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せっかくやってきたんだから :サンクコスト効果

心理
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 面白くないと感じた映画なのにを最後まで見てしまう。また、着ていくことがない高価な洋服を捨てることができない。そして、投資した資金回収のために不採算な事業なのはわかっていても継続してしまう。このような話を聞いたことがあります。そして、私もお金や労力をかけてしまったばかりにやめられないことはあったような気がします。このような現象をサンクコスト効果と言います。

 このブログでは、サンクコスト効果がどのようなものか、起きる原因、具体例、対策、脳での処理について説明します。

サンクコスト効果とは?

概要

 サンクコスト効果(埋没費用効果)とは、すでに費やした時間お金労力といったサンクコスト(埋没費用)を惜しみます。そして、合理的な判断ができなくなります。その結果、損をするとわかっていてもやめられなくなる心理現象です。

なぜサンクコスト効果は起こるのか?

 この効果が起こる主な理由は、人間の「損失回避性」という心理的な傾向にあります。私たちは利益を得る喜びよりも、損失を被る苦痛をより強く感じるため、「これまでにかけたコストが無駄になる」という損失を避けようとします。
 なお、損失回避については、以前部ブログで説明しているので参照してください。

具体的な例

  • 映画の例
    • 映画館でつまらない映画を観ているときに起きます。つまり、「せっかくお金を払ったんだから最後まで観よう」と途中で席を立てない。
  • プロジェクトの例
    • 多額の費用と時間を投じたプロジェクトが失敗しそうなときに起きます。それでも、「これまで頑張ってきたのに無駄にしたくない」と撤退の判断ができない。
  • ゲームの例
    • 課金したスマホゲームをやめられない状態です。つまり、「これだけお金を使ったんだから、やめるのはもったいない」と続けてしまう。

 これらの例では、過去の投資(サンクコスト)は未来の判断には全く関係ありません。しかし、私たちはそのサンクコストを「未来の成功に結びつけるための投資」だと錯覚します。そして、やめられない状況に陥ります。

サンクコスト効果を乗り越えるには?

  • 「これまでのコストは無駄ではない」と考える
    • やめたとしても、その経験から得た教訓やスキルは残ります。サンクコストを「授業料」と捉えれば、次の判断に活かすことができます。
  • 未来に焦点を当てる
    • 今後、このまま続けることで得られる利益は何か?。または、このまま続けることで、さらに大きな損失が発生しないか?。このように、過去ではなく未来の視点で判断し直します。
  • 第三者に相談する
    • 感情的な判断から離れます。そのために、事情を知らない客観的な視点を持つ人に相談することも有効です。

  サンクコスト効果を理解することで、より合理的な意思決定ができるようになります。

脳機能とサンクコスト効果

脳の報酬系と損失回避

 サンクコスト効果は、脳の報酬系損失回避のバランスによって引き起こされると考えられています。

  • 報酬系の働き: 脳の報酬系は、快楽や満足感を感じたときに活性化します。そして、ドーパミンを分泌します。サンクコスト効果においては、「これまでの努力が報われる」という期待がもたれる。もしくは、プロジェクトの成功によって報酬が得られるという見込みある。このような時に、この報酬系が刺激されることになります。
  • 損失回避: 一方で、私たちの脳は「損失」を極端に嫌う性質があります。過去に投じたお金や時間が無駄になることがわかる。そして、そのような時に、損失を避けるために、非合理的な選択を促します。この損失回避の感情が、理性的な判断よりも強く作用することで、サンクコスト効果に陥りやすくなります。

前頭前野の機能不全

 また、サンクコスト効果が強く働くとき、脳の前頭前野がうまく機能していない可能性が指摘されています。

  • 前頭前野の役割: 前頭前野は、論理的な思考、意思決定、感情のコントロール、未来の計画など、高度な認知機能を司る部位です。
  • 判断のゆがみ: サンクコスト効果に陥ると、過去のコストを考慮しないという論理的な判断ができなくなります。これは、前頭前野が感情的な判断(損失を避けたいという気持ち)に支配されます。そして、その機能を十分に発揮できていない状態だと考えられます。

 これらの脳の働きが、過去の投資に対する執着を生み出します。そして、合理的な判断を妨げることで、サンクコスト効果という心理現象として現れると考えられています。

まとめ

 ここまでサンクコスト効果がどのようなものか、起きる原因、具体例、対策、脳での処理について説明しました。そして、すでに費やした時間お金労力等を惜しみ、合理的な判断ができなくなります。その結果、損とわかっていてもやめられなくなる心理現象をサンクコスト効果と説明しました。そして、サンクコスト効果を乗り越える方法についても触れました。そして、この時の脳がどのような状態なのかについても説明しました。

 サンクコスト効果を知らないと、そのままズルズル続けてしまうことがあるかもしれません。しかし、この効果の理解により、同様な状態になった時に、この現象の理解で回避できることがあるかもしれないと思いました。

 

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