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風鈴の音はなぜ涼しい音と感じるの?

科学
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 夏の風鈴は涼しい音として感じます。しかし、エアコンを使用することからか、風鈴が最近は少なくなったような気がします。私の家でも、風鈴がありません。ただ、夏の観光地などでは、涼しさを演出する方法の1つとして用いられていることが多いような気もします。今回、風鈴の音が涼しい音として感じられる要因について調べました。また、風鈴以外の涼しいと感じる音についても調べました。 

風鈴の音が涼しい要因

条件反射と心理的効果(日本文化特有の感覚)

  • 風と涼しさの結びつき: 風鈴が鳴るのは、風が吹いている証拠です。昔の日本家屋は風通しを良くするために開放的な構造をしていました。そして、風が通ると自然と涼しく感じました。この経験が積み重なりました。これにより、風鈴の音で脳が「風が吹いている=涼しい」と無意識に判断しま。そして、条件反射的に涼しさを感じるようになったと言われています。
  • 脳の錯覚: 実際に気温が下がってないのに、風鈴の音を聞くことで脳が「涼しい」と錯覚します。その結果、結果的に体感温度が2〜3℃下がるという実験結果も報告されています。これは、風鈴に対する長年の経験と文化的な背景によって、日本人の脳に「風鈴=涼しい」という回路が形成されているためと考えられます。
  • 外国人との違い: 風鈴に馴染みのない外国人には、効果がないようです。風鈴の音を聞いても涼しさを感じません。それどころか、リラックス効果で体温が上がる人もいるそうです。これは、日本人ならではの感覚と言えるでしょう。

音の物理的・生理的特性音の物理的・生理的特性

  • 1/fゆらぎ(エフぶんのいちゆらぎ): 風鈴の音色には、「1/fゆらぎ」が含まれていると言われています。1/fゆらぎは、小川のせせらぎや鳥のさえずり、ろうそくの炎の揺らぎなど、自然界に存在する心地よいリズムです。このゆらぎは、脳にリラックス効果のα波を誘発し、安らぎや心地よさを感じさせます。そして、リラックスすることで、暑さによる不快感やイライラが和らぐ効果も期待できます。
  • 高周波音と倍音: 風鈴の澄んだ音色には、脳を活性化させストレスを軽減する効果があると言われる「高周波音」や、心地よさを感じさせる「倍音」が含まれています。これらの音の成分も、涼しさを感じさせる心理的な作用に寄与している可能性があります。
  • 音の高さと余韻: 風鈴の音は一般的に高めで澄んでいます。ガラス製などでは、音の余韻が短いもの、金属製などでは余韻が長いものがあります。しかし、どちらも涼しさを連想させやすい特性を持っています。お寺の鐘のような低く重い音は涼しさを感じにくいことからも、音の高さが影響していると考えられます。

視覚的要素

  • 短冊の揺れ: 風鈴の短冊が風に揺れる様子は、風を感じさせ、視覚的にも涼しげな印象を与えます。そして、聴覚と視覚の両方から涼を感じることで、より一層その効果が高まります。

涼しいと感じる音について

 風鈴の音が涼しく感じる要因は、前述の通り「風」との関連付けによる条件反射が挙げられます。そして、音の物理的特性(1/fゆらぎ、高周波音、倍音、澄んだ音色)も挙げられます。これらの要素と共通する、またはそれに類似する特徴を持つ音は、私たちに涼しさを感じさせます。具体的には以下のような音があります。

水に関わる音

  • 小川のせせらぎ、滝の音: 自然界の水の音は、1/fゆらぎを含んでいます。その穏やかなリズムと高周波音によってリラックス効果をもたらします。また、視覚的に水の流れを見ることで、さらに涼しさが強調されます。
  • 波の音: 規則的なようで不規則な波のリズムも1/fゆらぎを持ち、心地よさを与えます。広大な海や涼しい風を連想させます。
  • 水滴が落ちる音(ポツポツ、ピチャピチャ): 静かで澄んだ水滴の音は、涼しさや清涼感をイメージさせます。
  • 氷がグラスに触れる音(カランカラン、チャリーン): 氷の冷たさを直接的に連想させる音で、視覚的な情報と相まって涼しさを強く感じさせます。飲み物を注ぐ際の「トクトク」という音も含まれるでしょう。
  • 雨の音(しとしと降る雨): しとしとと降る穏やかな雨の音は、湿度の上昇とともに気温が下がることを連想させます。そして、涼しさや落ち着きを感じさせることがあります。

風に関わる音

  • 竹林の風がそよぐ音(サワサワ): 風鈴と同じく風の存在を感じさせる音であり、竹の葉が擦れ合う音が特徴的です。
  • 木の葉の揺れる音: 静かに風が吹く中で葉が擦れる音は、自然の涼しさを連想させます。

澄んだ高い音、金属音

  • ウィンドチャイムの音: 風鈴と同様に、風で金属や木材などがぶつかり合って鳴る澄んだ音色です。そして、複数の音が重なり合うことで複雑な響きが生まれ、リラックス効果をもたらします。
  • 高音域を含む楽器の音: 澄んだ音色のフルートや、清らかなピアノの高音なども、涼しさや透明感を連想させることがあります。
  • 陶器が触れ合う音: ガラスや陶器の澄んだ高い音は、涼しげな印象を与えやすいです。

共通する音響的特徴

  • 高周波音の含有: 3000ヘルツ以上の高周波音は、脳のストレスを軽減したり、思考を活性化させたりする効果があると言われています。これは、風鈴の音にも多く含まれています。
  • 1/fゆらぎ: 自然界に多く存在する、心地よいと感じるリズムのパターンです。規則性と不規則性が適度に混ざり合うことで、脳にリラックス効果をもたらします。
  • 澄んだ音色: 残響が短く、クリアで雑味の少ない音は、清涼感を連想させやすいです。
  • 風や水のイメージ: 音そのものが、涼しい風や冷たい水を視覚的に連想させる効果があります。

まとめ

 風鈴の音が涼しく感じる要因は、「風」との関連付けによる条件反射などと、音の物理的・生理的特性音の物理的・生理的特性がありました。音の物理的特性には、1/fゆらぎ、高周波音、倍音、澄んだ音色がありました。涼しく感じる要因は思っていた以上にいろいろなものが重なっていました。また、風鈴以外の涼しいと感じる音には、水や風に関わる音や澄んだ高い音、金属音などがありました。そして、共通している特徴には、高周波音の含有、1/fゆらぎ、澄んだ音色、風や水のイメージがあり、風鈴の要因とほぼ同じような感じでした。

 これらの音は、実際に体温を下げるわけではありませんが、聴覚を通して私たちの脳に「涼しい」という感覚を呼び起こし、心理的な涼しさや安らぎを与えてくれています。ただ、現在の最高気温が40℃という状況下では、通常外で聞く音ですが、部屋の中で聞くという方法もありなような気がします。その理由は、部屋の中の方が、簡単で安全なような気がするからです。しかし、涼しい避暑地に行ければ開放感も得られて、気分も良くなるのは十分わかっています。

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