テレビで「アメリカとイランとの戦闘終結に向けた覚書にサイン」というニュースがありました。そこで、「覚書」という言葉に違和感を感じました。つまり、「合意書」という言葉であれば、戦闘終結という内容からすれば腑に落ちます。しかし、「覚書」は何となく中途半端なような気がしました。
まず、日本国内で合意にも散られるものには、契約書、覚書、合意書、協定書、念書、誓約書などがありました。また、2国間で用いられるものには、条約、協定、交換公文、覚書、共同声明などがありました。よくわからなかったので調べて整理することにしました。
このブログでは、合意について、日本国内でおこなわれるもの、2国間でおこなわれるものについて調べましたので以下に説明します。
国内の契約について
覚書について
覚書とは?
当事者同士の意思表示の合致により成立する法律行為(売買・賃借・雇用・請負等)が契約です。そして、その契約を証明する書類を「契約書」と呼びます。まず、「覚書」とは当事者同士が約束・合意した内容を忘れないようにまとめた書面です。どちらも当事者が合意した内容を記載した文書であることから、覚書は契約書の一つとも考えられます。
覚書と契約書との違い
まず、覚書と契約書は、どちらも当事者間の合意内容を記載した文書という点では共通しています。なお、覚書は当事者間で取り決めした内容を記した、契約書を補完する役割を持った文書として用いられることが多いものです。そして、一方、契約書は当事者間における合意の根幹となる内容を示した文書として用いられることが多いものです。なお、覚書も契約書も当事者間が合意した内容を記載した文書であり、合意内容を証するものである点には違いはありません。
覚書と念書との違い
念書は約束した守るべき事項を記載し、約束を守るべき一方が相手に対して差し出す書類として用いられます。まず、念書は、それを受け入れる当事者側は署名・押印をしないことが多いものです。そして、一方が差し入れ、他方がこれを受け取ることにより、記載された内容に双方が合意又は確認したことを示す書面といえます。
個別の書類について
ここでは、契約の書類の契約書、覚書、合意書、協定書、念書、誓約書について説明します。まず、契約書、覚書、合意書、協定書について説明します。続いて、念書、誓約書について説明します。
1. 双方で合意し、対等な関係で交わす書類(契約書・覚書・合意書・協定書)
この4つは、基本的には「お互いに話し合って合意した内容」をまとめたものです。そして、形式や法的効力に本質的な差はありませんが、実務上の「重み」や「目的」で使い分けられます。
- 契約書
- 意味: 取引の全体像や、重要で法的な権利・義務をゼロから定める公式な書類です。
- 主なシーン: 売買契約、業務委託契約、賃貸借契約など、ビジネスの主軸となる取引を開始するときに用いられます。
- 覚書
- 意味: すでに存在する「契約書」の内容を一部変更・追加したりする時に用いられます。そして、正式な契約を結ぶ前の「仮の合意」をメモとして残したりする書類です。
- 主なシーン: 「〇年〇月〇日付の契約書の、第3条の金額を〇円に変更する」というような場合に用いられます。
- 合意書
- 意味: 覚書とほぼ同じです。ただし、こちらは「特定のトラブルの解決」や「ピンポイントな事実の確認」に対して、お互いが納得したことを証明するニュアンスが強くなります。
- 主なシーン: 示談交渉が成立したとき、離婚時の条件合意、プロジェクトの一部仕様変更の確認として用いられます。
- 協定書(きょうていしょ)
- 意味: 国家間、自治体間、あるいは企業間で、共通の目的や方針に協力していくための「大枠のルール」を定める書類です。
- 主なシーン: 災害時の相互協力協定、自治体と企業による地域活性化協定など、パブリックな性格が強いものです。
2. 一方からもう一方へ「差し出す」書類(念書・誓約書)
これらは前の4つとは明確に異なります。それは、「片方の人(企業)だけが署名・押印し、相手に提出する」という一方向の書類です。
- 念書
- 意味: 「私はあなたに対して、確かに〇〇をします(あるいはしません)」。そして、このように後から言い逃れができないように念を押すために差し出す書類です。
- 主なシーン: 個人の間でお金を借りたときの確認(借用書の代わり)があります。また、トラブルを起こした側が「二度としません」と約束する場合もあります。
- 誓約書
- 意味: 念書の一種ですが、より組織的・公式な場面で、特定のルールや条件を「厳守すること」を誓う書類です。
- 主なシーン: 入社時に「会社の秘密情報を漏洩しません」と提出する秘密保持誓約書があります。そして、サービスの利用規約への同意などもあります。
比較表
| 書類名 | 署名する人 | 主な役割・キャラクター |
| 契約書 | 双方(対等) | ビジネスや取引のベースとなる公式なルールを決める |
| 覚書 | 双方(対等) | 本契約の補助・変更・追加、または仮の合意メモ |
| 合意書 | 双方(対等) | 特定の事項やトラブルについてお互い納得した事実を残す |
| 協定書 | 双方(対等) | 自治体や企業間で共通の方針や協力体制を組む |
| 念書 | 一方のみ | 後で揉めないように、相手に約束を差し出す(念押し) |
| 誓約書 | 一方のみ | 組織やルールに対して義務を遵守することを誓う |
参考:
覚書とは?契約書や念書との違いや必要な場面、記載事項などについて
契約書の意義 国税庁
2国間の合意について
まず、国家間の取り決めは、名称が違っても 法的にはすべて「条約」 に含まれます。ただし、内容や重要度によって呼び方が変わります。例えば、条約、協定、交換公文、覚書、共同声明などがあり、以下に説明します。なお、この「覚書」が今回のアメリカとイランの覚書になります。
1. 条約(Treaty)
最も重い、正式な国際契約。国会承認が必要なことが多いものです。
2. 協定(Agreement)
条約より少し軽いものですが、依然として法的拘束力が強いものです。そして、経済・貿易・技術協力などで多用されます。
3. 交換公文(Exchange of Notes)
政府間で文書を交換して合意内容を確定する形式です。そして、実務的な取り決めでよく使われるものです。
4. 覚書(MOU:Memorandum of Understanding)
法的拘束力が弱い、または持たせない「合意文書」です。そして、協力の方向性を示すときに使われます。
5. 共同声明(Joint Statement)
首脳会談後に発表される政治的合意に用いられます。そして、法的拘束力はありませんが、外交上は非常に重要なものです。
拘束力
二国間で結ばれる取り決めは、 以下のように、法的拘束力の強さにグラデーションがあります。

参考:
条約について
まとめ
ここまで、合意について、日本国内でおこなわれるもの、2国間でおこなわれるものについて説明しました。まず、国内の契約について、覚書、個別の書類についてを説明しました。つぎに、2国間の合意について、条約、協定、交換公文、覚書、共同声明を説明しました。
まず、2国間での「覚書」は“関係を壊さないための曖昧さ”を残すものでした。これに対し、「条約」は“信頼の最大化”を目的とするものでした。そして、共同声明は“政治的メッセージ”としての役割が強いものでした。それぞれを使い分けているものでした。そして、「覚書」は1つの区切りになるもののような気がしました。
「覚書」という言葉に違和感を感じて契約関係について調べました。そして、覚書については、日本語では忘れないように書き留めておくこととして使われています。しかし、2国間の契約という視点で見た時、「覚書」という日本語と英語の隔たりがあるようにも感じました。つまり、ちょうど言い表す言葉がなく、近いものとして「覚書」という言葉が使われたような気がしました。また、不勉強のため交換公文というものを知りませんでした。このような使い分けについて、気づけたのに意味があったような気がしました。

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