ここ最近は「検索」することが当たり前になっています。そして、毎日検索することも珍しくなくなっているような気がします。また、その用途も仕事、勉強、趣味、健康、相談など多様になっています。そして、用途によりますが、「不安だから調べる」「調べれば安心できるはず」そう思って検索を続けているのに、気づけば不安がどんどん大きくなっていくことがあります。それは、SNS、ニュース、検索結果、専門家の意見…などいろいろです。そして、情報を追えば追うほど、心が落ち着かなってしまう。このような経験はないでしょうか?
実は、これはあなたの意志の弱さでも、心配性だからでもないようです。つまり、脳には、“情報を集めるほど不安が強くなる”という仕組みがあり、その働きがあなたを情報過負荷(インフォメーション・オーバーロード)へと追い込んでいるようです。今回この点に注目することにしました。
このブログでは、なぜ情報を追うほど不安が強くなるのかについて、その理由、対応策について調べましたので以下に説明します。
「情報を追うほど不安になる」理由
脳は「ネガティブ情報」を優先して拾うようにできている
まず、押さえておきたいのは、脳はポジティブよりネガティブを優先して処理するという事実です。そして、これは「ネガティビティバイアス」と呼ばれ、生存のために必要だった仕組みです。危険な情報、不安を煽る情報、リスクに関する情報こうしたものを優先的に拾うことで、私たちの祖先は危険を回避して生き延びてきました。そして、その名残が現代にも残り、情報を集めるほど“危険情報”ばかりが目に入るという偏りが生まれます。その結果、不安なニュースばかり目に入る、ネガティブな投稿だけが刺さる、検索結果の“悪い情報”ばかり気になるという状態になります。
扁桃体が危険情報を“強調保存”する
脳の中でネガティブを扱う中心が、扁桃体です。なお、扁桃体は危険を検知するセンサーのような役割を持ち、病気、事故、事件、経済不安、人間関係のトラブルなどの情報を強く反応します。そして、そのため情報を追うほど扁桃体が刺激され、「もっと危険があるかもしれない」 という警戒モードが強まります。これが、不安が増幅する第一の原因です。
情報が多いほど前頭前皮質が疲れ、判断力が落ちる
情報を処理するのは、前頭前皮質(PFC) です。なお、PFCは、情報の整理、判断、冷静な思考、優先順位づけ、を担当しています。しかし、情報が多すぎると、PFCは処理しきれずに疲れてしまいます。すると、何が正しい情報か分からなくなる、判断ができなくなる、不安が暴走しやすくなるという状態に入ります。つまり、情報が多いほど“冷静さ”が失われることになります。
SNSや検索は「ドーパミンの罠」を仕掛けてくる
情報を追う行為は、ドーパミン(報酬物質) を刺激します。そして、新しい情報を見つけたい、もっと確かな答えが欲しい、不安を解消したい、こうした欲求がドーパミンを分泌させ、「もっと調べたい」という衝動を生みます。しかし、得られる情報は不安を増幅するものが多く、不安 → 検索 → 不安 → 検索 という悪循環に陥ります。これが、情報依存の始まりです。
DMNが反芻を強める
情報が多いほど、脳のDMN(デフォルトモードネットワーク)が活性化します。なお、DMNは、過去の反省、未来の不安、自己評価、「もしこうなったら…」という反芻を担当するネットワークです。情報が多いと、DMNは「最悪のシナリオ」を勝手に作り出す という特徴があります。また、その結果、情報を見て不安になる、不安になってまた情報を探す、さらに不安が強くなるというループが完成します。
情報過負荷は「脳の安全装置」を壊す
情報が多すぎると、脳は“危険か安全か”の判断ができなくなる という状態に陥ります。そして、これは、PFCが疲れ、扁桃体が暴走し、DMNが反芻を続けることで起きます。その結果、すべての情報が不安材料に見える、小さなリスクが大きな危険に感じられる、何を信じていいか分からなくなるという“情報過負荷の脳”が完成します。
対応策:情報過負荷から抜け出すための脳科学的アプローチ
情報の「量」ではなく「質」を選ぶ
情報は多いほど良いわけではありません。むしろ、少ないほうが脳は安定します。
- 信頼できる情報源を2つだけに絞る
- SNSのニュースを見ない
- 検索回数を減らす
これだけで、扁桃体の反応が大きく下がります。
検索をやめるための“脳の切り替え”
検索したくなったら、「深呼吸 → 10秒待つ」 これだけでPFCが再起動し、衝動が弱まります。
前頭前皮質を回復させる
PFCは、睡眠、運動、休息、デジタルデトックスで回復します。そのため、このようなことをします。そして、PFCが元気になると、情報に振り回されにくくなります。
SNSとの距離を調整する
SNSはネガティブ情報が拡散しやすいため、扁桃体が刺激されやすい環境です。例えば、通知を切る、アプリを1画面目から外す、見る時間を決めるなどです。これだけで、脳の負荷は大幅に減ります。
まとめ
ここまで、なぜ情報を追うほど不安が強くなる理由、対応策について説明しました。まず、その理由について、脳は「ネガティブ情報」を優先して拾うようにできている、扁桃体が危険情報を“強調保存”する、情報が多いほど前頭前皮質が疲れ、判断力が落ちる、SNSや検索は「ドーパミンの罠」を仕掛けてくる、DMNが反芻を強める、情報過負荷は「脳の安全装置」を壊すを説明しました。次に、対応策について、情報の「量」ではなく「質」を選ぶ、検索をやめるための“脳の切り替え”、前頭前皮質を回復させる、SNSとの距離を調整するを説明しました。
まず、情報を追うほど不安になるのは、脳の自然な働きによるものでした。つまり、あなたが不安になりやすいのではなく、脳が情報に弱いだけでした。脳の仕組みを理解し、情報との距離を調整することで、不安は確実に弱まるものと思えました。なるほど、情報は見れば見るほど、調べれば調べるほど疲れるという実感はあります。そのため不安に感じてくる部分もあることのような気がしました。そして、このような影響は、得られる情報量が爆増してきてから現れた症状のような気がしました。しかし、一方で検索の仕方、検索能力の向上、情報の入手方法の向上、そして、必要以上に寄り道をしないなど使い方の面での見直しが重要な気がしました。

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