テレビのアイスクリーム特集の中でミントアイスが映されていました。そこで、アイスクリームでミント味を見たときなど、スースー感を思い出しました。そして、暑い夏にはミントを使ったものでスースーする感じを味わいたくなるイメージが湧きました。そこで、ミントを食べるとスースーする理由を調べることにしました。以下に理由を説明します。
概要
ミントを食べると「スースーする」要因に、ミントに含まれる「メントール」という成分があります。そして、このメントールは、舌や口の中にある「冷たさ」を感じるセンサーを刺激します。通常、このセンサーは温度が実際に下がったときに活性化します。しかし、メントールは低温ではないのですが、このセンサーをだまして活性化させてしまいます。その結果、脳は「冷たい」という信号を受け取り、「スースーする」と感じます。つまり、メントールがミントに含まれているため、ミントを食べるとこの感覚が起こります。
メカニズム
冷たさのセンサー「TRPM8」(トリップエムエイト)
私たちの体には、温度や痛みなどを感じるための感覚センサーが備わっています。ミントのスースー感に関わるのは、そのうちの「TRPM8」というセンサーです。
- TRPM8の役割: このTRPM8は、主に冷たさを感知する役割を担っています。通常、気温や水温が約26℃以下になると活性化し、「冷たい」という信号を脳に送ります。
- TRPM8が存在する場所: 舌や口の中の粘膜、そして皮膚など、体のさまざまな場所に存在しています。
メントールとTRPM8の関係
ミントに含まれるメントールは、このTRPM8を刺激する特定の化学物質です。
- メントールの「だまし」: メントールは、実際に温度が下がっていなくても、TRPM8を活性化させる働きを持っています。つまり、メントールがTRPM8に結合すると、TRPM8は「冷たい!」という信号を脳に送ってしまうのです。
- 脳の勘違い: その結果、脳は「口の中が冷たい状態だ」と勘違いします。そして、「スースーする」という感覚を覚えます。
スースー感の増強
面白いことに、TRPM8は「メントール」と「実際の冷たさ」の両方で活性化します。
- 相乗効果: メントール入りのミントを食べた後に冷たい水を飲みます。その時、通常よりもさらに冷たく感じるのはこの相乗効果によるものです。つまり、メントールによって活性化されたTRPM8が、水の冷たさも合わせて感知します。その結果、より強い冷感が生まれます。
メントールとカプサイシンの対比
この仕組みは、唐辛子を食べたときに「熱い」と感じる仕組みとよく似ています。
- 唐辛子の「熱さ」: 唐辛子の辛味成分であるカプサイシンは、TRPV1という熱さを感知するセンサーを刺激します。その結果、温度が上がっていなくても脳は「熱い」と感じるのです。
影響
またミントを食べたくなるのは、ミントの清涼感が体にさまざまな良い影響を与えます。
脳への影響
ミントの香りは、脳を刺激して集中力を高めたり、気分をリフレッシュさせたりする効果があると言われています。特に、仕事や勉強で疲れたとき、ミントの香りを嗅ぐと頭がスッキリするため、「もう一度あの感覚を味わいたい」と体が欲するのです。
口の中を清潔に保つ効果
ミントには、口の中の細菌の増殖を抑え、口臭を予防する効果もあります。食事の後や口の中がネバネバするときにミントを食べます。これにより、スッキリとした感覚が生まれ、まるで歯磨きをした後のように感じられます。この爽快感が、またミントを手に取るきっかけになります。
消化を助ける効果
食後にミントを食べたくなるのは、胃腸の動きを活発にし、消化を助ける効果があるためです。ミントティーが世界中で愛飲されているのも、こうした理由と考えられます。食べた後に胃がもたれたり、スッキリしないと感じたときにミントの清涼感が欲しくなるのです。
まとめ
このように、ミントの「スースー感」は、体温を下げる効果があるわけではなく、あくまでも感覚センサーが化学物質によって刺激されることによる錯覚ということでした。その錯覚は、メントールが、冷たさのセンサー「TRPM8」を活性化しているからでした。
また、ミントを再び食べたくなるのは、単に「スースーする」という感覚だけでなく、心身ともにリフレッシュできるというメリットを体が覚えているとは考えてませんでした。また、ミントの効果として、口の中を清潔に保つ効果はなんとなく感じていましたが、消化を助ける効果や脳への影響については予想していませんでした。そして、ミントティーが世界中で愛飲されている理由が本能によるものとは意外でした。
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