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なぜ、自分より他人の方が『バイアスに陥っている』と感じるのか?:素朴なリアリズム

心理
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 「なぜあの人は、これほど明らかな事実が理解できないんだろう?」と思うことがあります。また、ニュースのコメント欄等を見て、正反対の意見に『この人は偏っている』というのを聞いたことがあります。また、私たちは自分自身を「物事をありのままに、客観的に見ることができる人間だ」と信じています。それゆえに、自分と違う意見を持つ人に出会うと、相手が「無知」である。または、「何らかの偏見(バイアス)」に囚われているのだと結論づけう傾向があります。しかし、心理学ではこれを誰もが陥る強力な認知の罠であると定義しています。そして、「素朴なリアリズム(Naive Realism)」と呼ばれています。

 そして、「自分は客観的だ」と強く確信しているときほど、バイアスの深みにハマっています。このような恐ろしい事実があります。今回は、なぜ私たちの脳が「自分だけは正しい」と思い込んでしまうのか、その傲慢で切ない仕組みについて調べました。

 このブログでは、自分より他人の方が『バイアスに陥っている』と感じるのか関して、脳が作り出す「真実」という名のフィルターバイアスの盲点提案について調べましたので以下に説明します。

脳が作り出す「真実」という名のフィルター

素朴なリアリズムについて

 素朴なリアリズムとは、「世界は私たちが知覚する通りに、客観的に実在しいる」。そして、「私たちの認識は基本的に正確である」と考える日常的で直感的な世界観を指します。つまり、私たちは客観的に現実を見ていると信じます。そして、他者も同じように見ているはずだと考えがちです。そして、この「現実はそのまま認識できる」という信念が素朴なリアリズムです。また、ナイーブ・リアリズム、素朴実在論とも言われています。

  • 定義: 「自分は物事のありのまま(客観的)を見ている」と信じ込んでしまう心理状態のこと。
  • 3つの思い込み:
    1. 自分が見ている世界は「客観的な事実」である。
    2. 理性的な人なら、自分と同じ情報があれば同じ結論に達するはずだ。
    3. 自分と違う結論を出す人は、無知か、偏見(バイアス)があるか、悪意がある。

「ビデオカメラ」ではなく「編集者」

 私たちの脳は、世界をビデオカメラのようにありのまま記録しているわけではありません。つまり、入力された膨大な情報の中から、自分の過去の経験、信念、願望に合うものだけを拾い上げます。そして、一瞬で「自分にとって都合の良いストーリー」として編集しています。

 問題は、脳がこの「編集作業」をあまりにも高速かつ無意識に行います。そのため、私たちは編集後のストーリーを「客観的な事実そのもの」だと思い込んでしまいます。

素朴なリアリズムの3つの段階

 自分と意見が違う人を見たとき、脳内で次の3ステップを踏んで相手をジャッジします。

  1. 無知の仮定: 「相手はまだ正しい情報を知らないだけだ。教えればわかるはずだ」
  2. 愚かさの仮定: 「情報を与えても理解しない。相手は理解力がないんだ」
  3. 悪意・バイアスの仮定: 「正解を知っているはずなのに認めない。相手は偏った思想を持っているか、私を攻撃しようとしている」

バイアスの盲点(Bias Blind Spot)

 「自分はバイアスに気づいている」という自信がいかに危ういかを示す、プリンストン大学のエミリー・プロニンらの有名な実験を紹介します。

実験:他人のバイアスは見えるのに、自分のバイアスは見えない

 研究チームは、学生たちに「自己奉仕バイアス(成功は自分のおかげ、失敗は環境のせいにする傾向)」などの一般的な認知バイアスについて詳しく説明しました。

  1. 自己評価:
     質問:「あなた自身は、これらのバイアスの影響をどの程度受けていると思いますか?」
  2. 他者評価:
     質問:「平均的なアメリカ人は、これらのバイアスの影響をどの程度受けていると思いますか?」

実験結果

 ほとんどが、「自分は平均的な人よりも、バイアスの影響を受けていない」と回答しました。そして、さらに興味深い結果があります。それは、「人間には自分のことを高く評価するバイアスがある」と教えられます。しかし、その後でも「その説明は正しいが、やはり自分は平均より客観的だ」と主張しました。そして、この現象を「バイアスの盲点(Bias Blind Spot)」と呼びます。

この実験が証明したこと

 私たちは、他人の言動の中にバイアスを見つけるのは非常に得意です。しかし、自分自身のバイアスは、自分の視点からは絶対に見えないようにできています。ちょうど、自分の目そのものを自分の目で見ることができないのと同じです。

その他

  • 「フィルター」の比喩:
     私たちの脳は、生のデータをそのまま見ているのではありません。つまり、過去の経験という「色のついたサングラス」を通して世界を見ているようなものです。
  • SNSとの関連:
     現代のSNS(エコーチェンバー現象)では、自分の意見を肯定する情報ばかりが集まります。そのため、この「素朴なリアリズム」が強化されやすくなります。

対策

  • 「相手を説得しようとしない」:
     相手も「自分こそが客観的だ」という素朴なリアリズムの中にいます。そのため、やりあっても、お互いに「相手はバイアスまみれだ」という確信を強めるだけと理解します。
  • 「魔法の問い」を持つ:
     意見が対立したとき、「相手が間違っている」と決めつける前に冷静になります。そして、「相手には見えていて、私には見えていない事実は何だろう?」と問いかけます。

まとめ

 ここまでこのブログでは、自分より他人の方が『バイアスに陥っている』と感じるのか関して、脳が作り出す「真実」という名のフィルターバイアスの盲点提案について説明しました。まず、脳が作り出す「真実」という名のフィルターについて、素朴なリアリズムについて、「ビデオカメラ」ではなく「編集者」素朴なリアリズムの3つの段階を説明しました。次に、バイアスの盲点について、他人のバイアスは見えるのに、自分のバイアスは見えないという実験実験結果この実験が証明したことなどを説明しました。最後に、対策について説明しました。

 とりあえず、自分には見たまま見えていると思っていることが編集された結果と考えないといけないと感じました。つまり、他の人が同じ場所にいても「同じようには見えていない」と考える必要性を感じました。そして、「自分が正しい」と確信したときほど、客観的になって、自分に見えていないものは何かと自問自答する必要があるとも感じました。そして、この行動が衝突を避ける知恵になるような気がしました。

 

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