以前のブログの「暑さ指数と不快指数」でいろいろなことを調べました。その際、「湿度」と「水蒸気量」の関係と蒸し暑さの感じ方について疑問が残ったままでした。そこで、今回、湿度と水蒸気量と「じめじめ むしむし」の蒸し暑さの感じ方について調べました。まず、水蒸気量と湿度について説明します。そして、むしむしの感じ方について説明します。
湿度と水蒸気量
水蒸気量について
水蒸気量(絶対湿度)とは、空気中に含まれる水蒸気の量のことです。そして、通常は1立方メートルあたりのグラム数(g/m³)で表されます。特に、飽和水蒸気量という言葉がよく使われます。湿度を計算する際にも、水蒸気量と飽和水蒸気量が使われます。
飽和水蒸気量
飽和水蒸気量は、ある温度の空気中に、それ以上水蒸気を含むことができない限界の量のことです。そして、飽和水蒸気量は温度によって変化し、気温が高いほど多くの水蒸気を保持できます。ここが「暑さ指数と不快指数」のブログで湿度と水蒸気量の関係についての疑問の原点です。
この飽和水蒸気量は、計算式があるのですが難しいので計算式からの算出は諦めました。そこで、以下の部分部分で出る飽和水蒸気量は、次のサイトで「温度」を入力して求めることができるので、これを使用しました。https://keisan.site/exec/user/1551691336
湿度について
湿度(相対湿度)は、ある空気中に含まれる水蒸気の量と、その気温で空気中に含める最大の飽和水蒸気量の割合をパーセント (%) で表したものです。例えば、ある気温の空気中に10gの水蒸気が含まれており、その気温での飽和水蒸気量が20g/m³の場合、湿度は (10g / 20g) × 100 = 50% となります。なお、計算式は以下の通りです。
計算式
湿度 (%) = (実際の水蒸気量 / 飽和水蒸気量) × 100
温度と湿度の関係
見える化のため、同じ水蒸気量の時の温度と湿度の関係をグラフ化しました。(飽和水蒸気量はサイトを用い算出)これらは、水蒸気量が16g/m³(青)、12g/m³(オレンジ)、8g/m³(グレー)、4g/m³(黄)の場合の計算結果です。つまり、青、オレンジ、グレー、黄のそれぞれの曲線が同じ水蒸気量を示しています。すべて気温が上がるほど同一水蒸気量で、湿度が低くなっています。この傾向は、水蒸気量が一定なので飽和水蒸気量が気温によって多いことを示しています。しかも、水蒸気量が多いほど影響(線の傾き)が大きくなっています。ここでは、青色の曲線の傾きがもっとも大きいことを示しています。

「むしむし、じめじめ」を感じるメカニズム
つぎに、むしむし、じめじめを感じるメカニズムについて説明します。人間が暑さや不快感を覚えるのは、体温調節がうまくできないためです。人間の体は、汗をかき、その汗が蒸発する際に気化熱を奪うことで体温を下げています。気温が高いとかく汗の量も多くなり、蒸発しにくくなります。いかに条件分けして説明します。
- 湿度が高い場合: 空気中にすでに多くの水蒸気が含まれているため、汗が蒸発しにくくなります。汗が蒸発しないと、体から熱が奪われず、体温がなかなか下がりません。この状態が「むしむし」「じめじめ」といった不快感として感じられるのです。
- 空気中の水分量が同じでも、気温が高い場合:
- 湿度は低くなる傾向: 例えば、空気中の水分量が同じでも、気温が35℃の時と25℃の時では、35℃の時の方が飽和水蒸気量が多いので、湿度は低くなります。前節のグラフに示した傾向のことを示しています。
- それでも不快感は増す可能性: しかし、気温そのものが高いと、体から放熱しにくくなります。そのため、やはり汗の蒸発が重要になります。湿度が低くても、汗をかくほど暑い状況下で体は不快感を感じます。
どちらの影響を強く感じるか
人間は、汗の蒸発しやすさに直結する「湿度」の影響を非常に強く感じます。
もちろん、気温(=絶対的な暑さ)も不快感の大きな要因です。しかし、「むしむし」「じめじめ」という感覚は、まさに「汗が乾かない」「ベタつく」という湿度の高さを表す言葉です。
たとえ空気中の水分量が多少多くても、気温が低ければ湿度は高くなりにく状況になります。そのため、そこまで「むしむし」とは感じません。しかし、気温が高くなり、さらに湿度も高くなると、汗が蒸発しにくくなり、体感的に非常に不快に感じると考えられます。
ここでの内容の整理
「むしむし、じめじめ」感じるのは、主に「湿度」の影響が強いと考えられます。そのため、湿度が高いと、汗が蒸発しにくくなり、体温調節が困難になり、不快感が増す。また、空気中の水蒸気量も不快感に影響するが、人間が直接的に「むしむし、じめじめ」と感じるのは、その場の気温に対する空気中の水蒸気の「割合」である湿度が大きく関わっている。したがって、夏場に「蒸し暑い」と感じる主な原因は、気温が高いことに加えて、湿度が高いことにあると言えます。
まとめ
「むしむし じめじめ」をかんじることが汗の蒸発に関係していることは考えてもいませんでした。しかし、前節での最終結論が「気温が高いことに加えて、湿度が高いこと」という当たり前の結果になってしまいました。前提条件として、「気温が高い」ことがあります。これは、汗をかきやすい環境であることを示しています。これ以外の環境では、汗をかきにくく、むしむし感を感じないことになります。そのため水蒸気量がどうあってもほぼ関係ないことになります。気温が高いというよりは、暑く感じる時には、湿度や水蒸気量よりもその人の汗のかきやすさが大きな要因であると感じました。また、そんなに気温が高くない状態でも運動などをした後、「むしむし」して感じるのはそういうことか!と腑に落ちました。
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