昼間は友達と楽しく過ごしたり、仕事に集中できたりしています。しかし、夜ベッドに入って部屋の電気を消した途端、急に寂しさや将来への不安が押し寄せてきます……。例えば、あの時のあの発言、嫌われたかな。または、このままの人生で大丈夫なんだろうかなどいろいろな内容です。そして、一度ネガティブな思考のループにハマってしまいます。すると、時計の針が進むばかりで眠れなくなってしまうことがあります。このような経験はありませんでしょうか?
しかし、暗い部屋に入ると不安を考えやすくなるのは、あなたの心が弱いからではないようです。そして、これは 人間の脳が持つ原始的な防衛システムと、光の減少によるホルモンバランスの変化が引き起こす「ごく自然な生理現象」のようです。なお、夜に関係するブログを以前に書いていますので参照してみて下さい。なぜ夜中のLINEは「ポエム」化するのか?脳のブレーキが外れる驚きのメカニズム、なぜ「夜になると人生を考え始める」のか?脳がつくる“夜の思考モード”の正体、なぜ夜になるとネガティブになりやすいのか?
そこで、このブログでは、暗闇が私たちのメンタルに与える影響について注目することにしました。そして、暗い部屋が不安を呼ぶ科学的要因、心理的要因、対処法について調べましたので以下に説明します。
電気を消すとネガティブになる。暗い部屋が不安を呼ぶ3つの科学的理由
なぜ、暗闇の中でこれほどまでに視界だけでなく「心」まで暗くなってしまう要因があります。ここでは、主な原因は3つについて以下に説明します。
1. 視覚情報が消え、脳が「内省(考え事)」モードに強制シフトする
まず、昼間、脳は目から入る膨大な景色や情報を処理するのに大半のエネルギーを使っています。例えば、スマートフォンの画面、街の風景、人の顔などです。しかし、部屋が暗くなると外からの刺激がシャットアウトされます。そこで、行き場のなくなった脳のエネルギーがすべて自分の内側(過去の記憶や未来の予測)に向けられます。そして、その結果としてグルグルと思考が空回りしやすくなります。
2. 原始的な「暗闇への恐怖(防衛本能)」が作動する
人類の歴史の大半において、暗闇は「天敵に襲われるかもしれない危険な時間」でした。そのため、人間の脳は暗い場所に身を置きます。すると、危険を察知しようとして不安や恐怖を感じる神経(扁桃体)が過敏になるようになっています。そして、現代の安全な寝室であっても、脳は何か悪いことが起きるかもしれないと警戒します。このようにして、ネガティブなシミュレーション(不安)を始めてしまいます。
3. 「幸せホルモン(セロトニン)」の低下
日中に日光を浴びることで分泌されるセロトニンがあります。そして、セロトニンは、感情をコントロールし、心を安定させる役割を持っています。しかし、夕方から夜にかけて光が減ると、脳内のセロトニンが減少します。そして、これに伴い、気分の落ち込みや不安を感じやすくなります。このような、純粋な化学変化が体内で起きています。
暗い部屋で不安が膨らむ4つの心理学的要因
1. 認知の「空白」をネガティブで埋める心理(刺激飢餓と内省)
昼間、私たちの心は視覚、聴覚、他人の視線、仕事のタスクなどの外部刺激で満たされています。また、心理学では、人間は外部からの刺激が極端に減少すると、意識を自分の内側へと向ける(内省モードになる)特性があることが知られています。
まず、暗い部屋に入ってすべての刺激がシャットアウトされます。すると、脳の認知リソース(考える容量)に大きな「空白」が生まれます。そこで、この空白を埋めるために、心はわざわざ「未解決の悩み」や「将来への不安」といった強い感情を伴うテーマを引っ張り出してきて、脳内で再生を始めてしまいます。
2. 「夜の反芻(はんすう)思考」とセルフ・ディスタンスの喪失
過去の失敗や不安を何度も繰り返し考えてしまうことがあります。そして、これを、心理学で「反芻(はんすう)思考」と呼びます。
明るい部屋や昼間であれば、目に見える風景や物、他人の存在が「客観的な現実」のアンカー(錨)になります。そして、自分の思考と適度な距離(セルフ・ディスタンス)を保つことができます。しかし、暗い部屋では周囲の世界が消えてしまいます。そして、自分と自分の思考しか存在しない「究極の主観空間」になります。そこで、客観的な視点を失うため、ネガティブな考えが現実味を帯びて膨れ上がり、ブレーキが効かなくなってしまいます。
3. 自己防衛のための「破滅的思考(カタストロファイジング)」
人間は「予測できない未来」に対して、あらかじめ最悪のシナリオを想像しておきます。そして、実際にそれが起きたときのショックを和らげようとする防衛本能を持っています。これを「破滅的思考(カタストロファイジング)」と言います。
