意識はしていないけど、お腹が空くと機嫌が悪くなっていて、後から自己嫌悪に陥ってしまう。このようなことを聞いたことがあります。また、さっきまで自然にニコニコできていた。しかし、お腹が空いたきて途端に心がトゲトゲして周りに当たってしまった。そして、どうして自分はこんなに子供っぽくて短気なんだろう感じてしまう。いつもではないけど、稀にこんなことがあるような気がします。そして、そんな経験、見た経験はありませんか?このようなことをテレビなどでも時々耳にします。
しかし、どうか自分を責めないでください。あなたが空腹時に怒りっぽくなってしまうのは、あなたの性格に問題があるからではないようです。実はこれ、海外では「Hangry(ハングリー=お腹が空いて怒る)」と呼ばれる世界共通の現象です。そして、脳が命を守るために「ある超重要なシステム」を強制終了しているサインなのです。そこで、今回この現象に注目することにしました。
このブログでは、空腹時にイライラしてしまう要因、その対策、その際の脳の動きについて調べましたので以下に説明します。そして、空腹の波に振り回されて後悔するのは終わりにできることを目指しています。
空腹時イライラする要因
脳の唯一の主食「ブドウ糖」の枯渇
- 内容: 脳は体重のわずか2%ほどの重さしかありません。しかし、体全体のエネルギー(ブドウ糖)の約20%を消費する大食漢です。しかも、脳はエネルギーを貯蔵できません。
- 具体化: 「前頭前野」は、脳の最高意思決定機関であり、感情をコントロールする部位です。そして、空腹によって血糖値が下がると、ここへのエネルギー供給が真っ先にストップします。つまり、イライラを抑える「理性(ブレーキ)」のパワーが物理的に切れてしまいます。
血糖値を上げるための「戦闘ホルモン」の暴走
- 内容: 脳がエネルギー不足の危機を察知すると、血糖値を強引に上げようとします。そして、副腎からアドレナリン、ノルアドレナリン、コルチゾールなどホルモンを分泌させます。
- 具体化: これらのホルモンは、「闘争か逃走か(Fight or Flight)」を司る戦闘ホルモンです。そして、原始時代に敵と戦ったり猛獣から逃げたりするために使われていました。また、血糖値を上げようとした結果、心拍数が上がり、脳が攻撃モード(イライラ状態)に強制移行してしまうという皮肉なバグが起きています。
飢餓を生き抜くための生存戦略(進化心理学)
原始時代、空腹時「のんびり」していたら、他の動物や人間に獲物を奪われて餓死してしまいます。そのため、空腹時ほど攻撃性を高め、なりふり構わず獲物を奪いに行くことが必要でした。そして、このような行動をとる個体が生存確率が高かったため、この仕組みが遺伝子に残っています。
「空腹の怒り」に油を注ぐ現代社会の罠
- ドカ食いと血糖値スパイクの悪循環:
イライラしてジャンクフードや甘いものを一気に食べます。すると、今度は血糖値が急上昇した後に急降下(血糖値スパイク)します。そして、数時間後にさらに激しいイライラと眠気に襲われるループに陥ります。
対応策:「Hangry(ハングリー)」を予防・回避する3つのハック

「低GI食品」を味方につけて血糖値を安定させる:事前の予防
血糖値の乱高下がイライラを生みます。そのため、間食には血糖値の乱高下をさせるチョコレートやスナック菓子を選ばないようにします。つまり、血糖値が緩やかに上がるナッツ類、高カカオチョコレート、バナナなどを選ぶようにします。そして、これにより脳のエネルギーを一定に保ちます。
「イライラしたら15分だけ待つ」またはラムネを噛む:緊急時の応急処置
どうしても今すぐ食べられない時は、脳の唯一の栄養素であるブドウ糖(90%がブドウ糖でできているラムネなど)を補給します。もしくは、戦闘ホルモンの波が一度落ち着くまで「これは空腹のせいだ」と自覚します。そして、15分だけ重要な決断や会話を先送りにします。
イライラした後に自分を責めない:事後のケア
「また怒ってしまった」という罪悪感(反芻思考)は、さらなるストレスホルモンを分泌させます。そこで、「これは脳の防衛システムが作動しただけ。次からは早めにナッツを食べよう」と、仕組みのせいにして思考を切り替えます。
