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安心を買っているはずが、不安を招く?ストックが増え続ける人の心理と賢い付き合い方

心理
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 棚を開けたら同じ洗剤が3本出てきた。また、トイレットペーパーをまた買ってしまった。そして、「安いから」「いつか使うから」と買ったはずのストックです。また、安いからと買ったストックで収納がパンパンになって安心している人もいるようです。しかし、賞味期限切れの備蓄食料が奥から出てくる……ということも起こります。

 そして、安心を得るために買っているはずなのに、なぜか部屋も心もスッキリしない。実は、ストックが増え続けてしまうのは、あなたの意志が弱いからではないようです。それは、あなたの「」が、ある特殊な生存本能に突き動かされていることになります。

 このブログでは、ストックを溜め込んでしまう時の脳の仕組みについて注目しました。そして、私たちが陥りやすい「隠れたコスト」を心理学の視点から調べることにしました。そこで、モノに縛られず、軽やかに暮らすための「心の片付け術」の解明をめざしています。ここでは、ストックが増え続ける人の心理、その際の脳の動きについて調べましたので、以下に説明します。

なぜ増える?「ストック心理」の正体

【損失回避】「ない」ことへの恐怖

 人間は「得をすること」よりも「損をすること」を強く避ける性質があります。これを損失回避と呼ばれプロスペクト理論が心理背景にあります。そして、「いざという時にない」という不利益を過剰に恐れるあまり、過剰な備蓄に走るメカニズムがあります。

  • 「欠乏マインドセット(Scarcity Mindset)」の働き
    • 過去に「あれがなくて困った」という強い記憶があります。すると、脳が常に「足りない状態」を警戒するようになります。また、ニュースでの品不足の映像などの記憶についても警戒が起きます。そして、脳がこのモードに入ると、合理的な判断ができなくなります。そして、必要以上に買い集めることでしか脳がリラックスできなくなることがあります。

 なお、損失回避に関しては以前のブログ「投資・買い物・仕事など幅広く使える:損失回避」で紹介しています。

【コントロール欲求】「揃っている」という万能感

 仕事や人間関係など、自分では制御できない不安があります。その際、身近なモノを管理・所有することで「自分の環境を支配できている」という安心感を得ようとする心理があります。

  • 「未来の不安」を「買い物」で解決しようとする代替行為
    • 人間は不確実な未来に対してストレスを感じます。その際、手っ取り早く安心感を得られる手段が「物質的な所有」です。「これを買ったから大丈夫」という目に見える安心を、脳が求めてしまう依存的な側面が存在します。

【ドーパミンの罠】「買う」瞬間の快感

 ストックを買う行為自体が「準備万端な自分」という報酬を脳に与えます。そして、一瞬の達成感を生んでいる可能性があります。

  • 「理想の自分」への投資(ファンタジー・ストック)
    • 「これをストックしておけば、丁寧な暮らしができるはず」。または、「いつか使うはず」という、未来の理想像に向けた備蓄になります。つまり、心理学的には「今の自分」と「未来の理想の自分」のギャップをモノで埋めようとする行為になります。

ストックが増え続けることの「隠れたコスト」

空間のコスト

 ストックが大量になるのは、家賃を払って「モノ」を住まわせている状態とも言えます。

  • 家賃(居住空間)の無駄遣い
    • 都市部など家賃が高い地域ほど、ストックが占有しているスペースの「月額コスト」は馬鹿になりません。そして、そこで「月々いくら払ってこのトイレットペーパーの山を住まわせているのか?」という換算してみることも見える化の1つです。

管理のコスト

 食料品に関しては、期限切れのチェックをしなければなりません。また、それ以外の物でも、探し物にかかる時間とストレスも管理のコストになります。

  • 「思考のメモリ」を奪われるコスト
    • モノが多いほど、脳は無意識にそれらを視覚情報として処理し、管理しようとします。そして、「あそこの洗剤、まだあったかな?」と考えること自体が脳のエネルギーを消費します。その結果、決断疲れを招く原因になることもあります。

サンクコスト(埋没費用)

