誰かに見られているだけで、緊張したり、普段なら簡単にできることがぎこちなくなることがあります。例えば、多くの人の前でするプレゼンなどではぎこちなくなることがあります。また、いつもは行かない高級店に、テレビで見た商品がどんなものか見に行くと店員さんに見られているような気がします。ただし、スーパーやコンビニで店員さんの視線を感じたことはほとんどありません。そして、プレゼン、会議、スポーツ、日常のちょっとした場面でも起きるこの現象は、多くの人が経験しているようです。
また、なぜ「見られている」というだけで、脳は普段どおりのパフォーマンスを発揮できなくなるのかという疑問が浮かびます。そして、この現象は社会的促進と評価懸念という2つの理論で説明できつようです。
そこで、このブログでは、視線がパフォーマンスに与える影響に注目することにしました。そして、脳の防御反応、社会的促進、評価懸念、脳の注意資源、パフォーマンスが変わる理由について調べましたので以下に説明します。
見られると緊張するのは「脳の防御反応」
人は誰かに見られると、脳の扁桃体が「評価されている」「失敗できない」と判断します。そして、軽いストレス反応を起こします。その軽いストレス反応には以下のようなものがあります。つまり、これは危険から身を守るための生存戦略で、脳が「慎重に動け」と指示している状態です。
- 心拍数が上がる
- 呼吸が浅くなる
- 手が震える
- 動作がぎこちなくなる
社会的促進:見られると“得意なことは強くなる・苦手なことは弱くなる”
社会心理学の古典的な理論である社会的促進(Social Facilitation)は以下のように説明されます。つまり、見られること自体が悪いのではなく、 「その行動がどれだけ習熟しているか」で結果が変わります。
- 得意な行動 → 見られるとパフォーマンスが上がる
- 慣れていない行動 → 見られるとパフォーマンスが下がる
例
- プロのピアニストは観客がいるほうが上手く弾ける
- 初めてのプレゼンは人前だと固まる
- 慣れた作業は見られても問題ないが、慣れない作業はミスが増える
つまり、見られることで脳が「緊張モード」に入り、未熟な行動ほど影響を受けやすくなります。
評価懸念:人は“評価されること”に強いストレスを感じる
もうひとつ重要なのが評価懸念(Evaluation Apprehension)です。そして、これは人は「見られている=評価されている」と解釈しやすいというものです。また、以下のような不安が生まれます。そして、この「評価されるかもしれない」という意識が、脳の前頭前皮質を過剰に働かせ、動作がぎこちなくなります。
- 失敗したらどう思われるだろう
- 下手だと思われたくない
- 間違えたら評価が下がるかもしれない
例
- 上司が見ているとタイピングが遅くなる
- 会議で発言しようとすると言葉が出てこない
- スポーツで観客がいるとミスが増える
つまり、評価される状況は、脳にとって“危険”とみなされるため、普段どおりの動きができなくなります。
視線は「脳の注意資源」を奪う
視線には強い心理的影響があります。つまり、誰かが自分を見ていると、脳はその視線に注意を割き、行動に使うリソースが減ります。また、その際の心理的影響には以下のようなものがあります。そして、これらが重なることで、普段なら自動的にできる動作が「手動モード」に切り替わります。そのために、動作がぎこちなくなります。
- 見られている意識
- 自分の動作への過剰な注意
- 周囲の反応への警戒
なぜ普段どおりにできなくなるのか?
見られると普段どおりにできなくなる理由は、次の3つに集約できます。つまり、見られることで脳が「普段のモード」から「評価されるモード」に切り替わります。そして、その結果としてパフォーマンスが低下することになります。
脳が「評価されている」と判断する
→ 扁桃体がストレス反応を起こす
社会的促進により、未熟な行動ほどパフォーマンスが落ちる
→ 慣れていない行動は緊張に弱い
視線が注意資源を奪う
→ 自動的な動作がぎこちくなる
まとめ
ここまで、脳の防御反応、社会的促進、評価懸念、脳の注意資源、パフォーマンスが変わる理由について説明しました。まず、脳の防御反応について、見られることで扁桃体が反応し軽いストレス反応を受けることを説明しました。つぎに、社会的促進について、見られると得意なことは強くなる・苦手なことは弱くなるを説明しました。続いて、評価懸念について、人は“評価されること”に強いストレスを感じるを説明しました。更に、脳の注意資源について、視線に注意を割かれ、行動に使うリソースが減少することを説明しました。最後に、パフォーマンスが変わる理由について、脳が「評価されている」と判断する、社会的促進、注意資源を奪うを説明しました。
まず、「見られている」というだけで、普段どおりのパフォーマンスを発揮できなくなる現象に注目しました。そして、この現象は社会的促進と評価懸念という2つの理論が大きく関係していました。その関係する理由には以下のようなものがありました。
- 見られると脳がストレス反応を起こす
- 社会的促進により、慣れていない行動ほどパフォーマンスが落ちる
- 評価懸念が「失敗できない」というプレッシャーを生む
- 視線が注意資源を奪い、動作がぎこちくなる
- 見られて普段どおりにできないのは、脳の自然な反応である
また、上述もしましたが「慣れていないこと」が対象でした。しかし、得意な行動では逆にパフォーマンスが上がるということがありました。慣れや心理状態によってどうなるかが変わることになります。つまり、同じような状況でも、人によっては人に見られていても普段通りの人、パフォーマンスが上がる人、パフォーマンスが下がる人がいるような気がしました。

コメント