初めて行った場所で、初めて見た道なのになぜか懐かしいと感じたことがあります。そして、それは都会とか地方とかは関係なくありました。また、この感覚がデジャヴと近い関係になるということは知っていました。しかし、デジャヴについて調べたことがありませんでした。そのため、正確な関係を把握していませんでした。
ここでは、この初めて見た道なのに懐かしいという感覚とデジャヴについて調べましたので、ここで説明します。
デジャヴ
デジャヴとは、フランス語で「すでに見た」を意味します。そして、日本語では「既視感(きしかん)」と訳されます。また、実際には一度も経験したことがありません。しかし、あたかも以前に同じような経験をしたことがあるかのように感じる。このような、強い既知感や懐かしさを伴う感覚の現象です。脳の類似性認知メカニズムや記憶の処理プロセスにおける「誤作動」や「ずれ」によって生じると考えられており、多くの人が経験する一般的な現象です。
デジャヴの原因となる説
脳の情報の処理ミス説
デジャヴの最も一般的な説は、脳内の情報処理時の時間差や認識のズレによるものです。脳には、外部情報の認識プロセスと、記憶として定着プロセスがあります。これらのプロセスがごくわずかにずれます。そして、新しい情報が「今、認識したばかりのもの」として認識しません。その代わりに、「すでに記憶にあるもの」として脳に認識されるという考え方です。例えば、視覚情報が脳の右半球と左半球に伝達時に、わずかな時間差が生じます。先に情報を受け取った半球がその情報を処理する間に、もう一方の半球が処理を終えます。そして、まるで「過去に体験したこと」のように錯覚することがあります。
記憶の類似性認知メカニズム
現在の状況が、無意識のうちに過去の似たような記憶と結びつき起こるという説もあります。人は、見たことのない場所でも、その風景(例:並木道、古い町並み、神社仏閣)が、過去に見た写真や映画、あるいは他の似たような場所と重なり合うと、脳がその類似性を自動的に認識し、強い「懐かしさ」や「既視感」を生じさせることがあります。これは、脳が過去の経験から得た「典型的な光景」と目の前の光景を重ね合わせることで生じる現象です。たとえば、通りの曲がり角が子どもの頃に住んでいた場所の路地裏に似ていた。また、聞こえてくる電車の音が遠い昔に聴いた音と重なったりすることです。このプロセスには、記憶を司る海馬や、感情と記憶を結びつける扁桃体といった脳の部位が関わっていると考えられています。
疲労やストレスの影響
脳が疲れている時や、強いストレスを感じている時に起こりやすいという研究もあります。脳が通常よりも負荷を受けている場合、情報の処理エラーが起こりやすくなります。そして、デジャヴの感覚につながることがあります。また、てんかん患者の一部は、発作前兆で頻繁にデジャヴを経験することが知られています。これは、脳の側頭葉で異常な電気活動が発生するためと考えられています。そして、デジャヴが脳の一種の過剰反応である可能性を示しています。
夢で見た説
寝ている間に見た夢と、現実の光景が似ていた場合に、脳が「この光景を知っている」と錯覚することがあります。これは、寝ている間に見た夢を過去の記憶としていることから、上記「記憶の類似性認知メカニズム」との関連があります。
メカニズム
デジャヴの正確なメカニズムはまだ完全には解明されていませんが、いくつかの説があります。
- 記憶の類似性認知メカニズム:人の記憶は類似する出来事同士が強く結びついています。そして、脳が目の前の風景や人と似ているものを記憶から探し出すことに優れています。その結果、この働きで類似した光景が過去の長期記憶から自動的に思い出されるというものです。
- 脳の情報処理の遅延・混同:両目から入ってくる情報が脳に届くタイミングがわずかに異なります。そして、初めての体験が既に見ているように感じられるという説です。
- 記憶の誤作動:脳内で過去の記憶が引き出され、現在の出来事と混ざり合います。そして、経験したことのない瞬間を既知のように感じるとされる説です。
関連する現象
- ジャメヴュ(未視感):デジャヴとは正反対の概念で、見慣れた光景を見て初めて見たかのように錯覚する現象です。
- フラッシュバック:デジャヴが過去の記憶との錯覚であるのに対し、フラッシュバックは過去の強烈な記憶が感情と結びつき、不意に再生される現象です。
まとめ
ここまで、初めて見た道なのに懐かしいという感覚とデジャヴについて説明しました。このように、デジャヴはオカルト的な現象ではありませんでした。そして、脳の記憶や情報処理の仕組みに関連する現象であることを示しました。また、以前のブログで「初対面なのに会ったことがある気がする」現象の正体は?を取り上げたのですが、どちらもデジャブだったということがわかりました。場所でも人の顔でも人の目で見たことで起きている現象であることから脳の記憶や情報処理がなんらかの影響があることは否定できなそうです。ただし、ここで示したようにデジャブの原因や起きるメカニズムにしても完全に解明されていない「説」の段階です。それだけ脳の機能が奥深いのかもしれません。
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