PR

なぜ「自分が何をしたいのか」わからなくなるのか?脳のノイズと自己概念

心理
スポンサーリンク

 やりたいことが分からないということをよく聞きます。テレビなどでもそのようなセリフがあるような気がします。また、何を選べばいいのか決められないということもあります。そして、「自分は何がしたいんだろう」と考えるほど、頭の中がモヤモヤしてくることもあります。そして、多くの人がこの“自己喪失感”に悩みますが、これは決して意志が弱いからでも、主体性がないからでもないようです。

 実は、脳の中でノイズ(過剰な情報・比較・不安)が増えすぎると、本来の「自分の声」が聞こえなくなるという現象が起きるようです。さらに、自己をつくる脳領域である前頭前野や、自分に関する情報を処理する内側前頭前野(mPFC)が疲れていると、“自分が何をしたいのか”という感覚そのものが曖昧になるようです。そこで、ここでは「自分が何をしたいかわからなくなる」ことに注目することにしました。

 このブログでは、なぜ人は「自分が何をしたいのか」分からなくなるのか、その要因、対応策、脳の動きについて調べましたので以下に説明します。

「自分が何をしたいのか」わからなくなる要因

脳は「情報が多すぎる」と自分の声を見失う

 現代の脳は、常に膨大な情報にさらされています。例えば、SNSの価値観、他人の成功、流行、比較、評価、選択肢の多さなどです。また、これらが脳に“ノイズ”として蓄積されると、自分の本音よりも、外の情報の方が強く聞こえるようになります。そして、これは脳が情報処理に追われている状態です。

  • この段階で起きること
    • 他人の意見に引っ張られる
    • 自分の気持ちが分からなくなる
    • 「何が正解か」を探し続ける
    • 選択肢が多すぎて決められない

前頭前野が疲れると「自分の意思」が弱まる

 前頭前野は、判断、選択、計画、自己コントロールを担当する脳の司令塔です。しかし、情報過多やストレスが続くと、前頭前野は疲労します。つまり、「自分の意思」そのものが弱まります。

  • 前頭前野が疲れると…
    • 判断ができない
    • 選択ができない
    • 何がしたいか分からない
    • すぐに迷う

内側前頭前野(mPFC)が弱ると“自己概念”が揺らぐ

 mPFCは、自分に関する情報、自分の価値観、自分の好み、自分の選択基準を処理する領域です。そして、ここが疲れると、「自分とは何か」という感覚が曖昧になります。つまり、これは“自己概念の揺らぎ”と呼ばれる状態です。

  • mPFCが弱ると起きること
    • 自分の好き嫌いが分からない
    • 自分の価値観が見えない
    • 他人の意見に流される
    • 自分の軸がなくなる

DMN(デフォルトモードネットワーク)が不安を増幅する

 脳には、何もしていないときに働くネットワークがあります。そして、それがデフォルトモードネットワーク(DMN)です。なお、DMNは、過去の後悔、未来の不安、自己評価、他人との比較を自動で処理します。つまり、“考えれば考えるほど分からなくなる” という状態が生まれます。

  • DMNが暴走すると…
    • 「自分は何をしたいんだろう」と悩み続ける
    • 不安が増える
    • 自己否定が強くなる
    • 何を選んでも間違っている気がする

ノイズが増えると「本音」が聞こえなくなる

 脳の中でノイズが増えると、本来の自分の声(価値観・好み・欲求)がかき消されます。そして、これらが脳内で混ざり合い、「自分の声」よりも「外の声」が大きくなります。

  • ノイズの正体
    • 他人の期待
    • SNSの価値観
    • 比較
    • 不安
    • 完璧主義
    • 選択肢の多さ

内容の整理:「自分が何をしたいのか分からない」状態の脳

  1. 情報過多でノイズが増えている
  2. 前頭前野が疲れて判断力が落ちている
  3. mPFCが弱り、自己概念が揺らいでいる
  4. DMNが暴走し、不安が増幅されている
  5. 外の声が大きくなり、自分の声が聞こえない

対応策:“自分の声”を取り戻すための脳科学的アプローチ

情報を減らす(ノイズを下げる)

 ノイズが減ると、自分の声が聞こえやすくなります。例えば、以下のようなことでノイズを減らします。例えば、SNSの時間を減らす、他人の意見を見すぎない、選択肢を絞るなどです。

小さな「好き」を拾う

 脳は“大きな夢”よりも、小さな快・小さな好みの方が本音を反映します。そして、これらを拾うことで、自己概念が再構築されます。例えば、好きな音、好きな匂い、好きな場所、好きな作業などです。

書き出して「自分の声」を可視化する

 書くことでmPFCが活性化し、自己概念が強まります。例えば、何が嫌か、何が好きか、何が疲れるか、何が楽しいかなどです。

マインドフルネスでDMNを静める

 マインドフルネスでDMNの暴走が抑えられ、「自分の声」が聞こえやすくなります。

  • 呼吸に意識を向ける
  • 身体感覚を観察する

通常状態から「自分が何をしたいのか分からなくなる」までの脳の動き

 人は最初から「自分が何をしたいのか分からない」わけではありません。通常状態 → ノイズ増加 → 自己概念の揺らぎ → 自分の声が消える という流れで、徐々に“自分の軸”が見えなくなっていきます。以下では、脳の動きをステップごとに説明します。なお、前述した内容と重複部分はありますが、脳の動きをわかりやすくするために省略していません。

