ある芸能人がたくさんの芸能人と並んで、「思ったより背が高い」と驚くことがありました。また、逆に「思っていたより背が低い」ということがありました。加えて、ロングドレスの女性歌手やモデルの方が1人で立っている写真を見ていて背が高いのかなと思っていたら以外と背が低いということもありました。最近あったのは「あのちゃん」です。顔を見た雰囲気では小柄と思っていました。しかし、他の芸能人と並んだところを見たら思ったより背が高い人でした。また、逆の人がTravis Japanの「松田元太」さんです。もう少し背が高いと思っていたのですが、メンバーと並んでいるのを見ると思っていたより背が低いと感じました。
このように、私が感じている背の高さの印象は正確ではないようです。それは私だけでもないようで、脳が“身長を正しく判断できない状況”に置かれているために起きる現象のようです。
このブログでは、人の身長を錯覚してしまう現状について調べました。そして、背の高さは”見えているようで見えていない”、認知バイアス、印象形成、メディアによる錯覚、そして、3つの要因の影響について以下に説明しています。
背の高さは“見えているようで見えていない”
私たちは、人の身長を「見れば分かる」と思いがちです。しかし、実際には、身長ほど錯覚しやすい身体的特徴はないようです。また、テレビで見ていた芸能人を実際に見ると「意外と背が高い」と驚く場合があります。加えて、普段小柄だと思っていた人が、他の人と並ぶと急に大きく見えたりします。そして、それは、単なる気のせいではなく、心理学的に説明できる現象です。
背の高さの印象は、
①認知バイアス(Cognitive Bias)
②印象形成(Impression Formation)
③メディアによる錯覚
という3つの要因が複雑に絡み合って生まれています。以下、それらの内容について説明します。
認知バイアス:脳が“推測”で身長を決めてしまう
認知バイアスは、人間が情報を認識・判断時に、無意識に生じる思考の偏りや体系的な誤りのパターンを指します。そして、脳が情報を効率的に処理しようとする「心のショートカット」が原因です。そして、経験や感情、先入観が影響し、客観的・合理的な判断を妨げ、非論理的な結論に導くことがあります。また、身長の印象には、特に次の3つが強く働きます。
代表性ヒューリスティック
代表性ヒューリスティックは、ある事象が頭の中の典型的なイメージ(ステレオタイプ)にどれだけ似ているか(代表的か)で、その事象の確率や頻度を直感的に判断する思考の近道(ヒューリスティック)のことです。人は「見た目の特徴」から、身長まで推測してしまいます。そして、本来は無関係な特徴が、身長の印象にまで影響してしまっています。
- 幼い顔 → 小柄
- 細身 → 小柄
- 威圧感がある → 大柄
アンカリング
アンカリングは、最初に提示された情報が「錨(アンカー)」のように基準となります。なお、最初に提示された情報には、数字、価格、イメージなどがあります。そして、アンカーがその後の判断や意思決定に強く影響を与え、引きずられてしまう心理現象です。
つまり、一度「この人は小柄そう」と思います。すると、後から実物を見ても、その印象が邪魔をして正しく評価できなくなります。
文脈依存性
文脈依存性は、情報や意味が置かれた状況(文脈)や前後の情報に強く影響されてしまう現象のことです。そして、記憶(覚える時と思い出す時)、言語理解、知識の適用など様々な分野で見られます。また、身長の印象は、周囲の人によって簡単に変わります。つまり、身長は“絶対的な大きさ”ではなく、脳がその場の文脈から作り出した相対的なイメージです。
- 小柄な人たちの中にいる → 大きく見える
- 大柄な人たちの中にいる → 小さく見える
印象形成:性格や役割が身長にまで影響する
印象形成とは、まず、相手の見た目、声、振る舞い、噂などの断片的な情報を得ます。次に、その人の全体的な性格や人柄、能力などを推測します。そして、まとまった人物像を作り上げる心理プロセスです。この印象形成でも身長の印象は大きく歪むことがあります。
ハロー効果
