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段ボールが10個を超えたら?買い物と心理の境界線

心理
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 前回のブログでは、ネットショッピングで届いた段ボールをなかなか開けない心理について書いた。そして、「買った瞬間がピーク」「開けなければ期待が続く」などの要因がありました。しかし、ブログの最後に「長期間開けていない段ボールが眠っているのは別問題」と書きました。今回はその長期間段ボールを開けない心理について取り上げることにしました。

 まず、大前提として、段ボールを数日放置することは誰にでもあるということです。そして、これは前回説明した通り、脳の報酬システムがそうさせているだけでした。そのため、異常でも何でもありませんでした。ただし、問題になる今回取り上げるのは、以下のような状態が続く場合です。

  • 開封していない段ボールが10個以上ある
  • 何ヶ月経っても開ける気になれない
  • 「開けなきゃ」と思うと気が重くなる
  • また新しいものを買ってしまう

 そして、これらは日常の範囲を超えて、生活の中で何かが引っかかり始めている状態になります。今回のブログでは、段ボール箱を長期間放置する心理と脳の働きについて調べましたので以下に説明します。

段ボールを長期間放置する心理

買い物が「感情の穴埋め」になっているケース

 ストレスが溜まった時、なんとなく落ち込んでいる時にネットショッピングをする。そして、このような経験は多くの人にあるような気がします。ただし、これが習慣化してくると少し話が変わってきます。

 まず、「買う行為」がストレス解消気分転換手段として定着してしまいます。すると、脳は買い物そのものを「報酬」として学習してしまいます。その結果、届いた段ボールへの興味はどんどん薄れていきます。そして、その理由として欲しかったのは「商品」ではなく、「買う瞬間の高揚感」だったからということになります。

 さらに、「また衝動買いしてしまった」という罪悪感が生まれます。すると、段ボールを見るたびにその罪悪感を思い出してしまいます。そのため、開けることを無意識に避けるようになります。最終的には、このような悪循環になってしまいます。

「捨てられない」が開封を阻むケース

 段ボールを開けると、現実と向き合わなければならなくなります。それは、気に入らなかったサイズが合わなかった返品するべきかもしれないなどです。そして、開封は、判断と行動を求められる瞬間でもあります。これが苦手な人にとって、段ボールを開けないことは「判断を先送りにする」手段になることがあります。

 また、もったいなくて捨てられない処分の仕方がわからない感覚が強いことがあります。そして、その場合、開けてしまうと「その後何かしなければならない」という義務感が生まれます。そして、それが嫌で開けないままにしておくという心理が働くことがあります。

「動けない」が根本にあるケース

 また、うつなど不安を抱えている場合、日常的な行動が極端に難しくなることがあります。例えば、開封、片付け、返品の手続きといった「日常」にする行動が難しくなることです。そして、その結果、段ボールの山が、積み上がってしまいます。

 そして、本人も「なぜできないのかわからない」「やる気の問題だ」と自分を責めてしまうことがありますです。しかし、それはやる気の問題ではなく、心のエネルギーが極端に少なくなっている状態である可能性があります。しかし、この場合、段ボール問題だけを解決しても根本の原因を解決することはできないことになります。

買い物での脳の処理

数日段ボールを開けない人

 脳の報酬回路は「購入→満足→完結」という流れで正常に機能しています。そして、ドーパミンが出て、落ち着いて、また通常モードに戻ります。いわば、一過性の花火のようなものです。前回と同じになりますが、買い物をしている時の脳の流れを示します。

1. 欲しいと思った瞬間〜購入直前

 脳の「側坐核(そくざかく)」という部位が活性化し、ドーパミンが放出され始めます。また、これは「報酬への期待」に反応する部位です。そして、実際に手に入れるよりも「手に入れるかもしれない」という期待の段階が最もドーパミンが多く出ることがわかっています。