空腹からイライラが爆発するまでの脳の動き
フェーズ1:通常状態(満腹〜食後数時間)
初めの段階で、通常状態です。
- 動いている脳の領域: 前頭前野
- 脳の状態:
食事から摂取したブドウ糖が血液に乗って脳へ十分に供給されている状態です。そして、脳の司令塔である「前頭前野」が100%のパフォーマンスを発揮できる状態です。そのため、多少のトラブルや他人の嫌な言動に対しても、「まぁ、そんなこともあるか」と理性的に感情のブレーキをかけ、大人の対応ができます。
フェーズ2:エネルギーの枯渇(空腹の始まり)
2番目の段階で、空腹になっていく段階です。
- 動いている脳の領域: 視床下部
- 脳の状態:
最後の食事から時間が経ち、血液中のブドウ糖(血糖値)が下がってきます。すると、脳のセンサーである「視床下部」がエネルギー不足を感知します。
脳は「これ以上ブドウ糖が減ると活動が停止してしまう!」と焦り始め、生命維持に直接関係のない「前頭前野(理性・自制心)」へのエネルギー供給を真っ先に節約(シャットダウン)し始めます。この時点で、あなたの感情を抑えるブレーキペダルはフカフカになり、利きが悪くなっています。
フェーズ3:戦闘アラーム発動(ハングリー状態)
3番目の段階で、完全に空腹になった状態です。
- 動いている脳の領域: 下垂体、副腎、扁桃体
- 脳の状態:
血糖値がさらに下がると、脳は生存危機モードに突入します。視床下部からの命令を受けた下垂体が、副腎に対して「強引にでも血糖値を上げろ!」と緊急指令を出します。
これにより、血液中にアドレナリン(闘争ホルモン)やコルチゾール(ストレスホルモン)がドバドバと放出されます。これらは血糖値を引き上げる役目を持っていますが、同時に心拍数を上げ、脳の警戒センサーである「扁桃体」をビンビンに興奮させます。脳内は完全に「敵と戦うための戦闘モード」に強制移行します。
フェーズ4:怒りの爆発(臨界点突破)
4番目の段階で、イライラしている状態です。
- 動いている脳の領域: 扁桃体(暴走状態)、前頭前野(機能停止)
- 脳の状態:
理性のブレーキ(前頭前野)はエネルギー切れで動かないじょうたいです。そして、脳内には戦闘ホルモン(アドレナリン)が満ちている状態です。
ここで、「パートナーのちょっとした一言」や「PCがフリーズした」などの些細な外部刺激(トリガー)が加わります。すると、扁桃体が過剰に反応し、普段ならスルーできることに対して「攻撃命令(怒り)」をダイレクトに出してしまいます。これが、空腹によって理性を失い、怒りっぽくなるプロセスの全貌です。
まとめ
ここまで、空腹時にイライラしてしまう要因、その対策、その際の脳の動きについて説明しました。まず、その要因について、脳の唯一の主食「ブドウ糖」の枯渇、血糖値を上げるための「戦闘ホルモン」の暴走、飢餓を生き抜くための生存戦略、「空腹の怒り」に油を注ぐ現代社会の罠を説明しました。次に、対策として、「低GI食品」を味方につけて血糖値を安定させる、「イライラしたら15分だけ待つ」またはラムネを噛む、イライラした後に自分を責めないを説明しました。最後に、その際の脳の動きとして、通常状態、エネルギーの枯渇、戦闘アラーム発動、怒りの爆発を説明しました。
まず、あなたが空腹時に怒りっぽくなってしまうのは、あなたの性格に問題ではありませんでした。そして、これは空腹に対するからだと脳の反応でした。つまり、通常状態から、脳が命を守るためにあえて理性をオフにし、戦闘ホルモンを出した結果として怒りが湧くという流れによるものでした。つまり、自分が未熟だからイライラするんじゃないということになります。
そこで、空腹になった時に対策をすることにより多くは防ぐことができると思われます。ただし、いつもイライラしているような人は効果がないかもしれません。また、空腹時に必ずイライラするわけではないかもしれません。つまり、理性を保てるなどは個人差、状況の差もあるとは思います。ただ、対策をすることで不要な出来事を減らすことができるような気がしました。

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