普段、食事の際に当たり前のように「いただきます」と「ごちそうさま」と言っています。ただ、この日本の食事の始まりと終わりを飾る挨拶について、何も考えず言っています。そして、この何気なく口にしている言葉に実は深い感謝の気持ちと日本独自の文化が凝縮されていました。それぞれの言葉の本来の意味を知ることが必要だと感じました。
そこで、このブログでは、「いただきます」「ごちそうさま」の意味と由来、現在の定義使われ方について調べました。以下にこれらの内容について説明します。
言葉の本来の意味
「いただきます」の意味と由来
「いただきます」は、漢字で書くと「頂きます」または「戴きます」となります。そして、「頭上に乗せる・高く掲げる」という意味が語源です。これは、昔、神仏へのお供え物や、位の高い人からいただいた物を、最高の敬意を表して頭の上に掲げて受け取るという動作に由来しています。
意味は、命への感謝としての食材となった動植物の命をいただくことへの敬意をはらう。そして、料理を作った人、食材を育てた人など食事に関わったすべての人への感謝があります。また、食事前に気持ちを整え、食に意識を向ける小さな儀式という意味があります。現在の食事の「いただきます」には、主に次の二つの深い感謝の気持ちが込められています。
1. 命(食材)への感謝と敬意
肉や魚、野菜など、目の前の食材はすべて、かつて生きていた「命」です。私たちは、その命をいただくことで自分の命を繋いでいます。そして、犠牲になった食材の命、その自然の恵みそのものへの最大の感謝と敬意を表す言葉です。また、手を合わせて言う動作は、仏教における合掌に由来するとも言われています。
2. 食事に携わったすべての人への感謝
農家や漁師の方々、調理をしてくれた人、食卓に運んでくれた方へ対するものです。つまり、食事が目の前に並ぶまでに関わったあらゆる人々の労力への感謝と敬意があります。
「ごちそうさま」の意味と由来
「ごちそうさま」は、漢字で書くと「ご馳走様」となります。この言葉の本来の意味は、その漢字に隠されています。元は“走り回って食材を集める”という意味があります。そして、そこに敬語の「さま」がついて、感謝の言葉となりました。
意味は、労力への感謝として食事を用意するために尽力してくれた人々への感謝があります。そして、自然への感謝として、食材を育んだ自然の恵みへの敬意あります。加えて、命への感謝として、「命をありがとう」という締めくくりの言葉でもあります。
1. 「馳走(ちそう)」とは「走り回ること」
「馳走」の「馳」も「走」も「走る」という意味でした。また、元々は「馬を走らせて走り回る、奔走する」という意味の漢語でした。そして、昔はお客様をもてなすために食材を用意するのが大変でした。手軽に物が手に入らない時代、良い食材を馬を駆ってあちこち走り回って調達する必要がありました。
2. 食事を準備してくれた人への「ねぎらいと感謝」
「ご馳走」は、走り回って準備するほどの、心のこもったもてなしを意味するようになりました。そして、もてなしを受けた側が、ねぎらいと感謝の気持ちで「御馳走様」と言ったのが始まりです。おいしさだけでなく、食事のために尽力した全ての人への深い感謝が込められた言葉です。
現代における意義
食育の一環
子供に「いただきます」「ごちそうさま」の意味をわかりやすく教えてあげます。そして、これにより命の大切さや感謝の心を育むことができます。
- 感謝の心を育む:食べ物や人に感謝する心は、豊かな人間性を育みます。
- 命の大切さを学ぶ:食べ物の背景にある命の連鎖や自然の恵みを意識することになります。そして、命を大切にする心を養います。
- 食を大切にする意識:感謝の気持ちを持つことで、「もったいない」という心を育みます。そして、食べ物を粗末にしない行動につながります。
- 食事を巡る文化の継承:これらの挨拶を日常的に行うことは、日本の伝統的な食文化や精神性を次世代に伝えていくことになります。
食事の合図
食事を始める合図であり、食事の終わりを知らせる合図です。
- 「いただきます」は、食事を始める合図です。そして、その場にいる人や食材を用意してくれた人への敬意を示す行為です。特にビジネスシーンや目上の人との食事の際に言わないと、「礼儀を知らない」「常識がない」と判断されることがあります。
- 「こちそうさま」は、食事の終わりを知らせる合図です。そして、食事を提供・準備してくれた人への感謝とお礼の気持ちを伝える行為です。特に、家庭や旅館などでは、一言添えることで、感謝が伝わり人間関係が円滑になります。
礼儀(心)と作法(形)の関係
「いただきます」と「ごちそうさま」には、精神的な意味としての感謝の気持ちがあります。そして、そのまま日本の食事のマナー(作法)と深く結びついています。単なる「挨拶」ではなく、「心の礼儀」を形として表すのがマナーとしての側面です。つまり、「作法」と「礼儀」の両方に関わるものになります。
- 作法(形):「いただきます」や「ごちそうさまでした」と声に出して言う行為があります。その声を出すことや食事の前に手を合わせる行為があります。これらは、目に見える行動の規範(ルール)です。
- 礼儀(心):食事が目の前にあることに対し、命や関わった人々への感謝の心を込めるます。これは、食事を重んじ、敬意を示す精神的な部分です。
- マナー:「作法」と「礼儀」が伴って初めて「かたちも心も整った」美しい食事の態度となると考えられています。
- タイミング:全員の料理が揃ってから、食べる人が声を合わせて言うのがマナーです。
- 態度:口に物が入ったまま言わない、大声で言わないなどがあります。加えて、軽くお辞儀を添える、手を合わせるなどがより丁寧な作法とされます。
- マナー以上の価値:形式的な挨拶ではなく、心を込めて言います。これにより、食事がより豊かな時間になります。また、その言葉に込められた深い感謝の心を互いに尊重しあう「形」として表します。
まとめ
ここまで「いただきます」「ごちそうさま」の意味と由来、現在の定義使われ方について説明しました。また、「いただきます」は、主に命や自然の恵みに対する感謝でした。そして、「ごちそうさま」は、主に食事を用意してくれた人の労力やもてなしへの感謝でした。
何となく雰囲気としてこのような感謝の気持ちが関係しそうだとは思っていました。しかし、調べてみて具体的に明確にありました。そして、これらの挨拶は、私たちが日々、多くの命と人の支えによって生きていること示していました。また、これらの意味は、日本の大切な文化であるように感じました。


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