作業に集中しているとき、スマホやPCに“ピッ”と通知が来ただけす。しかし、それだけで一気に集中が途切れてしまうことがあります。また、たとえ通知を開かなくても、「何の通知だろう」「後で見ないと」と意識が向いてしまいます。そして、集中力が途切れる状態は、現代人なら多くの人が経験している現象です。そこで、なぜ“通知が来ただけ”で集中力が奪われてしまうのかという疑問が浮かびます。そこで、この疑問について調べることにしました。具体的には、通知が脳の注意を強制的に奪う理由、通知がドーパミン報酬系を刺激する仕組み、通知が“未完了タスク”を生み脳を疲れさせるメカニズム、通知が多いほどマルチタスク状態になり集中が崩れる理由について心理学、脳科学の視点で調べました。
このブログでは、通知が来るだけで集中力が奪われることについて、心理学要因と脳機能との関係について調べましたので以下に説明します。
集中力が奪われる要因について
通知は「外部からの割り込み」で脳の注意を強制的に奪う
通知が来ると、たとえ見なくても脳は次のように反応します。例えば、何の通知だろう、重要かもしれない、後で確認しないとなどです。これは、脳が“外部刺激を優先する”ように進化してきたためです。そして、「通知=外部からの割り込み」→ 脳は自動的に注意を奪われます。つまり、通知は「見るかどうか」と関係なく、来た瞬間に集中力を削ることになります。
通知は「報酬系」を刺激し、脳が反応せずにいられない
通知は、脳の“ドーパミン報酬系”を刺激します。例えば、メッセージかもしれない、いいねかもしれない、仕事の進展かもしれないなどです。そして、この「かもしれない」が脳を強く引きつけます。また、通知は、ギャンブルのような“予測不能な報酬”の性質を持ちます。そのため、脳が無視できない仕組みになっています。つまり、通知が来るだけで集中が乱れるのは自然な反応ということになります。
通知は「未完了タスク」を生み、脳に負荷をかける
通知を見る前でも、脳は次のようなことを感じます。例えば、あとで確認しないと、返信が必要かも、対応しなきゃいけないかもなどです。
まず、これらはすべて“未完了タスク”として脳に残ります。また、心理学ではこれをツァイガルニク効果と呼びます。そして、未完了の物事は脳のリソースを奪い続けることになります。つまり、通知が来るだけで、脳内に小さなタスクが増えていくということになります。
なお、ツァイガルニク効果とは、人は達成できた事柄よりも、達成できなかった、あるいは中断させられた事柄の方をよく覚えているという心理現象です。未完成のタスクに対する「続きが気になる」「すっきりさせたい」という緊張感や欲求が
通知が多いほど“マルチタスク状態”になり集中力が崩れる
また、通知が頻繁に来ると、脳は常に次のような状況や態勢になります。つまり、今の作業、通知の内容、次の通知への警戒などを同時に頭の中にある状態になります。そして、これは実質的にマルチタスク状態になります。また、人間の脳はマルチタスクが苦手なため、集中力はどんどん削られていきます。そして、結果として、以下のような状況を引き起こします。
- 作業効率が落ちる
- ミスが増える
- 疲れやすくなる
通知が集中力を奪う「脳機能」の正体
扁桃体:外部刺激への“警戒アラーム”
通知音やバイブは、脳の扁桃体が「危険かもしれない」と判断します。そして、注意を強制的にそちらへ向ける働きをします。例えば、次のような反応です。そして、通知は脳にとって「無視できない刺激」として扱われることになります。
- 小さな音でも反応する
- 無視しようとしても勝手に意識が向く
- 生存本能に近いレベルで優先される
前頭前皮質:集中力の司令塔が中断される
また、集中力を司るのは前頭前皮質です。そして、この部位の機能が“今やるべきこと”に意識を集中させています。しかし、通知が来ると、注意が割り込まれる、作業の優先順位が揺らぐ、再び集中状態に戻るのに時間がかかるなどのような状態になります。
そして、一度集中が途切れると元に戻るまで平均23分かかるとも言われています。つまり、通知はその「集中の糸」を簡単に切ってしまう原因になっています。
ドーパミン報酬系:通知は“ご褒美の予感”として処理される
そして、通知は脳の報酬系を刺激します。つまり、メッセージかもしれない、いいねかもしれない、仕事の進展かもしれないというような反応をしてしまいます。
そして、この「かもしれない」がドーパミンを分泌させます。そして、その結果、脳が通知を無視できなくなります。つまり、ギャンブルと同様に「予測不能な報酬」は脳に強烈な引力を持つことになります。
海馬:記憶の整理が中断される
集中しているとき、海馬は情報を整理しながら記憶を形成しています。そして、通知が来ると、以下のように通知が記憶の流れを断ち切ってしまうことになります。
- 記憶の処理が中断される
- 作業内容の保持が乱れる
- 再開時に「どこまでやったっけ?」となる
デフォルトモードネットワーク(DMN):思考の流れが乱れる
集中しているときはDMNが抑制され、“今やっていること”に意識が向いています。しかし、通知が来ると、DMNが再び活性化、関係ない思考が浮かぶ、注意が散漫になるなどのような状態になります。そして、結果として、深い集中(フロー状態)に入りにくくなります。
内容の整理とまとめ
内容の整理
ここまでこのブログでは、通知が来るだけで集中力が奪われることについて、心理学要因と脳機能との関係について説明しました。まず、心理学的要因について、通知が脳の注意を強制的に奪う理由、通知がドーパミン報酬系を刺激する仕組み、通知が“未完了タスク”を生み脳を疲れさせるメカニズム、通知が多いほどマルチタスク状態になり集中が崩れる理由を説明しました。次に、脳機能との関係については、扁桃体、前頭前皮質、ドーパミン報酬系、海馬、デフォルトモードネットワークについて説明しました。
まず、通知は小さな刺激に見えて、脳にとっては“強制的に注意を奪う強烈な割り込み”です。そして、次のような影響を引き起こします。
- 外部刺激として注意を奪う
- 報酬系を刺激して無視できない
- 未完了タスクを生み脳を疲れさせる
- マルチタスク状態を引き起こす
また、脳では脳の構造上、「通知」は以下のように扱われます。
- 扁桃体 → 危険かもしれない
- 前頭前皮質 → 集中が中断される
- 報酬系 → 無視できない
- 海馬 → 記憶処理が乱れる
- DMN → 思考が散漫になる
まとめ
このように、通知は 脳の複数の領域を同時に揺さぶる“強制割り込み”ということになります。そのため、通知が来るだけで集中力が奪われるのは当然の反応になります。つまり、通知が来るだけで集中力が奪われるのは、意志の弱さではなく、脳の仕組みがそうなっているからということになります。
また、集中したい時は、 脳の複数の領域を同時に揺さぶる“強制割り込み”から逃げないといけません。しかし、通知は強制割り込みなので物理的に避けることが必要になります。そのために「通知を切る」「スマホを別の部屋に置く」など、環境を整えることが最も効果的になります。改めて感じたのですが、通知は超強力な割り込みであると認識しました。

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