2. 購入した瞬間

 クリックして「やった、手に入れた!」という達成感ドーパミンがピークに達します。ただし、ここで脳は「報酬を得た」と判断し、興奮は急速に落ち着き始めます。

3. 到着〜開封

 すでに脳的には「完結済み」の出来事になっています。そのため、開封時のドーパミン反応は購入時より明らかに低くなります。なお、これを快楽適応(快楽順応)と呼びます。

長期間段ボールを開けない人

 「欲しい→検討→購入→到着→開封」という流れは、短期間の場合と同じ流れです。相違点は、開封後になりますので、開封後ついて以下に説明します。

4. 開封後

 短期放置は花火のように一発で完結します。しかし、買い物を繰り返すうちに脳がドーパミンに慣れてしまいます。そして、同じ刺激では満足できなくなっていくのが長期放置・買い物依存のケースです。さらに、2つの追加変化が起きます。

① 前頭前皮質のブレーキが弱まる
 衝動を抑える理性の部位が相対的に機能しにくくなり、「また買ってしまった」という状況が加速します。

② 段ボールが罪悪感の引き金になる
 届いた段ボールを見ると罪悪感が生じ、脳はその不快感を避けようとします。結果として開封しない=段ボールを見ないようにするという回避行動が強化されていきます。

開封後の変化について

① ドーパミン耐性ができてしまう

 同じ刺激を繰り返すと、脳は徐々に反応が鈍くなります。これを「耐性」と呼びます。まず、最初は1回の買い物で満足することができます。しかし、だんだん2回、3回と回数が増えないと同じ満足感が得られなくなってきます。そのため、買い物の回数が増えてしまいます。そして、この状況は、アルコールや薬物依存と同じメカニズムになります。

② 前頭前皮質の働きが弱まる

 前頭前皮質は「理性の座」で、衝動にブレーキをかける役割を持っています。しかし、買い物の衝動が習慣化すると、この部位の働きが相対的に弱まってしまいます。つまり、脳の省エネルギーという性質によりシステム1の遅い思考から、システム2の速い思考にシフトしていきます。そして、「また買ってしまった」という状況が加速しやすくなります。

③ 段ボールが「罪悪感の塊」になる

 届いた段ボールを見ると、前頭前皮質が「また衝動買いした」と評価します。そして、その結果不快感罪悪感が生まれます。また、脳はこの不快感を避けようとするため、段ボールから目をそらす=開封しないという回避行動が強化されていきます。

④ ストレスがかかるとさらに買いたくなる

 罪悪感や生活のストレスが溜まると、脳は再びドーパミンを求めて「買い物」に向かいます。そして、これが負のループの正体になります。

「動けない」場合の脳(うつ・強い不安)

 ここで示すことは前項目とは別のメカニズムです。まず、うつ状態では脳全体のドーパミンやセロトニンの分泌量が低下しています。その結果、「やろう」という意欲の回路そのものが機能しにくい状態になります。つまり、段ボールを開けられないのは「やる気がない」のではなく、脳が物理的に動きにくくなっている状態ということになります。また、本人が「なぜできないのかわからない」と感じるのは、脳の状態と自己認識にギャップがあるからになります。

各状態の整理

状態脳で起きていること
数日放置ドーパミンが正常サイクルで完結。自然に回復する
買い物が止まらないドーパミン耐性が形成され、前頭前皮質のブレーキが弱まっている
罪悪感で開けられない段ボールが不快刺激となり、回避行動が条件づけられている
動けない状態ドーパミン・セロトニン不足で意欲回路が機能低下している

まとめ

 ここまでこのブログでは、段ボール箱を長期間放置する心理と脳の働きについて説明しました。まず、長期間放置してしまう心理について、買い物が「感情の穴埋め」になっているケース「捨てられない」が開封を阻むケース「動けない」が根本にあるケースを説明しました。次に、買い物での脳の処理について、数日段ボールを開けない人長期間段ボールを開けない人の違いについて説明しました。そして、その相違点について脳内処理の説明をしました。

 まず、段ボールが多少積み上がっていても、それ自体が「異常」というわけではありませんでした。しかし、「なんかしんどいな」という感覚がずっと続いているなら、その段ボール積み重ねはその異常への兆候かもしれません。また、異常と正常の見分けも難しいと思います。そして、買い物も、片付けも、開封も全部「後でやればいい」になってしまうことがあります。しかし、その「後で」がずっと来ない場合は、一度立ち止まって自分の状態を見てみるのも悪くないと思われます。そして、医者などに相談してみるのも良いかもしれません。

 

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