通常状態:自分の価値観・好みが自然に感じられる

 通常の脳は、前頭前野(判断・選択)、内側前頭前野mPFC(自己に関する処理)がバランスよく働いています。つまり、“自分の声”が自然に聞こえている状態です。

  • この段階では…
    • 自分の好き嫌いが分かる
    • 直感が働く
    • 選択に迷いすぎない
    • 自分の軸がある程度ある

情報が増える:脳にノイズが入り始める

 現代の脳は、常に外部から刺激を受け続けています。例えば、SNSの価値観、他人の成功、流行、比較、評価、選択肢の多さなどです。そして、これらが脳に“ノイズ”として蓄積されます。なお、脳はまだ正常ですが、ノイズが増え始めています。

  • この段階で起きること
    • 他人の意見が気になる
    • 自分の気持ちより外の情報が強くなる
    • 「正解探し」が始まる

前頭前野が疲れ始める:判断力が落ちる

 情報が多すぎると、前頭前野が疲労します。なお、前頭前野は、判断、選択、計画、自己コントロールを担当する領域です。そして、ここで“自分の意思”が弱まり始めます。

  • 前頭前野が疲れると…
    • 判断ができない
    • 選択ができない
    • 迷いやすくなる
      「何がしたいか」がぼやけます。

mPFC(内側前頭前野)が弱る:自己概念が揺らぐ

 mPFCは、自分に関する情報、自分の価値観、自分の好み、自分の選択基準を処理する領域です。そして、ここが疲れると、「自分とは何か」という感覚が曖昧になります。そこで、“自己概念の揺らぎ”が始まります。

  • この段階で起きること
    • 自分の好き嫌いが分からない
    • 自分の価値観が見えない
    • 他人の意見に流される
    • 自分の軸が弱くなる

DMN(デフォルトモードネットワーク)が暴走する

 脳が疲れると、DMNが活性化します。なお、DMNは、過去の後悔、未来の不安、自己評価、他人との比較を自動で処理するネットワークです。つまり、考えれば考えるほど分からなくなる状態になります。

  • DMNが暴走すると…
    • 「自分は何をしたいんだろう」と悩み続ける
    • 不安が増える
    • 自己否定が強くなる
    • 何を選んでも間違っている気がする

ノイズが限界を超える:自分の声が完全に聞こえなくなる

 ここまで来ると、脳内は、外の声(SNS・比較・評価)、不安、完璧主義、情報過多でいっぱいになり、自分の本音が完全にかき消されます。そして、これが「自分が何をしたいのか分からない脳」の完成です。

  • この段階で起きること
    • 何をしたいか分からない
    • 何を選んでもしっくりこない
    • 自分の気持ちが分からない
    • 何をやっても満たされない

まとめ

内容の整理

 ここまで、なぜ人は「自分が何をしたいのか」分からなくなるのか、その要因、対応策、脳の動きについて説明しました。まず、その要因について、脳は「情報が多すぎる」と自分の声を見失う前頭前野が疲れると「自分の意思」が弱まる“自己概念”が揺らぐDMNが不安を増幅するノイズが増えると「本音」が聞こえなくなるを説明しました。次に、対応策として、情報を減らす小さな「好き」を拾う書き出して「自分の声」を可視化するマインドフルネスでDMNを静めるを説明しました。最後に、脳の動きについて、通常状態情報が増える前頭前野が疲れ始めるmPFCが弱るDMNが暴走するノイズが限界を超えるを説明しました。

 まず、あなたが悪いのではなく、脳が疲れているだけでした。そして、人が「自分が何をしたいのか分からない」と感じるのは、情報過多でノイズが増える、前頭前野が疲れる、mPFCが弱り、自己概念が揺らぐ、DMNが不安を増幅する、外の声が大きくなり、自分の声が聞こえないという脳のプロセスがあるからでした。そして、対策として、脳のノイズを減らし、小さな「好き」を拾い直すことで、“自分の声”は必ず戻ってくると思われます。

まとめ

 また、書くことになるとは思っていましたが扁桃体が重要なテーマになってしまっていました。「なぜ“やるべきこと”ほど後回しにしてしまうのか?脳の回避戦略 」「なぜ「忙しいのに暇が怖い」のか?脳が求める“刺激依存” 」「なぜ「やる気」は出ないのに、スマホだけは触れるのか?報酬系のハイジャック」「なぜ人は「嫌な記憶」ほど鮮明に覚えているのか?脳の生存バイアス 」そして、自分が何をしたいのかわからない、嫌な記憶、やる気、後回し、忙しいのに暇が怖いなど多様な部分に影響していました。なお、これらのテーマは意図的に同時期に選定したものではありませんでした。

 しかし、今回の「”自分が何をしたいのか”分からなくなるのか」については、現在特有のスマホや刺激依存などによるものに近ものと考えられます。つまり、古代からあった生存本能に基づく反応ようりも、情報過多により前頭前野が疲れ理性が弱まることで扁桃体の影響が大きくなったものと考えられます。なお、ここでは生存本能、情報過多の2つに分けていますがまだほかにも原因があるかもしれません。知らないところで現在の社会の影響が多々あることには驚きがあります。恐ろしい影響が出てこないことを望みます。

 

関係ブログ

コメント