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なぜ本音を言えないとしんどくなるのか──優しさの裏側にある心理

心理
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 会議や相手との対話で本音が言えない場面があります。そして、それは人によって異なるような気がします。そのため、「また、本音を言えないまま、今日も一日が終わった…」ということもあります。そして、このように感じたことは多くの人になるような気がします。その要因には、相手を傷つけたくない、嫌われたくない、空気を壊したくないなどがありそうです。そして、その優しさゆえに、本音を飲み込むクセがついてしまいます。

 また、本音を言わずに過ごすと、心のどこかにずっと緊張が残ります。そして、相手の気持ちを読み、言葉を選び、場の空気を壊さないように振る舞うようになります。その積み重ねは、見えない疲労となって心身にのしかかります。そこで、今回、本音が言えないことで心も体もどっと疲れてしまうことに注目しました。そして、本音を言えないのは、決して弱さではないようです。むしろ、優しさ・慎重さ・気遣いの強さがあるからこそ起こる反応のようです。なお、本音について過去のブログ「なぜ会議では“本音”が出にくいのか?: 同調圧力と評価懸念の心理」でも記載しています。

 今回のブログでは、本音を言えないことで疲れの正体について、本音が言えない要因、その際の脳の動き、対策について調べましたので以下に説明します。

本音が言えない要因

“脳のエネルギー”を大量に消費する本音の抑制

 本音を隠すという行為は、実は脳にとって非常に負荷が大きいものです。例えば、何を言うべきか、何を言わないべきか、相手はどう受け取るか、空気は乱れないかを考えます。そして、これらを瞬時に判断するため、前頭前皮質がフル稼働することになります。つまり、本音を隠す=脳のエネルギーを大量に使う行為になります。そのため、疲れやすいのは当然なことになります。つまり、脳が頑張りすぎているだけということになります。

本音を抑えると“感情”が行き場を失う

 心理学では、感情を抑えることを「情動抑制(情動調整)」と呼びます。そして、これは身体にストレス反応を引き起こし、呼吸が浅くなる、筋肉が緊張する、心拍が上がるといった“疲れのサイン”が出やすくなります。つまり、「言いたいけど言えない」という葛藤は、脳にとって大きな負担になります。そして、その疲れは、あなたが感情を押し込めてきた証拠でもあります。

本音を言わないと“相手の気持ちを読みすぎる”クセが強まる

 本音を言えない人ほど、相手の表情や声色に敏感です。例えば、機嫌は悪くないか、傷つけていないか、どう思われているかなどをしてしまいます。そして、こうした“過剰な共感”は、脳のエネルギーを消耗させます。また、HSP気質の人や、対人関係に慎重な人ほど、この疲れが強く出ます。つまり、疲れやすいのは、あなたが優しすぎるからということになります。

本音を言わないと“自分の軸”が揺らぎ続ける

 相手に合わせ続けると、「本当はどうしたいのか」が分からなくなります。また、心理学では、これを“自己決定感の低下”と呼びます。そして、自分の軸が揺らぐことで精神的疲労が蓄積します。つまり、本音を言えない状態が続くと、自分の価値基準が曖昧になり、心が消耗していきます。

本音を言わないと“人間関係の距離調整”が難しくなる

 本音を言わないと、相手との距離が適切に調整できません。例えば、無理に近づきすぎる、遠ざかりすぎる、表面的な関係が続くなどです。そして、その結果、人間関係が“しんどいもの”になりやすく、さらに疲れが積み重なります。つまり、本音を言えないのは、あなたが人を大切にしすぎるからです。

本音を言えないとき、脳の中では何が起きているのか

まず扁桃体が反応する:本音を言うことを“危険”と判断する

 本音を言おうとした瞬間、脳の警戒システムである 扁桃体 が動きます。なお、扁桃体は、相手を怒らせるかもしれない、空気が悪くなるかもしれない、嫌われるかもしれないといった“社会的リスク”を敏感に察知します。そして、その結果、身体にはこんな反応が起きます。例えば、心拍が少し上がる、呼吸が浅くなる、胃がキュッとする、筋肉が緊張するなどです。つまり、これらの状態は、本音を言う=危険 と脳が判断している状態です。

