PR

なぜ人は「お得」に弱いのか?

心理
スポンサーリンク

 スーパーの割引などで半額シールが貼られていると、必要ないものまでつい買ってしまう。また、限定品である「今だけ」「数量限定」という言葉に弱く、焦って購入してしまう。そして、ポイントを貯めるために、そして、ポイントアップという言葉で、普段行かないお店でも買い物をしてしまう。また、あと100円で送料無料になるなら、と必要のないものをカートに入れてしまう。 このようなことをよくやってしまいます。これらの例のように、「なぜ私たちは、冷静に考えればお得ではないとわかるのに、『お得』という言葉に弱くなってしまうのだろうか?」という疑問を解決するために調査をしました。この「お得」に弱い心理に迫ります。

「お得」に感じる3つの心理メカニズム

プロスペクト理論(Prospect Theory):損失を過剰に回避する心理

 人間は、利益を得る喜びよりも、損失を被る苦痛の方が大きく感じられるという理論です。つまり、この心理が「損をしたくない」という気持ちを強くさせ、お得な情報に飛びつく原因になります。

  • 具体例:
    • 割引:「定価から〇〇円引き」という表示は、もし定価で買ったら損をした気分になるため、割引されている今が「得」だと感じてしまう。
    • 限定品:「今買わないと手に入らない」という状況は、手に入らないことによる「損失」を強く意識させ、購入を後押しする。

 理由: 割引や限定品は、「損をしないための行動」だと脳に錯覚させます。そして、割引期間を逃すことや、限定品を買い損ねることを「損失」と捉えます。そして、これにより購入を促されます。

アンカリング効果(Anchoring Effect):最初に提示された情報に引きずられる心理

 人間は、最初に提示された数値や情報(アンカー)に判断が強く影響される傾向があります。買い物においては、最初に目にする「元の価格」がこのアンカーとなります。そして、割引後の価格がよりお得に感じられます。

  • 具体例:
    • 値引き:「1万円の商品が5,000円!」という表示を見ると、元の1万円という価格がアンカーとなり、5,000円という価格が非常に安く感じられる。元の価値が本当に1万円であるかどうかにかかわらず、です。
    • メニュー:レストランで一番高価なメニューを最初に見てしまうと、次に見たメニューが相対的に安く感じられる。

 理由: アンカーによって作られた基準(元の価格)と、実際の価格のギャップが「お得感」を生み出します。そして、このギャップが大きければ大きいほど、より強くお得だと感じてしまうのです。

フレーミング効果(Framing Effect):情報の伝えられ方で判断が変わる心理

 同じ内容の情報でも、どのように表現されるか(フレーム)によって、私たちの判断や選択が変わるという効果です。そして、この効果はお得感の演出に頻繁に利用されます。

  • 具体例:
    • 金額表示:「10%オフ」よりも「1,000円引き!」の方が、金額の大きさが直感的にわかりやすく、お得に感じやすい(元の価格が1万円の場合)。
    • 送料:「送料無料」という表現は、「送料込み」と表示されるよりも、送料分の金額が丸ごと得した気分になる。

 理由: 企業は、消費者が最もお得だと感じやすいように情報を「フレーム」します。そして、数字の表示方法や言葉の選び方一つで、消費者の購買意欲を巧みに引き出すのです。

「お得」の罠を見抜くための賢い消費者になるヒント

  • 本当に必要かを自問する:割引や限定品に飛びつく前に、「本当に今、これが必要か?」と一度立ち止まって考える。
  • 価格のアンカーを疑う:元の価格が適正かどうかを、他の商品やお店と比較して調べる。
  • フレーミングを意識する:「送料無料」という言葉だけでなく、合計金額で判断する。
  • 感情的になる前に一呼吸置く:「お得だ!」と感じた時は、一度その場を離れたり、時間を置いたりして冷静になる。

まとめ

 「お得」と感じてしまう、3つの要因にプロスペクト理論、アンカリング効果、フレーミング効果について説明をしました。また、これらはどれも引っかって?しまいそうな理由でした。そして、企業や会社はこういう方法を使っていたのかという感覚もありました。しかし、実際に安く、お得になっているのもあるような気もしています。すでにやられているかもしれませんが??

 また、「お得」が本当かどうかを見定める方法も示しました。それは、冷静になって「本当に今、これが必要か?」、「元の価格が適正かどうか」、「『送料無料』という言葉だけでなく、合計金額で判断する」、「一度その場を離れたり、時間を置いたりして冷静になる」というものでした。これらは、言われてみれば納得というものでした。ただし、臨場感のあるセール会場で冷静さを持てるかどうかには自身がありません。狙った物がある場合、ある程度の期間にその値段の推移を見ることで客観的な見方ができ、「お得」を得る可能性が高くなるような気がしました。

コメント