動画、音楽、買い物、ニュース……今や私たちの生活は、あらゆる場面で「あなたへのおすすめ」に囲まれています。そして、それは便利なはずなものです。しかし、ふと気づくと、最近、自分の“好き”がよくわからない、なんとなく選んでしまう、おすすめされたものばかり見ているなどという感覚に陥ることがあります。そして、なぜ「おすすめ」に従うほど、自分の好みが曖昧になるのかという疑問が浮かびます。
そこで、今回この点について、アルゴリズムが“過去の自分”を強化する仕組み、選択肢が提示されると主体性が弱まる心理、おすすめが「思考の省エネ」を促す理由、選択の外部化が続くと好みがぼやけるメカニズムについて心理学、脳科学の視点から調査しました。具体的には、アルゴリズムが“過去の自分”を強化する仕組み、選択肢が提示されると主体性が弱まる心理、おすすめが「思考の省エネ」を促す理由、選択の外部化が続くと好みがぼやけるメカニズムについて心理学、脳科学の視点から調べました。
このブログでは、「おすすめ」に従うほど、自分の好みがわからなくなることについて、心理学的な視点、および、脳機能との関係について調べましたので以下に説明します。
おすすめによる影響
アルゴリズムは“過去の行動”を強化するだけで、好みを広げない
まず、おすすめ機能は便利ですが、基本的には次のように動きます。まず、過去に見たもの、過去に買ったもの、過去にクリックしたものの情報を基にしています。そして、これらの情報をもとに「あなたはこれが好きでしょう」と判断します。つまり、過去の自分のコピーを延々と強化する仕組みのようになります。その結果、新しいジャンルに出会わない、偶然の発見が減る、好みが“固定化”されます。そして、固定化が続くと、本当に好きなのか、ただ慣れているだけなのかが曖昧になります。
選択肢が提示されると、脳は“自分で選んだ感覚”を失う
心理学では、選択肢が外部から与えられると、人は自分で選んだ感覚を持ちにくくなります。まさに、このおすすめはこれに該当します。例えば、これが人気です、あなたへのおすすめ、あなたにぴったりなどです。
こう言われると、脳は“自分の判断”ではなく、外部の判断に従っただけという状態になります。そして、自分の好みで選んだのか、おすすめされたから選んだのか、その境界が曖昧になります。その結果、自分の好みの輪郭がぼやけていきます。
おすすめは「思考の省エネ」を促し、主体性を奪う
人間の脳は、できるだけエネルギーを使いたくない生き物です。そして、おすすめは、まさに脳が喜ぶ“省エネ”の仕組みです。例えば、自分で探さなくていい、比較しなくていい、選ばなくていいなどが脳が喜ぶ省エネに該当します。
また、おすすめは便利ですが、続くと「自分で選ぶ」という行為そのものが減っていきます。そして、選ぶ回数が減ると、自分の好みを言語化する機会も減ります。そして、その結果、「自分は何が好きなのか」がわからなくなってしまいます。
選択の外部化が続くと、自己認識が弱くなる
おすすめに従う生活が続くと、選択の主体が自分ではなくアルゴリズムになってしまいます。また、見るもの、聞くもの、買うもの、行く場所などが外部に委ねられると、自分の“選ぶ軸”が育たなくなります。その結果、好みが曖昧になる、自分の判断に自信が持てなくなる、「なんとなく選んだ」ものが増えるなどの影響が出ます。そして、おすすめに従うほど、自分の好みが薄まっていくことになります。
「おすすめ」が脳に与える影響:脳機能の観点から
前頭前皮質:選択の司令塔が“サボり始める”
前頭前皮質は、意思決定・判断・選択を司る領域です。しかし、「おすすめ」が常に提示される環境では、自分で探す、比較する、判断するといった前頭前皮質の仕事が減ります。その結果、脳は次にように学習します。「選ばなくてもいいなら、選ばないほうが楽だ」と学習します。しかし、これが続くと、“自分の好みを判断する力”が弱くなります。
線条体:報酬系が“楽な選択”を強化する
