ネットで商品を調べると、レビューが極端すぎて戸惑うことがあります。そして、そこには、「最高!人生が変わった!」という絶賛があります。それと同時に、「最悪。金の無駄。」という酷評が並んでいます。しかし、どちらも本当のようで、本当ではないと思われます。なぜ、人は、レビューになると急に“極端な評価”を書いてしまうのかという疑問が浮かびました。つまり、妥当なレビューをする人の中にいる極端なレビューをしてしまう人の存在が気になりました。
その背景には、感情のピーク効果、ネガティビティ・バイアス等の心理が関わっているようです。そして、ネット特有の匿名性も深く関わっているようです。つまり、極端なレビューは、冷静な判断ではなく、“感情のピーク”で書かれた瞬間の記録のようです。今回はこの点に注目することにしました。
このブログでは、レビューが極端になる心理、脳科学的要因、対策について調べましたので以下に説明します。
レビューが極端になる要因
感情のピーク効果 ― 人は“強い瞬間”だけで評価を決める
心理学には ピークエンドの法則(Peak-End Rule) があります。そして、体験全体ではなく、最も強く感情が動いた瞬間(ピーク)と最後の瞬間(エンド)で評価を決めることです。そのため、めちゃくちゃ良かった、めちゃくちゃ腹が立ったという“強い感情”が生まれたときだけ、レビューを書きたくなります。そして、その結果、レビューは極端になりやすくなります。これに関係したブログを以前書いていますので気になる場合は参照してください。最初と最後が大事?:初頭効果・親近効果
ネガティビティ・バイアス ― 悪い体験のほうが強く残る
脳は「危険」を優先して記憶するようにできています。これを ネガティビティ・バイアス と呼びます。そして、そのため、少し嫌な思いをした、想像より悪かった、店員の態度が気に入らなかったといった“マイナスの体験”は、必要以上に強く記憶に残ります。そして、その結果、悪いレビューは、長文、攻撃的、感情的になりやすくなります。しかし、これは脳の防衛反応であり、性格の問題ではありません。
自己正当化 ― 自分の選択を守るために極端になる
高いお金を払ったのに満足できなかったとき、自分の選択は間違っていないと思いたくなります。この心理を 認知的不協和(Cognitive Dissonance) と呼びます。そして、そのため、過剰に褒める、過剰に貶すという“極端な評価”で自分の気持ちを整理しようとします。
つまり、レビューは、自分の感情を正当化するための場になっています。なお、認知的不協和については、以前のブログで書いています。興味がある場合は参照してください。「認知的不協和とは?」人が言動を正当化してしまう心理
承認欲求 ― 強い言葉のほうが注目される
レビューは「自分の意見を世界に残せる場」です。そして、そのため、承認欲求が刺激されます。
- 強い言葉のほうが読まれる
- 過激な表現のほうが“いいね”がつく
- 自分の意見を目立たせたい
それゆえ、以上のような心理が働き、レビューはより極端な表現になりやすくなります。そして、SNS文化がこれをさらに加速させています。
匿名性 ― ネットは“感情のフィルター”が外れる場所
また、匿名では、遠慮が消える、社会的評価を気にしない、感情をそのまま書きやすくなります。そして、そのため、普段は言わないような言葉でも、レビューでは平気で書けてしまいます。つまり、匿名性は、人の感情表現を増幅させる装置でもあります。
脳科学で見る「レビューが極端になる理由」
レビューを書くとき、脳では以下のようなことが起きています。
扁桃体が興奮する
怒り・喜びなど強い感情が生まれます。すると、扁桃体が活性化し、冷静な判断ができなくなります。
ドーパミンが分泌される
「自分の意見を表現する」行為は快感を伴います。そして、そのため強い言葉を使いたくなります。
記憶が“感情の強度”に引っ張られる
脳は強い感情と結びついた記憶を優先して思い出します。そして、そのため、レビューが偏ってしまいます。つまり、レビューは脳が感情に支配されている瞬間の記録ということになります。
なぜ現代人は特に極端なレビューを書きやすいのか
現代のネット環境は、極端なレビューを生みやすい構造になっています。
- SNSで“強い意見”が注目される
アルゴリズムは過激な投稿を拡散しやすい。 - 比較文化が強い
レビューを読むほど、感情が強くなる。 - ストレス社会
日常の不満をレビューにぶつけやすい。 - 情報過多で脳が疲れている
判断が雑になり、感情的な評価をしやすい。
つまり、現代人は、極端なレビューを書きやすい環境に生きているということになります。
極端なレビューに惑わされないためのコツ
- 中間評価を見る
星3〜4のレビューが最も信頼性が高いことになります。 - 長文レビューは“感情の発散”と理解する
内容よりも感情が書かれていることが多くあります。 - 感情語の多いレビューは避ける
「最悪」「神」「人生変わる」などは参考になりにくいものです。 - 具体的な事実だけを抽出する
- サイズ
- 使用感
- 耐久性
など、客観的な情報だけ拾います。
まとめ
ここまで、レビューが極端になる心理、脳科学的要因、対策について説明しました。まず、極端になる心理について、感情のピーク効果、ネガティビティ・バイアス、自己正当化、承認欲求、匿名性を説明しました。次に、脳科学的要因について、扁桃体が興奮する、ドーパミンが分泌される、記憶が“感情の強度”に引っ張られるを説明しました。続いて、現代人特有の要因について、SNSで“強い意見”が注目される、比較文化が強い、ストレス社会、情報過多で脳が疲れているを説明しました。最後に、対応策として、中間評価を見る、長文レビューは“感情の発散”と理解する、感情語の多いレビューは避ける、具体的な事実だけを抽出するを説明しました。
まず、レビューが極端になるのは、性格の問題でも、ネットの民度の問題でもありませんでした。また、これには、ピークエンドの法則、ネガティビティ・バイアス、自己正当化、承認欲求、匿名性などが関係していました。そして、これらの心理が重なり、人は“感情のピーク”でレビューを書いてしまいます。つまり、レビューは、その人の“瞬間の感情”を切り取ったものになります。だからこそ、読む側は冷静に扱う必要があることになります。
私もネットショッピングで購入の際参考にすることがあります。そして、時々極端なレビューを見かけることがあります。まず、レビューの内容よりもレビュー数を見て、大きな差がないかを確認します。そのあと内容を確認します。なんでこんなに極端なレビューを書くのかと疑問に思うこともありましたが、今回納得しました。

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