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ドキドキが恋愛感情? :吊り橋効果

心理
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 TVのバラエティー番組で吊り橋効果ということを何度か聞いたことがあります。ジェットコースターを乗る時に芸人の方が「吊り橋効果」という言葉を初めて聞きました。これは、遊園地の絶叫アトラクション、お化け屋敷、ホラー映画などで生じると言われています。それは、恐怖や緊張で心拍数が上がる状況に相手といる。もしくは、スポーツジムでの運動やスリリングなアクティビティで心拍数が上昇する状況に相手といる。このような、心拍数が上がる状況で相手と体験を共有することで一緒にいる人に恋愛感情をもつというものでした。このような感じで軽くしか吊り橋効果について知りませんでした。

 このブログでは、吊り橋効果(情動の錯誤帰属)について、効果の仕組み、検証実験、脳との関係について調べましたので説明します。

吊り橋効果

概要

 吊り橋効果は、恐怖や不安によって生じた生理的な興奮が生じます。その際、その興奮で一緒にいる人への恋愛感情だと脳が錯覚してしまう心理現象です。

吊り橋効果の仕組み

 人は何らかの出来事に遭遇時、まず心臓の鼓動が速くなるといった身体的な変化が生じます。その後、その変化の原因を考えます。このとき、原因を誤って解釈してしまいます。この間違った解釈が吊り橋効果の鍵となります。

 具体的には、以下のような流れで起こるとされています。

  • 生理的興奮: 吊り橋やジェットコースター、ホラー映画など、恐怖や緊張を伴う状況があります。そして、そのような状況で心拍数が上がったり、手に汗をかいたりします。
  • 原因の探求: 脳は、このドキドキの原因は何かと無意識に探します。
  • 誤った解釈(錯誤帰属): 本来の原因(恐怖や緊張)を正しく認識できなくなります。そして、代わりに目の前にいる異性の存在にそのドキドキの原因を求めてしまいます。
  • 恋愛感情の発生: そして「このドキドキは、この人に惹かれているからだ」と勘違いします。その結果、好意を抱いてしまいます。

検証実験

 ダットンアロンは、揺れる高い吊り橋安全な低い橋の2か所で実験を行いました。それぞれの橋を渡った男性に、実験協力者の女性が声をかけ、アンケート協力を依頼します。そして、アンケート後、女性は男性に自分の電話番号を渡します。「もし実験についてもっと詳しく聞きたければ、いつでも電話してください」と伝えました。

 その結果、揺れる吊り橋を渡ってきた男性の方が、安全な橋を渡ってきた男性よりも、女性に電話をかけてくる割合が圧倒的に高かったのです。この結果から、恐怖によるドキドキが、女性への恋愛感情として誤って解釈された。このように結論付けられました。ただし、吊り橋効果は万能ではありません。そして、相手に対する基本的な好感度がなければ効果がないという研究結果もあります。

脳機能と吊り橋効果

情動と記憶を司る扁桃体

 吊り橋効果の根源にある恐怖や不安は、脳の扁桃体で処理されます。扁桃体は情動反応の中心的な役割を担っています。そして、危険を察知すると心拍数増加や発汗といった身体的な反応を引き起こします。吊り橋やジェットコースターに乗ったときに感じる「ドキドキ」があります。そして、このドキドキが扁桃体の働きによるものです。

生理的反応の原因を探る脳幹

 恐怖や不安で引き起こされた身体の興奮状態は、脳幹を通じ、脳全体へと情報が送られます。このとき、脳は無意識的にその生理的反応の原因を探し始めます。この原因を探すプロセスで、目の前の異性が最も有力な原因だと誤って判断してしまうことが、吊り橋効果の鍵となります。

 理性的な判断を司る前頭前野

 本来、前頭前野は物事を論理的に判断し、感情をコントロールする役割を担っています。しかし、強い恐怖や興奮で、扁桃体の働きが前頭前野の理性的な判断を上回ることがあります。その結果、本来の原因(恐怖)と目の前の異性への好意を区別できなくなり、誤った解釈が生まれると考えられています。

まとめ

 ここまで吊り橋効果について、吊り橋効果の仕組み、検証実験、脳内での処理について説明しました。そして、吊り橋効果は、恐怖や不安にる興奮が一緒にいる人への恋愛感情だと脳が錯覚する心理現象ということを示しました。そして、脳内では、恐怖を生み出す扁桃体、原因を探す脳幹、そして理性を司る前頭前野の相互作用によって引き起こされる、複雑な脳の機能によって説明されることも示しました。

 

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