前頭前皮質がフル稼働する:言葉を選び、相手の反応を予測する

 また、扁桃体が警戒すると、次に 前頭前皮質(PFC) が動き出します。そして、ここは「考える脳」であり、本音を言えない人ほど、ここが過剰に働きます。例えば、どう言えば角が立たないか、相手はどう受け取るか、今の空気で言っていいのか、言った後の関係はどうなるかなどと考えてしまいます。

 そして、これらを瞬時に計算し続けるため、脳のエネルギーが一気に消耗します。つまり、本音を言えない人が疲れやすいのは、この“過剰な思考の稼働”が大きな原因になります。

島皮質が反応する:自分の感情を抑え込む

 本音を言えないとき、島皮質という“感情のセンサー”が強く働きます。なお、島皮質は、自分の感情、身体の違和感、心のざわつきをキャッチする場所です。しかし、本音を抑えようとすると、この島皮質が“抑圧のストレス”を感じ取ります。その結果、喉が詰まる、胸が重くなる、なんとなく疲れるといった身体症状が出やすくなります。

内側前頭前皮質が働く:相手の気持ちを読みすぎる

 本音を言えない人は、相手の感情を読み取る脳領域(内側前頭前皮質) が過敏です。例えば、相手はどう思うだろう、傷つけないかな、嫌われないかなと相手の気持ちを読みます。そして、こうした“過剰な共感”が起きると、脳はさらに疲労します。つまり、HSP気質の人が疲れやすいのは、この領域が非常に敏感だからということになります。

最後に「自己決定感」が低下し、心が消耗する

 本音を言えない状態が続くと、自分の選択を自分で決めている感覚(自己決定感) が弱まります。また、これは脳にとって大きなストレスになります。そして、無気力、疲労感、自分がわからなくなる、人間関係がしんどくなるといった状態につながってしまいます。つまり、本音を言えない=脳がずっと“自分を後回し”にしている状態ということになります。

内容の整理

 これまでの脳の動きを整理します。本音を言えないとき、脳ではこんな動きが起きています。

  1. 扁桃体      : 本音を危険と判断して警戒
  2. 前頭前皮質    : 言葉選びと予測でフル稼働
  3. 島皮質      : 感情の抑圧を感じ取りストレス反応
  4. 内側前頭前皮質  : 相手の気持ちを読みすぎる
  5. 自己決定感の低下 : 心の疲労が蓄積

本音を言えずに疲れる状態から抜け出す方法

  • “小さな本音”から練習する
     いきなり大きな本音を言う必要はありません。例えば、「今日は疲れてるので早めに帰ります」
    この程度で十分です。
  • 「私は〜と感じた」という主語の本音を使う
     相手を責めずに、自分の気持ちを伝えられます。
  • 本音を言う前に“自分の感情”を言語化する
     「私は今、何を感じている?」これを言語化します。そして、これを知るだけで、本音が整理されます。
  • 本音を言わないことで失っているものを理解する
     本音を言わないで失っているもの理解することで自分の軸が戻ります。そして、言いやすくなります。
  • “本音を言っても大丈夫な人”を見極める
     全員に言う必要はありません。まず、信頼できる人から始めるようにします。

まとめ

 ここまで、本音を言えないことで疲れの正体について、本音が言えない要因、その際の脳の動き、対策について説明しました。まず、本音が言えない要因について、“脳のエネルギー”を大量に消費する本音の抑制、本音を抑えると“感情”が行き場を失う本音を言わないと“相手の気持ちを読みすぎる”クセが強まる本音を言わないと“自分の軸”が揺らぎ続ける本音を言わないと“人間関係の距離調整”が難しくなるを説明しました。次に、脳の働きについて、本音を言うことを“危険”と判断する言葉を選び、相手の反応を予測する自分の感情を抑え込む相手の気持ちを読みすぎる「自己決定感」が低下し、心が消耗するを説明しました。最後に、対策について説明しました。

 まず、本音を言えない人は、相手を傷つけたくない人でした。だからこそ疲れやすいということでした。そして、その疲れは、あなたが丁寧に生きてきた、脳があなたを守ろうとしている証拠でした。少しずつ、自分の気持ちを大切にする練習をしていけば、人間関係はもっと楽になるということでした。ただし、すべて本音を言ったらうまくいくものもうまくいかなくなる場合もあるかもしれません。特に、日本の忖度文化の中でより言えるかもしれません。逆に、言わないといけない場面もあると思います。その辺りは、やはり、難しいような気がします。

 

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