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なぜスーパーでは予定外の物まで買ってしまうのか:脳が仕掛けられた“買わせる技術”

心理
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 スーパーに行くと、リストを持って行ったにもかかわらず、割引されていた惣菜までカゴに入っている。このようなことが多々あります。そして、この現象はコンビニでも起きてしまいます。そこで、また予定外の物を買ってしまった、自分は意思が弱いのかな?と思いがちです。

 そして、予定外のものを買ってしまっていると感じている人は多いと思われます。しかし、これは脳の仕組みと売り場の設計が生み出す“自然な現象”のようです。そして、スーパーやコンビニは、私たちが“買いたくなる”心理を巧みに利用しているようです。そして、その多くは行動経済学や認知心理学と関係しているようです。なお、以前のブログで、買うつもりのない物を買ってしまう心理を書きました。ここでは、脳機能を中心の視点からアプローチをしていました。重複している部分もありますがこちらも参照してみて下さい。

 そこで、このブログでは、予定外の物を買ってしまう理由に注目することにしました。そして、環境要因、認知バイアス、脳の報酬系、買い物疲労、対応策について調べましたので以下に説明します。

スーパーは「買わせるための環境設計」でできている

 スーパーやコンビニの売り場は、心理学を応用して“買いたくなる導線”が作られています。

入口に果物やパンの香りがある理由

 香りは脳の報酬系を刺激し、購買意欲を高めます。そして、特に焼きたてパンの香りは「温かさ」「安心感」を誘発し、財布の紐が緩くなります。

必要な物ほど奥に置かれている

 牛乳・卵・肉など“必ず買う物”は店の奥に配置されます。それは、その途中で多くの商品を目にするため、予定外の買い物が増えることになります。

認知バイアスが「つい買ってしまう」を引き起こす

アンカリング効果:割引表示に弱い

 「通常298円 → 本日198円」 この“元の価格”がアンカー(基準)となります。そして、198円が“お得に見える”心理が働きます。そこで、実際には必要ない物でも、「安いから買っておこう」と判断してしまいます。以前のブログで、アンカリング効果 最初の情報に縛られてしまう心理を書いています。関心がある方は参照してみて下さい。

選択の錯覚:選べると買いたくなる

 「3種類の新商品」「期間限定フレーバー」 選択肢が増えます。すると、脳は“選ぶこと自体”に快感を覚えます。そして、その結果、予定外の商品を手に取りやすくなります。

希少性の原理:限定・残りわずかに弱い

 「残り3個」「期間限定」 希少性は脳の危機管理システムを刺激します。そして、「今買わないと損する」という感情を生みます。

“ついで買い”は脳の報酬系が原因

 スーパーで予定外の物を買ってしまう理由は、脳の報酬系が刺激される環境が整っているからです。なお、報酬系は「快感・期待・ワクワク」を生み出す脳の仕組みです。そして、これが活性化すると “買う行動そのもの”が気持ちよくなります。そして、そのために必要のない物まで手が伸びます。

色・配置・POPが脳を刺激する仕組み

 スーパーの売り場は、色彩心理学を利用して「買いたくなる色」を戦略的に配置しています。

  •  :注意を引き、緊急性を感じさせる → 「特売」「割引」のPOPに多用される
  • 黄色:安さ・お得感を連想させる    → “買わないと損”という感情を誘発
  •  :安心・安全・健康を連想     → 野菜コーナーやヘルシー商品のPOPに使われる

 つまり、これらの色は視覚刺激として脳に入ります。そして、「買うと気持ちよさそう」という期待(ドーパミンの予測)が生まれます。そのため、予定外の商品が魅力的に見えてしまいます。

新商品はドーパミンを強く刺激する

 脳は「新しいもの」に対して強い反応を示します。これは 新奇性効果(novelty effect)と呼ばれ、 新商品を見ると脳がドーパミンを分泌しやすくなります。そのため、新発売期間限定季節限定新フレーバー等の商品は、必要性とは関係なく “魅力的に感じて”しまいます。