まず。前述の通り、暗闇は本能的に「見通しが立たない不安な状況」です。つまり、心が最悪の事態を想定して自動的にをシミュレーションし、自分を守ろうとします。例えば、仕事がうまくいかなかったら…、もしあの人に嫌われていたら…などを想像します。そして、良かれと思って心が発動した防衛機能が、結果としてあなたを不安で苦しめる原因になっています。
4. 感情が認知を支配する「気分一致効果」
心理学の有名な法則に、「気分一致効果(Mood-Congruent Memory)」があります。これは、「人間は、その時の自分の気分と一致する記憶や情報を思い出しやすい」という心理現象です。
例えば、暗い部屋による孤独感や、一日の疲れからくる心細さがあります。そして、夜の心はわずかに「ネガティブなトーン」に傾いています。すると、この気分一致効果が働き、脳の引き出しから「過去の恥ずかしい失敗」や「他人に言われて傷ついた言葉」など、今の暗い気分にぴったりのネガティブな記憶ばかりが芋づる式に引き出されてしまいます。
心理学から見た「夜の不安」のメカニズムまとめ
| 心理学用語 | 暗い部屋で起きる現象 | 読者の主観的な感覚 |
| 内省モードへのシフト | 視覚情報(刺激)が消えた空白を、悩み事で埋めようとします。 | 「電気を消した途端、急に考え事が始まります」 |
| セルフ・ディスタンスの喪失 | 客観的な視点が消え、自分の妄想に飲み込まれます。 | 「昼間なら大したことないと思えるのに、夜は絶望的に感じます」 |
| 破滅的思考 | 暗闇のストレスから身を守るため、最悪のシナリオを妄想します。 | 「もし〜だったらどうしよう、と悪い方にばかり考えてしまいます」 |
| 気分一致効果 | 暗い雰囲気に引っ張られ、過去の嫌な記憶ばかりを思い出します。 | 「なぜか昔の失敗や、嫌な人の顔が次々と思い浮かびます」 |
夜の「不安ループ」を断ち切る3つの夜間処方箋
暗い部屋で不安が止まらなくなったら、脳の警戒モードを解いてあげる必要があります。ここでは、その対策方法について説明します。
| 対策アプローチ | 具体的なアクション | 期待できる効果 |
| 1. 思考を外に 吐き出す | ノートや裏紙に、今不安に思っていることを殴り書きします。(ブレインダンプ) | 脳のメモリが解放され、「客観的な事実」として脳が処理を終えられます。 |
| 2. 視覚以外の 感覚を刺激する | 小さな音でラジオを流す、アロマを焚く、布団の肌触りに集中するなどをします。 | 意識が「内側の考え事」から「外側の五感」に戻り、思考がストップします。 |
| 3. あえて「薄暗い光」をつける | どうしても眠れない場合は一度起きて、間接照明などの温かい光をつけます。 | 脳の「暗闇=危険」というアラームを物理的解除し、リラックスさせます。 |
まとめ
内容の整理
ここまで、暗い部屋が不安を呼ぶ科学的要因、心理的要因、対処法について説明しました。まず、暗い部屋が不安を呼ぶ科学的要因については、 視覚情報が消え、脳が「内省」モードに強制シフトする、原始的な「防衛本能」が作動する、「幸せホルモン」の低下を説明しました。つづいて、心理的要因について、認知の「空白」をネガティブで埋める心理、「夜の反芻思考」とセルフ・ディスタンスの喪失、自己防衛のための破滅的思考、感情が認知を支配する「気分一致効果」を説明しました。最後に、対処法として、思考を外に吐き出す、視覚以外の感覚を刺激する、あえて「薄暗い光」をつけるを説明しました。
まず、暗い部屋に入ると不安を考えやすくなるのは、あなたの心が弱いからではありませんでした。そして、これは 人間の脳が持つ原始的な防衛システムと、光の減少によるホルモンバランスの変化が引き起こす「ごく自然な生理現象」によるものでした。そして、夜浮かんでくる不安や最悪のシナリオは、あなたの心が作り出した『ただの脳内シミュレーション』であり、現実の事実ではありませんでした。
また、夜がネガティブになることについて、科学的要因と心理的要因を両面から説明しました。科学的側面では、大きく脳科学であり脳科学と心理学の違った視点から説明したものでした。例えば、視覚情報が消えることで内省モード、原始的な防衛本能、幸せホルモンの影響、空白をネガティブで埋める、反芻思考、自己防衛のための破壊的思考、気分一致効果など中身の部分で共通する部分が多くありました。
まとめ
夜の脳は疲れており、正常な判断ができません。そして、暗い部屋で浮かんでくる不安は、脳内シミュレーションによるもので高熱を出しているときに見る悪夢のようなもので「本物」ではありません。次に、ベッドの中でネガティブ思考が始まったら、「あ、今脳が暗闇アラームを鳴らしているな」と一歩引いてみて下さい。また、そして重要なことであれば「この続きは、明日の太陽の下で考えよう」と放置します。そして、朝になれば、驚くほどちっぽけな悩みに見るかもしれません。また、思い出せない帆遅滞したことではないかもしれません。

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