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なぜ”新しいことを始める直前”に逃げたくなるのか:先延ばしの心理と対処法

心理
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 週末から新しいことを始めようと思っていたけど来週からにしようということがあります。そして、やる気はあったはずなのに、いざ手を動かす段階になると急に別のことをしてしまう。例えば、掃除を始めたり、SNSを見たり、コーヒーを淹れ始めたりしてしまいます。そして、先延ばしをしてしまい「自分は意志が弱いのか」と落ち込む人はいるようなことを聞きます。しかし、これは脳が正常に働いている証拠でもあるようです。

 今回、「なぜ“やる直前”に逃げたくなるのか」について、先延ばしが起きる理由を心理学と脳科学の視点から調査しました。なお、以前のブログ「“先延ばし”は性格ではなく戦略だった?」で似たような内容について説明しています。そして、今後の予定ですが、「新しいこと」ではなく「いつものこと」を先延ばししてしまうことについても取り上げる予定です。

 このブログでは、なぜ“やる直前”に逃げたくなるのかについて、先延ばしが起きる原因、先延ばし時の脳の働きについて調べましたので以下に説明します。

新しいことの先延ばしが起きる3つの根本原因

「不確実性」が脳にストレスを与える

 新しいことを始めることがあります。そして、新しいことのことを知らないことが前提となります。そのため、タスク着手時、脳はその作業の難易度・結果・時間コストを正確に予測できません。そして、この“予測不能”が、脳にとっては小さな脅威になります。

  • 失敗するかもしれない
  • どれくらい時間がかかるかわからない
  • 思ったより大変かもしれない

 こうした曖昧さは、脳の扁桃体を刺激します。そして、「避けたい」という反応を引き起こします。その結果、脳は「今やらなくてもいい別の行動」を探し始めることになります。

「完璧にやりたい」という欲求が行動を止める

 また、先延ばしの背景には、意外にも完璧主義が潜んでいます。

  • ちゃんと準備してからやりたい
  • ベストな状態で取り組みたい
  • 失敗したくない

 こうした思考は一見前向きです。しかし、実際には行動のハードルを上げるため、着手を遅らせてしまいます。そして、脳は「完璧にできないなら、今はやめておこう」と判断し、先延ばしが発生します。

「今の快楽」と「未来の利益」が戦っている

 脳には、短期的な快楽を優先する仕組みがあります。また、「時間割引」と呼ばれる心理現象があります。そして、この心理現象により、未来のメリットよりも“今の楽さ”を高く評価してしまいます。また、SNSを見る、動画を1本だけ見る、ちょっと休むなどはすぐに快感が得られます。そのため、脳は今の楽さを選びたがります。つまり、先延ばしは、脳内の報酬システムの自然な反応でもあることになります。

新しいことの先延ばし時の脳

脳は「不確実なこと」を避けるようにできている

 やろうと思っていたのに、いざ始めようとすると急に腰が重くなります。これは、脳が 不確実性を危険とみなす からです。そして、脳の扁桃体は、失敗するかもしれない、うまくできるかわからない、どれくらい時間がかかるかわからないといった“不確実な未来”を察知します。すると、「やめておけ」「今じゃない」 とブレーキをかけます。つまり、先延ばしは怠けではなく、脳があなたを守ろうとしている反応なんです。

前頭前皮質(PFC)が“負荷の大きさ”を計算してしまう

 タスクを始める直前、脳の司令塔である 前頭前皮質が働きます。そして、「この作業はどれくらい大変か」を瞬時に見積もります。

  • 面倒くさそう
  • 集中力が必要
  • 気力がいる
  • 完成まで時間がかかりそう

 こうした“負荷の予測”が大きいほど、PFCは 「今はやめておこう」 と判断しやすくなります。つまり、やる前に脳が勝手に疲れてしまう ことになります。

ドーパミンが“今すぐ得られる快楽”を優先する

 脳は、SNS、動画、スマホチェック、ちょっとした休憩など、すぐに快感が得られる行動を強く好みます。つまり、「すぐ気持ちよくなるもの」を優先するようにできているからです。そして、これは、これはドーパミンの仕組みによるものです。

 一方、作業、勉強、片付け、書類作成などは、成果が出るまで時間がかかります。そのため、ドーパミン的には “後回しにしたい対象” になります。つまり、脳は短期的な快楽を優先するようにできているため、先延ばしが起きやすくなります。

完璧主義が「始めるハードル」を上げてしまう

 完璧にやりたい人ほど、ちゃんと準備してからベストな状態で失敗しないようにと考えてしまいます。そして、「今はまだその条件が整っていない」 と判断しがちです。そのため、これは脳の 前帯状皮質(ACC) が「ミスを避けたい」という信号を強く出します。そして、その結果、“始める前の不安”が大きくなり、行動が止まります。

タスクが曖昧だと、脳は動けない

 脳は「曖昧なもの」が苦手です。例えば、何から始めればいいかわからないゴールがぼんやりしている手順が不明確などです。そして、こうした状態だと、脳は「危険」「負荷が大きい」 と判断し、行動を止めます。逆に、最初の一歩が明確小さく分解されている手順が見えているといったタスクは、脳が動きやすくなります。つまり、曖昧さは先延ばしの最大の原因 です。

内容の整理とまとめ

内容の整理

 ここまでこのブログでは、なぜ“やる直前”に逃げたくなるのかについて、先延ばしが起きる原因、先延ばし時の脳について説明しました。まず、新しいことの先延ばしが起きる3つの根本原因について、「不確実性」が脳にストレスを与える「完璧にやりたい」という欲求が行動を止める「今の快楽」と「未来の利益」が戦っているについて説明しました。次に、新しいことの先延ばし時の脳については、脳は「不確実なこと」を避けるようにできている“負荷の大きさ”を計算してしまう今すぐ得られる快楽を優先する完璧主義が「始めるハードル」を上げてしまうタスクが曖昧だと、脳は動けないを説明しました。

 つまり、以下のような脳の機能が重なると「やろうと思っていたのに、いざやる段階で先延ばししてしまう」という現象が自然に出てしまいます。

  • 不確実性を避ける扁桃体
  • 負荷を見積もる前頭前皮質
  • すぐ得られる快楽を優先するドーパミン
  • ミスを避けたい前帯状皮質
  • 曖昧さを嫌う脳の性質

まとめ

 先延ばしは、怠けではなく、脳が不確実性やストレスから自分を守ろうとする自然な反応ということになります。だからこそ、自分を責める必要はないということになります。むしろ大切なのは、「脳が逃げたくなる瞬間」を理解し、行動のハードルを下げる工夫をすることになります。そして、新しいことに着手しやすい状況を作ることが重要な気がします。

 しかし、ここまで挙げた3つの要因や脳の現象が、どれだけどんな割合で影響するのか、人、場面により異なるような気がします。そのため、新しいことを始めるためのハードルを下げる工夫は、それぞれの状況に合わせて考える必要があると思われます。そして、その工夫も完璧である必要はなく、始めることができればよいレベルを目指すことが重要な気がしました。

 

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