「買う行動」そのものが報酬になる

 行動経済学では、買い物は 「小さな成功体験」として脳に記録されます。つまり、以下の一連の流れが、脳にとって 達成感の連続となります。

  • 欲しい物を見つける
  • 手に取る
  • カゴに入れる
  • レジで購入する

 そして、これによりドーパミンが少しずつ分泌され続けます。つまり、スーパーは “買うと気持ちいい”体験を連続で提供する空間ということになります。

スーパーは「買い物の疲労」を利用している

 買い物を続けると、脳は意思決定疲労(決断疲れを起こします。なお、これは「選択を繰り返すほど判断力が落ちる」という心理学の現象です。そして、スーパーはこの疲労を利用して、最後の方で衝動買いが増えるように売り場を設計しています。

買い物は“選択の連続”で脳が疲れる

 スーパーでは、数百〜数千の商品が並んでいます。そして、その中から、以下のような判断を何度も繰り返します。

  • どれを買うか
  • どれを買わないか
  • どれが安いか
  • どれが必要か

 そして、その結果、「選択の連続」が脳の前頭前皮質を疲労させ、 次第に判断が雑になります。

疲れると「まあいいか」が増える

 意思決定疲労が起きると、以下のような思考が増えます。

  • 「安いし買っておこう」
  • 「後で使うかもしれない」
  • 「今日は頑張ったし、これくらいいいよね」

 これは脳が疲れて、合理的な判断を放棄している状態になります。そして、スーパーはこの心理を理解しているため、疲れたタイミングで“買わせたい商品”を配置します。

レジ前の誘惑は「疲労した脳」を狙っている

 レジ前に置かれている商品は、ほぼすべて衝動買い向けのものです。

  • ガム
  • チョコ
  • 小さなお菓子
  • 期間限定の小物
  • 100〜200円の安価な商品

 そして、これらは「考えなくても買える価格帯」に設定されています。加えて、疲れた脳が最も買いやすいタイミングで目に入るように配置されています。つまり、レジ前は 意思決定疲労 × 衝動買い を最大化する場所ということになります。

疲労すると「損失回避」が弱まる

 普段なら「無駄遣いしたくない」という心理が働きます。しかし、疲労するとこのブレーキが弱まります。行動経済学では、疲労時には損失回避(loss aversion)が低下するとされています。そして、「損したくない」という感情が薄れるため、 予定外の買い物が増えることになります。

無駄買いを減らすための具体的対策

 無駄買いを減らすための対応策を以下に示します。

  • 買う物をメモして、メモ以外は買わないルールを作ります。
  • 買い物は短時間で済ませます。(意思決定疲労を減らすようにします。)
  • 割引表示は“本当に必要か”で判断するようにします。
  • 空腹時に行かないようにします。(報酬系が過敏になります。)
  • カゴではなくカゴ小さめのカゴや手持ちカゴを使います。
       → 入る量が減るため、ついで買いが減ることになります。

まとめ

 ここまで、環境要因、認知バイアス、脳の報酬系、買い物疲労、対応策について説明しました。まず、環境要因について、スーパーは「買わせるための環境設計」でできているを説明しました。つぎに、認知バイアスについて、認知バイアスが「つい買ってしまう」を引き起こすを説明しました。続いて、脳の報酬系について、“ついで買い”は脳の報酬系が原因を説明しました。加えて、買い物疲労について、スーパーは「買い物の疲労」を利用しているを説明しました。最後に、対応策について、無駄買いを減らすための具体的対策を5つ説明しました。

 スーパー、コンビニ等で予定外の物まで買ってしまうのは、売り場の環境設計 × 認知バイアス × 脳の報酬系 × 意思決定疲労が重なるためでした。そして、そこには以下のような仕組みがありました。

  • 必要な物ほど奥に置かれている。
  • 割引表示がアンカリングを起こす。
  • 選択肢が多いほど買いたくなる。
  • 限定・残りわずかは希少性の原理。
  • 新商品は脳のドーパミンを刺激する。
  • 買い物の疲労で判断が雑になる。

 そして、これらはすべて科学的に説明できる“自然な反応”です。それゆえ、自分の意思が弱いから起きている訳ではありませんでした。そして、この仕組みを理解すれば、無駄買いは確実に減らせます。しかし、無くすのは難しいかもしれません。脳が疲れている時に本能に問いかけてくるというよく考えられたシステムのようです。レジ前の鶏のから揚げが、肉まん、おでんが襲ってくるのは分かっているので半分ぐらいあらかじめ購入物に想定しているような気がします。

 

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