 「せっかく買ったから」と、古くなったものや今の生活に合わないものを捨てられなくなる心理的負担があります。

  • 「鮮度とアップデート」を逃すコスト
    • ストックを使い切るまでという考え方が支配します。そして、新しく改良された製品や今の自分に合う製品に乗り換える機会を失います。つまり、「古い基準」に縛られ続けることが、生活の質の向上を妨げてしまいます。
  • 「在庫のデッドロック」現象(管理コストにも関係)
    • ストックが多すぎると、奥にあるものが取り出しにく、見えにくくなります。そして、無いと思って、探すのをあきらめて新しいものを買ってしまうことになります。つまり、ストックがストックを呼ぶという、皮肉な負のループになることもあります。

ストックを増やしている脳の働き

脳内の「アクセル」と「ブレーキ」の葛藤

 脳には、感情や本能を司る「大脳辺縁系」と、論理的な思考を司る「前頭前野」があります。そして、その大脳辺縁系と前頭前野の駆け引きがあります。

  • 扁桃体(不安のセンサー)の暴走
     「在庫が切れるかも」という不安を感じると、脳の奥深くにある扁桃体がアラートを鳴らします。また、これは原始的な生存本能に直結しています。そして、「足りない=死の危険」と過剰に反応してしまいます。
  • 前頭前野(理性のブレーキ)の麻痺
     通常なら「また明日買えばいい」とブレーキをかけます。しかし、特売や「限定」といった刺激が加わると、扁桃体の勢いに押されてブレーキが効かなくなります。

ドーパミンによる「安心の報酬化」

 「買う」という行為そのものが、脳にとっての快楽(報酬)にすり替わることがあります。

  • 期待のドーパミン
     「これを買えば安心できる」「備えが万全になる」と想像します。すると、その瞬間、脳の側坐核からドーパミンが放出されます。なお、ドーパミンは「快楽」そのものというより、「何かを手に入れようとする意欲」を高める物質です。
  • 「安心」という名の快感
     会計を済ませ、家にストックを置いた瞬間、一時的に不安が解消されます。そこで、脳はこの「不安が消えた快感」を学習してしまいます。そして、ストレスにより「ストックを買って安心感を得る」という依存ループが形成されます。

脳のエネルギー節約(決断疲れとストック)

 前項目の「隠れたコスト」に関連する、脳の効率性に関する事柄です。

  • 認知負荷の増大
     脳は本来、省エネを好みます。しかし、家の中にストックが溢れているとみてしまうことになります。そして、脳は無意識にそれらの位置や残量をスキャンし続けてしまいます。
  • ワーキングメモリの占有
     「あそこの棚にまだあったはず」「そろそろ使わないと」という小さな記憶の断片が増えます。そして、脳の作業領域(ワーキングメモリ)を少しずつ占領します。これが積み重なると、本来集中すべき仕事や創作活動に使う脳のリソースが削られます。その結果、慢性的な「脳の疲れ」を引き起こすことになります。

内容の整理とまとめ

内容の整理

 ここまで、ストックが増え続ける人の心理、コスト、その際の脳の動きについて説明しました。まず、心理については、損失回避コントロール欲求ドーパミンの罠を説明しました。次に、隠れたコストについて、空間のコスト管理のコストサンクコストを説明しました。続いて、脳の動きについて、脳内の「アクセル」と「ブレーキ」の葛藤ドーパミンによる「安心の報酬化」脳のエネルギー節約について説明しました。

 まず、ストックは「未来の不安」を埋めるための道具ということは明らかです。そして、原始時代からストックというよりは備蓄、時代を経て、保管という意味での冷蔵庫も未来へのたくわえかもしれません。このようにストックは過去から続いている本能部分のものかもしれません。そして、ストックがあると安心するのも本能かもしれません。テレビで、物置に並ぶストックに満足している人を見ましたが、これは本能だったということがわかりました。

まとめ

 しかし、ストックが増えすぎてもコストがかかってくることを説明しました。つまり、大切なのは「モノの数」ではなく、今この瞬間の「暮らしの快適さ」になります。ストックが多すぎる場合は、少しずつストックを減らすことで、心に余白が生まれるかもしれません。ただし、足りない場合はストックする必要はあるとは思います。特に災害時の対策用のものはそう言えると思います。その観点からみるとローリングストックが重要かもしれません。なお、これは、日常的に食品や飲料を少し多めに買い置きし、賞味期限が近い古いものから消費して、その分を新たに買い足すことで、常に一定量の食料を家庭に備蓄しておく防災手法です。

 

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