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なぜ人は名前をなかなか思い出せないのか?

心理
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 何回か会って顔はわかるのに、どうしても名前が出てこないということが時々あります。また、テレビなどでよく見て名前を知っていても、名前が出ないことがあります。そして、よく知っていて何度も話をしているにも関わらず、名前が出てこないということがあります。周りでもそのようなことを聞いたことがあるので私だけではなさそうです。

 そこで今回、「なぜ人はなかなか名前を思い出せないのか?」について、その要因、そして、思い出すことができるようになる方法について調べました。以下に説明します。

なぜ名前は思い出せないのか?

 このもどかしい現象は、実は「舌端現象」と呼ばれる心理学的な現象です。そして、Tip-of-the-Tongue(TOT)とも言いわれています。舌の先まで出かかっているのに言葉にできない、あの感覚です。この人が名前を思い出せない現象は、脳の記憶の仕組みと密接に関係しています。そして、脳の情報の検索想起」のプロセスに問題が起こることで発生します。

顔と名前の情報の違い

 記憶している顔と名前の記憶は、脳の中で異なる方法で処理されます。視覚情報として、主に脳の右脳にある紡錘状顔領域で処理されます。一方、名前言語情報として、主に左脳にある側頭葉や前頭葉で処理されます。このように、顔と名前は別々の場所で記憶されています。そして、それぞれ異なる種類の情報として脳に記憶されています。そのため、顔を見ても、その情報と名前の言語情報がうまく結びつきません。その結果、名前を思い出すのが困難になります。これは、音楽は覚えているのに歌詞を思い出せない現象と似ています。

記銘と想起のプロセス

  記憶は、主に情報を脳に入れる「記銘(きめい)」、記憶を保持する「保持(ほじ)」、そして必要な時に取り出す「想起(そうき)」の3つのプロセスで成り立っています。

  1. 記銘(きめい): 新しい情報を脳にインプットする段階。
  2. 保持(ほじ): インプットした情報を一時的に、または長期的に脳に保存する段階。
  3. 想起(そうき): 記憶した情報を必要な時に取り出す段階。

 名前を思い出せないのは、ほとんどの場合、想起のプロセスで問題が起こっているためです。脳には顔も名前も記憶が保存されています。しかし、特定の情報を探し出すための「手がかり(ヒント)」が不足していたり、脳の検索機能が一時的にうまく働かなかったりすることで、名前が「出てこない」状態になります。

  • 記銘の失敗: 新しい人と会ったとき、顔はしっかり見ているのに、名前を聞き流してしまったり、覚える努力をしていなかったりすると、そもそも名前が脳にしっかり記録(記銘)されていません。
  • 想起の失敗: 記銘はできているのに、いざという時に情報を取り出せない状態です。これが「舌端現象」の正体です。脳の中で情報が迷子になっているような状態と言えます。
  • 情報量が多い: 年齢を重ねると、知っている人の名前や単語の数が圧倒的に増えます。そのため、膨大な情報の中から特定の名前を探し出すのに時間がかかり、検索が困難になることがあります。

脳の想起プロセスと手がかり

 脳は、膨大な情報の中から必要なものを探す際、連想や関連付けというプロセスを使います。例えば、「田中さん」という名前を思い出すとき、脳は「職場の同僚」「メガネをかけている」「テニスが好き」といった関連情報を手がかりに検索を行います。この手がかりが多ければ多いほど、名前を思い出す確率は高くなります。

 しかし、初めて会う人や、あまり接点のない人の場合、脳に保存されている関連情報が少なく、検索の手がかりが乏しいため、名前を思い出すことが難しくなります。この現象は、年齢とともに知っている単語や情報が増えるため、脳の検索プロセスに負担がかかり、より頻繁に起こりやすくなると考えられています。

名前を思い出すためのヒント

  • 五感と関連づける: 初対面の人と会った時、名前を覚えるだけでなく、その人の趣味、出身地、服装など、具体的な情報と名前をセットで記憶するように意識する。たとえば、「旅行好きの田中さん」というように、名前と情報を結びつけます。これにより、思い出すための「手がかり(ヒント)」を増やすことができます。
  • 名前を声に出す: 初めて名前を聞いた時に、心の中で繰り返したり、会話の中で相手の名前を呼んだりします。そして、これにより、記憶がより強固になります。

まとめ

 ここまで、なぜ人はなかなか名前を思い出せないのか?について、その要因、そして、思い出すため方法を説明しました。そこには、右脳視覚情報として扱われ、名前左脳言語情報として扱われていることを示しました。つまり、処理されている場所も扱われている情報の種類も異なっていました。そして、異なる情報を結びつける想起プロセスが重要な役割を果たしていました。そして、想起プロセスをスムーズに処理できるように、記憶の記銘時に多くの手がかりを加えることが思い出すことを容易にする方法として示しました。ただし、個人的には思い出しやすくする方法があっても、記憶が苦手なので改善はされてもよくはなりきれないと感じています。方法をおこなって改善される人もいると思いますが、個人差はあると思います。

 

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