「夜になると急に人生を振り返ってしまう」ということを聞きます。また、「昼間は気にならない悩みが、夜になると大きく見える」や「将来・仕事・人間関係について考えすぎて眠れなくなる」というのはよく耳にします。
つまり、昼間は仕事や家事に追われて、悩みを深く考える暇もない。しかし、夜になると突然、人生について考え込んでしまいます。または、布団に入った瞬間、思考が止まらなくなることもあるようです。例えば、将来のこと、人間関係のこと、過去の後悔、自分の価値、生き方そのものなどです。しかし、あなたの性格の問題ではなく脳の仕組みのようです。つまり、夜という時間帯が、脳を“人生モード”に切り替えてしまうようです。なお、以前のブログ「なぜ夜になるとネガティブになりやすいのか?」という似たようなテーマで記述しています。
ここでは、夜になると人生を考え始めてしまう要因とその際の脳の動きについて調べましたので、以下に説明します。
要因:夜に人生を考え始める
夜は外の刺激が減り、脳が“内側モード”に切り替わる
昼間は、人の声、仕事、スマホ通知、光、周囲の動きのような外部刺激が多くあります。つまり、脳は“外向きモード”で動いています。しかし、夜になると刺激が一気に減ります。そして、そこでデフォルトモードネットワーク(DMN)が活性化します。
また、DMNは、自分の人生、過去の出来事、将来の不安、自己評価を考えるときに働く脳の回路です。つまり、夜は脳が“内側の世界”に集中しやすい時間帯ということになります。人生を考え始めるのは自然な反応です。
暗さが不安を増幅させ、悩みが大きく見える
夜は光量が減り、脳は“警戒モード”に入りやすくなります。そして、このとき働くのが、扁桃体です。また、扁桃体は不安や恐怖を感じるセンサーで、暗い環境では活性化しやすいものです。そして、その結果、小さな悩みが大問題に見える、将来への不安が膨らむ、過去の失敗が急に思い出されるという状態が起きます。つまり、夜にネガティブになるのは、扁桃体が働きやすい時間帯だからということも言えます。
疲れた脳は“悲観的な思考”を止められない
夜は脳のエネルギーが減っているため、前頭前皮質(PFC)が疲れています。また、PFCは、冷静な判断、感情のコントロール、思考の整理を担当する場所です。
そして、ここが疲れると、ネガティブな思考を止める力が弱くなります。そのため、「このままでいいのか…」「自分は何をしているんだろう…」と考え込んでしまいます。
夜は“孤独感”が強まり、自己反省が深くなる
夜は人とのつながりが薄くなる時間帯です。例えば、メッセージが返ってこない、SNSも静か、誰とも話さないなどです。
そして、この“社会的刺激の低下”が孤独感を強め、自分の内面に意識が向きやすくします。つまり、孤独感は自己反省を深めるため、人生について考えやすくなります。
布団の中は“反すう思考”が起きやすい環境
寝る前は、暗い、静か、何もすることがないという状況になります。そして、この状況は、DMNが最大限に働く条件でもあります。そのため、同じ悩みを繰り返し考える“反すう思考”が起きやすくなります。つまり、布団に入ると人生を考え始めるのは、脳が“考える以外にすることがない”状態だからということになります。
夜に人生を考え始めるときの脳の動き
内容については、要因の部分と重なる部分も多いのですが、流れもありますので重複して記載しています。
デフォルトモードネットワーク(DMN)がフル稼働する
夜は外部刺激が減り、脳が“内側モード”に切り替わります。そして、DMNは、自分の人生、過去の後悔、将来の不安、自己評価を考えるときに働く回路です。
まず、昼間は外の情報が多くてDMNが抑えられています。しかし、夜は静かで刺激が少ないため、DMNが一気に活性化します。そして、その結果、「人生ってこのままでいいのかな」「自分は何をしているんだろう」と考え始めます。
扁桃体が“暗さ”に反応して不安を増幅する
扁桃体は不安や恐怖を感じる脳のセンサーです。そして、暗い環境では扁桃体が活性化しやすいものです。そのため、小さな悩みが大きく見える、将来の不安が膨らむ、過去の失敗が急に思い出されるなどの状態が起きます。つまり、夜にネガティブになるのは、扁桃体が“暗さ=危険”と判断しやすいからということになります。
前頭前皮質(PFC)が疲れて“冷静な判断”ができない
PFCは、脳で感情のコントロール、冷静な判断、思考の整理、を担当する場所です。そして、夜は一日の疲れでPFCのエネルギーが減っているため、ネガティブな思考を止める力が弱くなります。その結果、悲観的な未来を想像する、過去の後悔が増幅される、自己否定が強くなるという“夜特有の思考”が起きます。
孤独感が強まり、自己反省が深くなる
夜は、メッセージが返ってこない、SNSも静か、誰とも話さないという“社会的刺激の低下”が起きます。そして、孤独感が強まると、脳は「自分の内面」に意識を向けやすくなります。そのため、人生・人間関係・将来など、深いテーマを考えやすくなります。
布団の中は“反すう思考”が起きやすい環境
寝る前は、暗い、静か、何もすることがないという状態です。そして、この状態はDMNが最大限に働く条件です。そのため、同じ悩みを繰り返し考える“反すう思考”が起きやすくなります。つまり、布団に入ると人生を考え始めるのは、脳が“考える以外にすることがない”状態だからということになります。
脳の働きについての内容の整理
夜に人生を考え始めるとき、脳では以下のようなことが起きていま。内容の整理になります。
| 脳の部位 | 起きていること |
| DMN | 内省モードが強まり、人生を考えやすくなる |
| 扁桃体 | 暗さで不安が増幅され、悩みが大きく見える |
| 前頭前皮質 | 疲れて判断力が落ち、ネガティブを止められない |
| 脳全体 | 刺激が減り、内面に意識が向く |
つまり、夜に人生を考えるのは、あなたが弱いからではなく、脳が“夜モード”に入っているからです。つまり、これは人間にとってごく自然な反応ということになります。
まとめ
ここまで夜になると人生を考え始めてしまう要因とその際の脳の動きについて説明しました。まず、要因について、夜は外の刺激が減り、脳が“内側モード”に切り替わる、暗さが不安を増幅させ、悩みが大きく見える、疲れた脳は“悲観的な思考”を止められない、夜は“孤独感”が強まり、自己反省が深くなる、布団の中は“反すう思考”が起きやすい環境を説明しました。次に、脳の働きについて、デフォルトモードネットワークがフル稼働する、扁桃体が“暗さ”に反応して不安を増幅する、前頭前皮質が疲れて“冷静な判断”ができない、孤独感が強まり、自己反省が深くなる、布団の中は“反すう思考”が起きやすい環境を説明しました。
そして、夜に人生を考え始めるのは、あなたが弱いからでも、ネガティブだからでもありませんでした。つまり、夜には以下のような要因がありました。
- 刺激が減る
- DMNが活性化する
- 扁桃体が不安を増幅する
- PFCが疲れて判断力が落ちる
- 孤独感が強まる
そして、これらが重なって、夜は誰でも人生を考えやすい時間帯になるというものでした。むしろ、夜に考え込むのは“人間らしさ”そのものともいえるかもしれません。これは、原始時代の人は、昼間に狩猟などの活動をして、日が落ちると休むことが中心になっていたことが関係しているような気がしました。そして、日が落ちると外敵から襲われる可能性があがるため扁桃体が不安を増幅することと少なからず関係しているような気がしました。


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