ハロー効果とは、1つの特徴が、他の特徴の印象にまで影響する現象です。つまり、ある対象を評価する際に、目立つ一部の特徴に引きずられます。そして、全体的な印象や他の特徴まで歪めて評価してしまう心理現象です。また、「後光効果」「光背効果」とも呼ばれ、認知バイアスの一種です。そして、性格や役割が、身体的特徴の印象にまで波及してしまいます。
- 優しそう → 小柄そう
- しっかりしている → 大柄そう
- コミカルなキャラ → 小柄そう
第一印象の強さ
声のトーン、話し方、雰囲気などの身長とは無関係な情報が、身長のイメージを勝手に補完してしまいます。
身体性のステレオタイプ
身体性のステレオタイプとは、人の身体的な特徴や外見に基づき影響を受けるものです。つまり、その人の性格、能力、行動などを画一的に決めつける固定観念や先入観のことです。こうした社会的な枠組みが、身長の印象を無意識に形づくるものです
- “かわいい系” = 小柄
- “リーダータイプ” = 大柄
メディアによる錯覚:カメラは身長を正しく伝えない
メディアによる錯覚とは、メディアが提供する情報によって影響を受けるものです。そして、人々が現実とは異なる印象や認識を持ってしまう現象を指します。これは、情報が制限、編集、あるいは特定の意図をもって提示されることによって引き起こされます。 例えば、テレビ・写真・SNSなどのメディアなどが含まれます。
レンズによる歪み
- 望遠レンズ → 奥行きが潰れ、小柄に見える
- 広角レンズ → 手前が大きく、奥が小さく見える
- 俯瞰ショット → 小柄に見える
つまり、このようにカメラは“現実のサイズ感”をそのまま映しているわけではありません。
構図・編集による印象操作
- 背景の大きさ
- 他の出演者との距離
- カメラ位置
などが、身長の印象を簡単に変えてしまいます。
メディアが作る“キャラ設定”
番組上の役割が、視聴者の身長イメージにまで影響してしまいます。なお、番組上の役割とは、かわいい担当、いじられ役、強面キャラなどです。つまり、私たちが見ているのは“実際の身長”ではなく、“演出された身長感”ということになります。
3つの要因が重なると、錯覚は強くなる
背の高さの印象は、次のように歪みます。そして、複数人が並んだ瞬間に、脳が“相対評価モード”に切り替わり、錯覚が修正されます。その結果、「意外と背が高い」という驚きが生まれることになります。
- 認知バイアス → 見た目や文脈から脳が推測する
- 印象形成 → 性格や役割が身長イメージに波及する
- メディアの錯覚 → カメラや演出がサイズ感を歪める
内容の整理とまとめ
内容の整理
ここまでこのブログでは、背の高さは”見えているようで見えていない”、認知バイアス、印象形成、メディアによる錯覚、そして、3つの要因の影響について以下に説明しました。まず、背の高さは“見えているようで見えていない”という全体的な影響について説明しました。次に、その要素の認知バイアスについて、代表性ヒューリスティック、アンカリング、文脈依存性を説明しました。続いての要素の印象形成について、ハロー効果、第一印象の強さ、身体性のステレオタイプを説明しました。加えて、続いての要素のメディアによる錯覚について、レンズによる歪み、構図・編集による印象操作、メディアが作る“キャラ設定”を説明しました。
まとめ
背の高さを感じるだけでこれだけたくさんの要素が関係していたとは意外でした。まず、認知バイアスは何となく関係するような気がしていました。そして、メディアによる錯覚はありそうな気はしていました。例えば、女性歌手の方がロングドレスで映っている写真やモデルさんが下から写されて足が長く映っている写真などでは大きく見えていました。そのため、映り方による影響はあるとはわかっていましたが、その見え方はそのままでした。
また、認知バイアスや印象形成は人によって異なるので、その影響についても人それぞれのような気がします。例えば、モデルの方を撮影しているカメラマンの方と一般の人とのその部分での認知バイアスの程度は異なるような気がします。つまり、それまでの経験によって受ける影響などは異なります。そして、その人の感覚によってそれぞれの要因から受ける影響が異なるようにも感じました。そして、影響の強度が異なるにもかかわらず、身長に対する錯覚が多くの人が感じるのは不思議な感じがしました。


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