線条体は、ドーパミン報酬系の中心で、「快楽」や「楽な選択」を強化する働きがあります。そして、おすすめは、手間がかからない、すぐ選べる、失敗しにくいという“楽な選択肢”を提供します。加えて、線条体は、「おすすめ=快適」と学習します。そして、自分で選ぶより、おすすめに従うほうが気持ちよくなります。また、これが続くと、「自分の好み」より「楽な選択」を優先する脳になっていきます。
海馬:記憶の整理が“外部依存”になる
海馬は、経験を整理し「自分の好み」を記憶として蓄積する役割があります。しかし、おすすめに従うと、自分で探す、自分で選ぶ、自分で試すという“能動的な経験”が減ります。そして、能動的な経験が減ると、海馬は「これは自分の選択だ」という記憶を形成しにくくなります。また、その結果、何が好きだったか、なぜそれを選んだのかといった“好みの根拠”が曖昧になります。
デフォルトモードネットワーク(DMN):内省の時間が奪われる
DMNは、ぼんやりしているときに働く「内省のネットワーク」です。そして、本来、DMNが働く時間に、自分の好きなもの、興味の方向性、最近の気分などを整理しています。しかし、常におすすめが提示されると、自分で考える前に選択肢が出てくる、内省する前に行動が決まるということになります。そして、その結果、「自分は何が好きか」を考える時間が減ります。つまり、これが、好みの輪郭がぼやける大きな原因になります。
扁桃体:不安を避けるために“無難な選択”を選ぶ
扁桃体は不安や危険を察知する領域です。また、おすすめは「失敗しにくい選択肢」なので、扁桃体にとっては安心材料です。そして、脳は、新しいものに挑戦する不安、外すかもしれない不安を避けるために、おすすめ=安全と判断しやすくなります。これが続くと、新しい好みに出会う機会が減り、好みが固定化してしまいます。
内容の整理とまとめ
内容の整理
ここまでこのブログでは、「おすすめ」に従うほど、自分の好みがわからなくなることについて、心理学的な視点、および、脳機能との関係について説明しました。まず、心理学的な視点については、アルゴリズムが“過去の自分”を強化する仕組み、選択肢が提示されると主体性が弱まる心理、おすすめが「思考の省エネ」を促す理由、選択の外部化が続くと好みがぼやけるメカニズムを説明しました。次に、脳機能との関係については、前頭前皮質、線条体、海馬、デフォルトモードネットワーク、扁桃体を説明しました。
おすすめ機能は便利で、生活を快適にしてくれます。しかし、使いすぎると、
- 過去の行動ばかり強化される
- 自分で選ぶ感覚が薄れる
- 思考の省エネが続き主体性が弱まる
- 好みの輪郭が曖昧になる
のような“副作用”が生まれます。また、脳機能の観点から整理すると、以下のことが言えます。
- 前頭前皮質:選ぶ力が弱くなる
- 線条体(報酬系):楽な選択が強化される
- 海馬:好みの記憶が曖昧になる
- DMN:内省の時間が奪われる
- 扁桃体:無難な選択を好むようになる
つまり、おすすめに従うほど、脳が“自分で選ばなくてもいい状態”に最適化されていきます。
まとめ
そして、その結果、「自分の好みがわからない」という感覚が生まれます。そのため、おすすめは「参考」にしつつ、ときには自分で探し、選び、試すことが重要になります。これにより、自分の好みを取り戻すことができると考えられます。私も「おすすめ」を利用することもあります。しかし、その「おすすめ」のページのおすすめを見たり、検索したりしています。そのためか、自分の好みがわからなくなるまではいっていないような気がしました。しかし、何気なく「おすすめ」に頼っていたら、「自分の好みがなくなる」というのは怖いことであると感じました。そして、これだけではなくネットやSNSが浸透することで知らない部分で影響を受けている可能性があると思うとぞっとしました。

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