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行列を乱さない国民性!日本人が並ぶのは規律か、それとも安心感か?

心理
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 人気ラーメン店、ゲームや限定品の発売などに行列ができているのをよく見かけます。また、正月には、テレビでデパートなどの初売りに行列ができているのを見たことがあります。そして、単に並んでいるだけでなく、そこにはキレイに整列して静かに並んでいるような気がします。そして、ここまで規律が守られるのは日本人の特性なのかもしれません。

 このブログでは、日本人がなぜ行列するのか、そして、整然と静かに並んでいられるのかについて背景の文化的要素を含めて調べました。以下にこれらの内容について説明します。

並ぶ行動の背景にある文化的・心理的要素

文化的側面:和を重んじる精神

  • 集団意識と協調性(和の精神):
    • 他者との摩擦を避けようとします。そして、誰もが納得できる「公平なルール」を自発的に受け入れる傾向があります。
    • 並び列を乱すことは、集団の秩序を乱す「迷惑行為」と見なされます。そのため、無意識にルールを守ります。
  • 平等意識・公平性:
    • 「早い者勝ち」という公平なルールに則っているからこそ、誰も文句を言わない。ずるをせず順番を待つことが美徳とされる。

心理的側面:安心感と社会的証明

  • 社会的証明の原理:
    • 多くの人が並んでいる=良いもの・価値のあるもの」という心理が働きます。そして、行列自体が宣伝効果となり、さらに人を引きつけます。
    • 「失敗したくない」という心理が働きます。そして、皆が選んでいるものを選ぶことへの安心感を得ます。
  • 辛抱強さ・忍耐:
    • 待つこと=努力として捉えます。そして、その努力の後に手に入れるもの(サービスや商品)の価値が上がると感じます。これは、心理学の「サンクコスト効果」に近いものです。
    • 注:サンクコスト効果については、以前のブログ「せっかくやってきたんだから :サンクコスト効果」で取り上げていますので参照してください。

その他の要因

  • 教育による刷り込み
    • 小学校から「順番に並ぶ」ことが徹底的に教えられます。たとえば、給食、避難訓練、運動会などが挙げられます。
    • この習慣が大人になっても自然に行動に現れます。
  • 行列=信頼の証
    • 飲食店などでは「行列がある=美味しい・価値がある」と判断されがちです。
    • SNSや口コミでも「行列のできる店」は人気の証として扱われます。
  • イベント化・一体感の演出
    • 行列に並ぶこと自体が「イベント」として楽しむ人もいます。
    • 特に新商品発売日や人気観光地では、並ぶことが「体験」の一部になることもあります。

実用的な側面:「並ぶ」以外の選択肢の少なさ

  • 予約システムが発達していない、あるいは、予約システムが適用できない店があります。
  • 「今すぐ欲しい」という欲求を満たすには並ぶしかない場合があります。

行列ができているから並ぶの?

 ここまで行列する要因について説明してきました。ここでは、行列ができているから並ぶのかという視点で深堀します。

社会的証明の原理(Social Proof)

 多くの人が並んでいると、「みんなが選んでいる=正しい選択である」と無意識に感じます。そして、自分の判断を正当化する心理が働きます。

  • 安心感の獲得: 特に情報が少ない状況(初めて訪れるお店など)では、多数派に従います。そして、「失敗するリスクが少ない」という安心感を得られます。また、みんなが並んでいるなら、並ぶ価値があるおいしいだろう、と判断を省略できます。
  • 価値の連想: 日本では古くから「行列がある=人気がある=並んででも手に入れたい価値がある」という考え方が広く浸透しています。そして、行列自体が、その商品やサービスの信頼性品質を証明するような役割を果たします。

同調行動と集団意識

 日本には集団の和を重んじる文化があります。そして、周囲のトレンドや流行に従う大勢順応性が高い傾向があります。
 注:同調圧力については、以前のブログ「みんながマスクしてるので自分も?:同調圧力」で取り上げていますので参照してください。

  • 同調への意識: 行列に加わることは、その場のルールや集団の行動様式に従うことです。これにより、周囲から浮くことへの不安を解消します。
  • 認知的不協和の解消: 長く並んだ末に手に入れたものは、「おいしくなかった」「価値がなかった」と思いたくない心理(認知的不協和)が働きます。そのため、並んだ努力を正当化するために、満足度を高く評価しやすくなります。そして、それがまた良い評判につながり、次の行列を生み出す循環が生まれます。

日本の行列の「信頼性」

 海外と比較して、日本で「行列ができているから並ぶ」という行動がスムーズに成立するのは、その前提となる信頼性が確立しているためです。

  • 「報われる」という経験: 日本では、並ぶ場所が明示されている。そして、係員による整理が行われるなどがされています。そして、「きちんと順番を守れば、必ず報われる」というルールと運用への制度的信頼が非常に高くなっています。
  • 秩序と公平性: 並び列を乱す行為は「迷惑行為」として厳しく見なされます。そのため、割り込みが少なく、公平なルールが守られます。この秩序があるからこそ、多くの人が安心して並ぶことができます。

行列に並ぶことは「好き」なのか?

 実際には「並ぶのが好き」というわけではないようです。それよりも、「並ぶことが当然」「並ばないと不安」「並ぶことで安心」という心理が働いているケースが多いとみられています。つまり、行列に並ぶこと自体を楽しむ人は少数派であり、むしろ「並ばざるを得ない状況」に納得している人が多いようです。

内容の整理

 単に「並ぶのが好き」というよりも、「多くの人が選ぶ良いものを、秩序と公平性のルールに従って確実に手に入れたい」という、合理的な判断と社会心理が組み合わさった結果が、日本の行列文化を形作っていると言えます。

まとめ

 ここまで日本人がなぜ行列するのか、そして、整然と静かに並んでいられるのかについて説明しました。また、日本人が並ぶのは「好き」というより、「社会生活を円滑に進めるための合理的な選択」あるいは「文化的な美意識」が背景にありました。そして、多くの人が選ぶものが良いものであり間違いないという感覚がありました。そして、これらのものを秩序と公平性のルールに従って確実に手に入れたいというものがありました。

 現在ネット予約など利便性が高まっています。しかし、それとある意味逆のあえて並ぶ行為が衰えるどころか多く見られています。そして、特別感、信頼の証、体験価値、時間消費の満足感など裏には多面的な価値があるような気がします。

 

 

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