PR

“努力した分だけ価値がある”と思ってしまうのはなぜ?:努力の正当化

心理
スポンサーリンク

 例えば、徹夜続きでヘトヘトになりながら完成させた企画書があったとします。しかし、結果は平凡でも、なぜか「これは最高の出来だ」と思い込んでしまうことがあります。また、高いお金や時間をかけて買ったものがあります。安価ですぐに手に入るものよりも自分にとって良いものと思ってしまいます。そして、私も何かわからないのですが、かけた時間、労力に価値を加えているよう昭がします。つまり、苦労して入手した物が、実際以上に価値があると感じてしまっています。しかし、この感覚は決して気のせいではないようです。これは、心理学で「努力の正当化(Effort Justification)」と呼ばれるものです。また、人間が持つ強力な心理作用の一つでもあります。

 そして、この無意識に陥りがちなこの「努力の罠」が、認知的不協和に関係しています。このメカニズムによってどのように生まれるのかについて調べました。また、無駄な努力を美化する「サンクコスト効果」にも関係しています。そして、時間と労力を本当に価値あるものにする方法についても調べました。このブログでは、これらの努力を正当化するメカニズム、正当化によるメリット、デメリットについて以下に説明します。

努力の正当化のメカニズム

メカニズムの核:認知的不協和(Cognitive Dissonance)

  • 認知的不協和の定義: 自分の中に矛盾する二つの思考や信念(認知)が生じます。その時、不快な緊張状態(不協和)を感じます。そして、この不快感を解消しようとして、矛盾する認知や行動を都合よく変えたりします。また、正当化したりします。この心理現象のことを認知的不協和と言います。
  • 代表例としては、「タバコは健康に悪い」と知りながら吸い続けている喫煙者がいます。そして、この喫煙茶が「タバコでストレス解消になる」と自分を正当化する場合があります。 
  • 注:認知的不協和については、以前のブログ『「認知的不協和とは?」人が言動を正当化してしまう心理』で説明していますので参考にしてください。
  • 努力の正当化への適用:
    • 認知1(努力): 「私は大きな努力をした。」例えば、苦痛、時間、お金を犠牲にしたなどです。
    • 認知2(結果): 「しかし、結果は平凡だった。」
    • 不協和の解消: この不協和を解消のために結果の価値を過大評価する心理が働きます。たとえば、「いや、これはすごいものだ、価値がある!」)と考えます。

有名な実験の紹介

  • アロンソン&ミルズの実験(入会儀式の厳しさとグループ評価):
    • 集団への入会儀礼が厳しいほどその集団への好意や忠誠心が高まるというものです。この「努力正当化」を実証した心理学実験です。
    • 参加者には、集団に入るための「入会儀礼(努力)」と厳しいと感じています。それに対し、その集団の内容が退屈だったという現実があります。そして、入会のための努力と内容が退屈との間に不協和が生じます。そこで、この不協和を解消するために「苦労に見合うほど良い集団だった」と自己正当化する心理が働くことを示しました。 

努力の正当化のメリットとデメリット

ポジティブな側面(メリット)

  • モチベーションの維持:
     努力の正当化で、困難な目標でも投げ出さずに続けられます
  • コミットメントの強化:
      一度努力を投資した対象への愛着が深まります。そして、忠誠心や継続力が高まります。
  • 自己効力感の向上:
     困難を乗り越えた経験が「自分はできる」という自信につながります。

ネガティブな側面(デメリットと注意点)

  • サンクコスト効果(埋没費用)との関連:
     「これだけ頑張ったのだから、ここでやめるのはもったいない」と感じてしまいます。そして、将来性のないものに投資を続けてしまいます
    注:サンクコスト効果とは、過去に費やしたお金、時間、労力などの回収できないコストを「もったいない」と感じてしまいます。そして、そのために将来的に不合理な意思決定をしてしまう心理傾向のことです。この効果は、損失を回避したいという心理が背景にあり、ビジネスから日常生活まで様々な場面で見られます。なお、サンクコスト効果については、以前のブログ「せっかくやってきたんだから :サンクコスト効果」に記載しています。必要な場合は参照してください。
  • 客観的な判断力の低下:
     実際の結果や成果ではなく、費やした努力量でしか価値を測れなくなってしまいます
  • 非効率な努力の賛美:
     目的達成に直結しない、不必要な努力を「美徳」として評価してしまいます。そして、その結果無駄な回り道をしてしまいます。

まとめ

 ここまで努力の正当化するメカニズム、正当化によるメリット、デメリットについて以下に説明しました。まず、努力の正当化のメカニズムについて、認知的不協和を説明しました。そして、認知的不協和に関する有名な実験を紹介しました。次に、努力の正当化のメリットとデメリットを説明しました。そして、デメリットでは、サンクコスト効果との関係性についても説明しました。

 私はどうしても労力をかけたもの、努力の正当化をしがちな気がします。そして、サンクコスト効果に陥りがちなような気がします。そこで、努力を「美化」しすぎないことが必要な気がしました。つまり、冷静に客観的な判断なのかを立ち止まってチェックすることの重要な気がしました。そして、この努力は、本当に得たい価値を生み出しているか?問いかける必要があるような気がしました。また、すでに費やした埋没費用を捨てる勇気を持ち、未来の損失を大きくしないことが必要な気がしました。

 

 

関係ブログ

コメント