会議で「これについて意見ある?」と急に振られて、頭では「あれとこれを言いたい」と思っているのに、口から出たのは「えっと、その…」だけしか答えられない。また、友達に「最近どう?」と聞かれて、感じていることはあるのに、なんだかまとまらなくて「まあ、普通かな」で終わってしまう。そして、誰かの名前や言葉が「ここまで出てるのに思い出せない!」というもどかしい瞬間があります。このような、会議や日常会話で「言いたいことはあるのに、うまく言葉にならない」と感じたことはないでしょうか? つまり、頭の中ではイメージがあるのに、表現が追いつかないというものです。ただし、これは多くの人が経験する自然な現象と言われています。
このブログでは、その背景にある心理・脳の仕組み・環境要因を説明します。そして、言葉にしやすくするための方法についても説明します。
なぜ「言葉が出てこない」のか?
思考のスピードと表現のスピードの差
- 人の思考は非常に速いのに対し、言葉にするスピードは追いつかない。
- 脳内のイメージが複雑すぎて、口に出す前に整理が必要になる。
語彙の不足や選択の難しさ
- 適切な言葉が見つからず、「違う、これじゃない」と迷ってしまう。
- 特に抽象的な感情や複雑な意見は言葉で表すのが難しい。
感情の影響
- 緊張や不安で脳が「闘争・逃走モード」になります。そして、言語中枢の働きが弱まる。
- 怒りや動揺で言葉より感情が先行してしまう。そして、うまく伝えられない。
記憶の取り出しエラー(“舌の先現象”)
- 言葉を知っているのに思い出せない状態。
- 脳内では記憶が呼び出されかけている。しかし、音や文字の情報がリンクしないために引き出せない。
環境・相手との関係性
- 話す相手が上司や初対面だと緊張しやすい。
- 「どう思われるか」を気にするあまり、言葉が出にくくなる。
具体的なシーンでの例
- 会議で発言できない → 頭の中で考えが整理しきれていない。
- 感情を説明できない → 言語化よりも感情が先に出ている。
- 名前や単語を思い出せない → 記憶検索の一時的なエラー。
言葉にしやすくするための工夫
思考をメモに残す
- 話す前にキーワードをメモする。
- メモが“頭の外部メモリ”になり、整理が進む。
例えや比喩を使う
- 「○○みたいな感じ」でまず伝える。
- 完璧な言葉を探すより「近い言葉」を出すことで会話が進む。
一呼吸おく
- 緊張したら、深呼吸して脳の働きを落ち着ける。
- 言葉が出ない沈黙も「考えている時間」として活用できる。
語彙を増やす・インプットを意識する
- 読書や人の話から新しい言葉を吸収する。
- 「感情を表す言葉」「抽象を具体化する言葉」が増えると表現力が上がる。
話す練習をする
- 誰もいないところで声に出してみる。
- 音読やスピーチ練習は“言語化の筋トレ”になる。
まとめ
「言いたいことがうまく言葉にできない」のは、能力不足ではなく、脳や心の自然な仕組みによるものです。つまり、思考のスピードと表現の差、語彙選びの難しさ、感情や緊張の影響、記憶の取り出しの不具合といったこれらの要因が重なって言葉が出てこないと思われます。
しかし、大切なのは「なぜ言葉が出てこないのか」を理解すること。そして、少しずつ工夫を重ねることになります。そして、完璧を求めず「まず伝える」ことから始めます。そうすれば、少しずつ“言葉にできる力”は伸びていきます。つまり、大切なのは「完璧な言葉で話そう」と無理せず、まず「近い言葉」「一部の言葉」からでも伝えてみることです。そして、そうすることで会話は前に進み、もどかしさも少しずつ減っていくと考えられます。
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