屋を移動した瞬間に忘れる理由:ドアウェイ効果
そこで、このブログでは、冷蔵庫を開けた瞬間に目的を忘れる理由に注目しました。そして、脳の省エネ処理、ドアウェイ効果、コンテクスト依存記憶、ワーキングメモリ、冷蔵庫の影響について調べましたので以下に説明します。
冷蔵庫を開けた瞬間に忘れるのは「脳の省エネ処理」
まず、脳は常に膨大な情報を処理しています。そして、今の行動に必要な情報だけを残し、不要な情報は積極的に捨てるという省エネ戦略をとっています。また、冷蔵庫を開けるという行動は、脳にとって「新しいタスクの開始」とみなされやすいものです。そして、直前まで保持していた短期記憶(ワーキングメモリ)がリセットされることがあります。
ドアウェイ効果:場所の切り替えで記憶が消える
心理学では、部屋を移動した瞬間に記憶が抜け落ちる現象が確認されています。そして、これがドアウェイ効果(Doorway Effect)と呼ばれるものです。
仕組み
- 記憶は「場所」「状況」「目的」などの文脈(コンテクスト)と結びついている
- 場所が変わると、脳は「新しい文脈に入った」と判断する
- 直前の文脈に紐づいた記憶が弱まり、思い出しにくくなる
つまり、冷蔵庫を開ける行為は、脳にとって「文脈の切り替え」そのものということになります。
コンテクスト依存記憶:記憶は“場所”とセットで保存される
また、記憶は単体で保存されるのでありません。つまり、その記憶が生まれた状況(コンテクスト)とセットで保存されます。
例:
- リビングで「牛乳を取ろう」と思う
- キッチンに移動する
- 冷蔵庫を開ける
→ リビングで生まれた記憶が弱まり、思い出せなくなる
つまり、これは「場所の変化」が記憶の検索キーを変えてしまうことになります。
ワーキングメモリは非常に壊れやすい
また、短期記憶(ワーキングメモリ)は、数秒〜数十秒しか持ちません。 さらに、次のような要因で簡単に消えます。
- 新しい情報が入る
- 注意が別の方向に向く
- 行動の目的が変わる
- 環境が変わる
つまり、「新しい行動」である冷蔵庫を開ける行為が、直前の目的を上書きしてしまいます。
冷蔵庫は“情報量が多すぎる場所”
冷蔵庫の中は、脳にとって情報量が多い環境です。例えば、色と形がバラバラの食品、匂い、明るいライト、冷気、棚の配置などです。そして、これらの刺激が一気に入ることで、脳は「目の前の情報処理」を優先します。また、その結果、直前の目的を保持する余裕がなくなります。
なぜこの現象は“冷蔵庫”で起きやすいのか?
冷蔵庫で起きやすい主な理由は以下に示す3つがあります。そして、この3つが重なることで、目的を忘れやすくなります。
文脈の切り替えが強い
→ リビング → キッチン → 冷蔵庫という複数のコンテクストが連続する
新しい刺激が多い
→ 冷蔵庫を開ける瞬間、視覚・触覚・温度などの情報が一気に入る
ワーキングメモリが壊れやすい
→ 「牛乳を取る」という目的は短期記憶なので消えやすい
まとめ
ここまで、脳の省エネ処理、ドアウェイ効果、コンテクスト依存記憶、ワーキングメモリ、冷蔵庫の影響について説明しました。まず、脳の省エネ処理について、冷蔵庫を開けた瞬間に忘れるのは「脳の省エネ処理」を説明しました。つぎに、ドアウェイ効果、コンテクスト依存記憶、ワーキングメモリについて、場所の切り替えで記憶が消える、記憶は“場所”とセットで保存される、ワーキングメモリは非常に壊れやすいを説明しました。最後に、冷蔵庫の影響について、冷蔵庫は“情報量が多すぎる場所”、文脈の切り替えが強い、新しい刺激が多い、ワーキングメモリが壊れやすいを説明しました。
まず、冷蔵庫を開けた瞬間にやろうとしたことを忘れるのにはいくつかの理由がありました。そして、その理由は以下に示したものでした。
- 冷蔵庫を開けた瞬間に忘れるのは脳の省エネ処理
- ドアウェイ効果により、場所の切り替えで記憶が弱まる
- 記憶はコンテクスト(状況)とセットで保存される
- ワーキングメモリは壊れやすく、新しい刺激で簡単に消える
- 冷蔵庫は刺激が多く、目的を保持しにくい環境
- 忘れるのは記憶力の問題ではなく、脳の自然な仕組み
つまり、もともとやろうとしていたことがワーキングメモリに入っているため、新しい情報が入ってきたら忘れてしまうというものでした。そして、これは脳が無意識に処理しているものでした。つまり、認知症などの病気ではなく、自然に起きる現象でした。この結果から、非常に安心したという一面がありました。

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