上司から「昔はこうだった」といった発言を聞いたことがあります。何か押し付けられている感覚をしたような気がします。また、「自分の意見を一方的に押し付ける」「昔話や自慢話を延々と語る」「相手の話を聞かず、新しいものを否定する」などもあります。しかし、すべての上司が同じような感じではありませんでした。このような押し付けるようなことが、「老害」と言われています。この老害という言葉には害という文字でネガティブなイメージを持っています。でも、本当にその人は『害』なのかということがあります。逆の立場から、結局のところ若い世代の主観ではないのかという見方もあります。
このブログでは、老害がどのようなものか、「老害」を生み出す世代間ギャップ、老害と呼ばれないためへの対策について調べました。以下にこれらの内容について説明します。
概要
老害は、組織や社会で幅を利かせすぎて言動が疎まれる高齢者を指しています。加えて、傍若無人な振る舞いによって若者に必要以上の負担や迷惑をかけている高齢者などを指す表現です。ひらたく言えば迷惑な老人を侮蔑交じりに指す表現と言えます。
また、もともと「老害」という言葉は、組織の中で「古いやり方に固執して変化を拒む上層部」を指すものでした。しかし最近では、年齢に関係なく「自分の価値観を押しつける人」という意味でも使われています。つまり、“年齢”というよりも“態度”の問題として広がっているのです。ただしこの背景には、単なる性格の問題ではなく、世代ごとの価値観の違いが深く関わっています。
世代間ギャップの正体は「育った時代」にある
人は、どんな時代に育ったかで「常識」や「正解」が変わります。例えば、団塊世代、ミレニアル世代、Z世代の特徴を以下に示します。
- 団塊世代は、努力・根性・我慢が美徳とされた時代に育ちました。
- ミレニアル世代は、効率や多様性、働き方の柔軟さを重視します。
- Z世代は、共感・メンタルヘルス・自分らしさを大切にします。
それぞれの考え方には、それぞれの「時代の背景」があります。そのため、どちらが正しい・間違っているという話ではありません。ただ、育ったベースとなる前提条件が違うだけなのです。しかし、その前提の違いを知らずに会話をすれば、どうしてもすれ違いが起きることになります。
構造的な要因について
- 「成功体験の呪縛」: 世代によって社会の常識や成功パターンが根本的に異なります。
- 上の世代: 終身雇用、右肩上がりの経済成長の中で働いてきました。そして、「頑張れば報われる」という過去の成功体験が強くなっています。そして、これが変化を受け入れない硬直性につながります。
- 下の世代: 成果主義、不確実性の時代に生きています。そして、上の世代の成功体験が全く通用しないと感じています。そして、これが反発につながるります。
- 上司:「努力すれば報われる」、若手:「努力より仕組みを変えたほうが早い」
- 情報の非対称性: 新しい技術(AIなど)や社会変化(働き方改革など)への感覚の差があります。そして、この知識差をそのまま「時代遅れ」という評価になりやすいです。
判断基準と対策
「老害」の判断基準は「権力」
- 単なる「加齢」ではない: 年齢が高くても、権力を持たない人には「老害」という言葉は使われにくいです。問題は権力を持ったまま、古い価値観を押し付けることにあると思われます。
- 「権力」の定義: 組織内の決定権、人事権、資金の分配権などの権力を持っていること。そして、相手の行動を制限・支配できる力こそが、「害」と認識されると考えられます。
- 「世代間対立」の本質: これは世代間の戦いではありません。そして、新旧の価値観を持つ権力者と新しい価値観を持つ非権力者の摩擦と捉えられます。
ギャップを埋めるための具体的なアクション
- 上の世代へ:
- 「正論」の前に「背景」を聞く: 自分の成功体験を語る前に、まず若い世代の「今」の課題や考えを聞く姿勢を持つことの重要です。
- 権力の「委譲」と「サポート」: 決定権は委譲しつつ、長年の知恵や人脈は「サポート」として提供する役割へシフトします。
- 下の世代へ:
- 「時代背景」への理解: 上の世代が持つ「成功体験」を頭ごなしに否定しないようにします。まず、それが生まれた時代背景を理解する努力をします。これは、あくまでも共感ではなく、分析として行います。
- 攻撃ではなく「翻訳」: 「老害」とすぐに決めつけません。その代わりに、古い価値観を現代のビジネス用語や論理に「翻訳」して提案するようにします。このような、コミュニケーションをとることが重要になります。
「老害」と呼ばれないために
時代が変われば、常識も変わります。そして、自分の考えが唯一の正解ではないと意識することが重要です。そのため、相手の立場や時代背景を理解しようとする姿勢が大切です。
年長者は「若い世代の感覚を学ぶ柔軟さ」を持ちます。そして、若い世代は「過去の価値観を尊重する寛容さ」を持ちます。その両方があって初めて、健全な対話が生まれると考えられます。
まとめ
ここまで老害がどのようなものか、「老害」を生み出す世代間ギャップ、老害と呼ばれないためへの対策について説明しました。また、老害は、年齢ではなく「変化に対応しない権力」を指す言葉でした。そして、過去の知恵(経験値)と、未来の視点(新しい価値観)は、本来は対立するものないと思われます。これらは、組織を成長させるための最強の組み合わせでした。しかし、老害という言葉を使いすぎて、適切な指導を受けることができなくなる可能性があるような気がします。
また、老害は変化のスピードと多様化する価値観が生んだ社会現象という側面もありました。大切なのは、「誰が正しいか」を決めることではなく、どうすれば理解し合えるかを考えることような気がします。そして、時代が違えば、考え方も違って当然です。それゆえ、違いを「害」とみなすのではなく、「学びのきっかけ」として受けとめた方が良いように思えました。そして、うまく共存できればと思います。


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