PR

ニュースでよく聞く世論調査ってどうやっているの?その信憑性は?

社会
スポンサーリンク

 社会の「民意」を知るための重要な指標に「世論調査」があることは知っています。そして、「世論調査」という言葉はテレビなどでたびたび耳にします。特に、政党支持率はよく聞くような気がします。ただ、私に関しては、2,3回電話がかかってきて番号で回答するということがあった程度です。そして、すべてが選挙前の選挙に行きますかなど選挙関係のようだった気がします。ただし、テレビでよく見聞きする「内閣支持率」「政策への賛否」ではなかったような気がします。そのため、そんなに世論調査に対して、身近という印象はありません。

 また、たった数千人の意見で、どうして全国民の意見がわかるの?を聞いたことがあります。そして、テレビ局によって結果が違うのはなぜ?ということも聞いたことがあります。そもそも信じていいの?のも聞いたことがあります。

 そこで、ニュースに出てくる世論調査の「仕組み」と結果に対する「信憑性」に関係する基礎知識を調べました。このブログでは、世論調査がどうやっているのか、そして、その結果がどのように処理されているのか、信憑性はどうなのかなどについて以下に説明します。

世論調査はどうやっているの? その仕組みと種類

 世論調査は、統計学的な理論に基づき、全体(母集団、例:有権者全員)の意見を推測します。そのために、一部の人(標本/サンプル)を選んで質問する「標本調査」という方法で行われます。

調査対象者の選び方:無作為抽出(ランダム・サンプリング)

 最も重要で信頼性を高めるのが、調査対象者を無作為(ランダム)に選ぶ方法です。これにより、選ばれた標本が全体の縮図となることを目指します。

  • RDD方式(乱数番号法):
    • 現在、マスメディアの電話調査で広く採用されている手法です。
    • コンピューターで乱数を使って電話番号を無作為に生成し、電話をかけます。
    • 電話帳に載せていない世帯も含むことができるのが大きな特徴です。そして、最近は携帯電話の番号も含めて行われることが一般的です。
  • 面接法・郵送法:
    • 内閣府などの公的調査で基本とされてきた方法です。
    • 住民基本台帳などを基に特定の地域・個人を無作為に選びます。そして、調査員が訪問して面接で聞く、または郵送で調査票を送って返送してもらう方式です。

主な調査方法と特徴

  • 電話調査 (RDD含む)
    • メリット:短期間で結果を収集しやすいです。そして、費用が比較的安価です。
    • デメリット回答率が低い傾向です。例えば、電話に出ない層(若年層、多忙な層など)の意見が反映されにくくなります。
    • 主な実施機関:マスメディア(新聞、テレビ局など)
  • 個別面接調査
    • メリット:回答率が高く、質問の意図が伝わりやすいです。そして、最も信頼性が高いとされています。
    • デメリット:費用と時間がかかります。調査員によるバイアス(回答者が調査員に忖度するなど)が生じやすくなります。
    • 主な実施機関:内閣府などの公的機関(以前の主流)
  • 郵送調査
    • メリット:幅広い層から回答を得られます。そして、回答者が時間をかけて熟考できます。
    • デメリット回収率が低い傾向にあります。そして、時間がかかります。
    • 主な実施機関:内閣府などの公的機関(最近増えている)
  • インターネット調査
    • メリット:低コストです。そして、短時間で大量のデータを集めやすいです。
    • デメリット:ただし、ネット利用者層に偏る傾向があります(標本の偏り)。
    • 主な実施機関:民間調査会社など

世論調査の信憑性は? 統計と問題点

 世論調査は統計学に基づいて行われますが、完璧ではありません。そのため、「統計的な信頼性」と「現実的な問題点」の両方を知ることが大切です。

統計学的な信頼性(誤差の範囲)

 世論調査の結果は、標本誤差(たまたま選ばれた標本が全体とずれることによる誤差)を伴います。しかし、その範囲は統計学的に保証されています。

  • 信頼水準(信頼係数):
    • 日本の世論調査では、一般的に95%が目安とされています。
    • これは「同じ調査を100回行ったら、95回は結果が『許容誤差』の範囲内に収まる」という意味です。
  • 許容誤差:
    • 一般的に± 3~5%程度が目安とされています。
    • 例えば、ある内閣の支持率が50%で許容誤差が± 3%の場合を例を示します。そして、この場合「実際の支持率は47%から53%の間にある確率が95%である」と解釈します。

信憑性を下げる現実的な問題点

 また、統計学的な誤差以外に、調査の信憑性を揺るがす要因があります。

  • 問題点
    • 低回答率
       昔に比べ、知らない電話に出ないなどにより回答率が低下しています。例えば、80%超→50%台などがあります。そのため、回答する人としない人に意識の偏りがある(バイアス)可能性があります。
    • 調査方法の違い
       質問の言葉遣いや質問の順番回答の選択肢数などが結果に影響を与えることがあります。そして、複数のメディアで結果が異なる一因とも言われています。
    • 標本の偏り
       固定電話のみの対象の場合、携帯電話しか持たない若年層の意見が反映されにくくなります。また、インターネット調査ではネット利用者層に偏ります。
    • 無関心層の回答
       難しいテーマに対し、深く考えていない回答者が質問に回答します。このような場合、結果の妥当性が低くなる懸念があります。例えば、憲法改正について「ほとんど知らない」が過半数でも、賛否の数値を出すことがありました。
    • 報道姿勢への批判
       世論調査の結果が、メディアの意図によって操作されたり、特定の結論に誘導するような質問設定がされているのではないか、という批判も存在します。

世論調査の適切な読み方

 世論調査の結果を見る際は、「誤差がある前提で参考にするもの」として捉えることが重要です。

  • 数字のわずかな差に一喜一憂しない:
     統計的な誤差の範囲内での変動は、大きな意味を持たないことが多いです。例えば、支持率が48%から50%に上がったなどがあります。
  • 「やり方(調査方法、サンプル数など)」をチェック:
     信頼できる調査かを見極めるため、どのような方法、どれくらいの人数を対象にしたかを確認します。
  • 長期的な傾向に注目:
     単発の調査結果よりも、時系列での変化や傾向に大きな意味があります。例えば、支持率が数カ月かけて一貫して下がり続けているなどがあります。

まとめ

 ここまで世論調査がどうやっているのか、その結果がどのように処理されているのか、信憑性はどうなのかなどについて以下に説明しました。具体的には、調査対象者の選び方、主な調査方法と特徴について説明しました。また、調査結果に対する統計学的な信頼性や信憑性を下げる現実的な問題点についても説明しました。そして、調査者のサンプル数選び方、調査結果に対して、合理性のある統計処理がおこなわれていることがわかりました。ただし、調査方法、標本、回答率による偏りが生じるなどのデメリットがわかりました。

 そして、単発の調査結果よりも、時系列での変化や傾向に大きな意味があるという結果がありました。つまり、同じテレビ局の同じ調査方法をしたものを時系列に見ることが重要だと思われます。そして、違うテレビ局の情報でも、時系列の傾向を比較することが重要な世論調査の見方のような気がしました。

 

 

関係ブログ

コメント