テレビで熱中症の対策で暑熱順化(しょねつじゅんか)という言葉を聞くようになりました。これまではそんなに聞いたことがありませんでしたが、今年はたびたび耳にしているような気がしました。そこで、暑熱順化がどういうものか、そして、その方法を説明します。加えて、暑熱順化したら良いタイミングや暑熱順化がどれだけ維持できるかについても説明します。
何なの暑熱順化という視点で
「暑熱順化」とは、体が暑さに慣れて、暑い環境に適応できるようになることを指します。「暑熱順応」とも呼ばれます。熱中症予防に非常に重要な体づくりです。具体的には、体が暑さに順化すると以下のような変化が起こります。また、これらの変化によって、体は効率的に体温調節ができるようになり、暑さに強くなります。
- 発汗量の増加と早期の発汗: 暑熱順化が進むと、体温がさほど上がらなくても早く汗をかきやすくなります。汗をかくことで、皮膚表面から汗が蒸発する際に気化熱が奪われます。そして、体温の上昇を抑えることができます。
- 汗に含まれる塩分濃度の低下: 順化していない状態の汗は、水分と一緒に体に必要な塩分が多く排出されます。しかし、暑熱順化すると、汗腺の機能が活性化し、汗に含まれる塩分が再吸収されます。そして、サラサラとした塩分濃度の低い汗をかくようになります。これにより、体に必要なミネラルが失われにくくなります。その結果、熱中症の症状(けいれんや意識障害など)が起こりにくくなります。
- 皮膚血管の拡張: 体温がそれほど上昇しなくても皮膚の血管が広がります。そして、体内の熱を体の表面から効率よく放出できるようになります。
- 循環血液量の増加: 循環血液量が増えることで、運動機能が向上し、体内の熱の放出をさらに促します。
暑熱順化の方法
暑熱順化は、日常生活の中で「やや暑い環境」で「ややきつい」と感じる程度の運動や活動を行い、汗をかく習慣をつけることで促されます。また、個人差はありますが、一般的に数日から2週間程度かかると言われています。具体的な方法としては、以下のようなものがあります。
- ウォーキング・ジョギングなどの有酸素運動:
- ウォーキングなら1日30分を週5回程度
- ジョギングなら1日15分を週5回程度
- 無理のない範囲で、少し汗ばむくらいのペースで行うのが効果的です。
- サイクリング: 1日30分を週3回程度
- 筋力トレーニング・ストレッチ: 適度に汗をかく程度の運動を30分、週5日〜毎日
- 入浴: 38~40℃程度のぬるめのお湯に10~20分程度浸かり、しっかりと汗をかく。2日に1回程度が目安です。半身浴も効果的です。
注意点:
- 無理のない範囲で行い、体調が優れない時は控える。
- 特に気温が高い時間帯(12時〜15時)は避け、早朝や夕方など涼しい時間帯に行う。
- 運動や入浴の前後、そして活動中は、こまめな水分・塩分補給を忘れずに行う。
暑熱順化のタイミング
暑熱順化は、本格的な暑さが始まる前から始めるのが最も効果的です。効果的な時期はこのタイミングです。しかし、熱中症にならないためには、どんなタイミンでもやった方が良いと思われます。具体的には、以下のタイミングがおすすめです。
春から初夏にかけて、少しずつ気温が上がり始める頃(4月下旬~5月上旬頃)
- この時期はまだ体が暑さに慣れていないため、急に暑くなった日には熱中症のリスクがあります。
- 梅雨入り前は、既に暑熱順化を意識して始めるべき時期と言えるでしょう。
- 特に、5月でも最高気温が25℃以上の夏日や30℃以上の真夏日となることがあります。そのため状況に合わせて、早めに意識し始めることが大切と考えられます。
梅雨明けの約2週間前
- 梅雨明けは晴天が続き、急激に気温が上昇することが多いです。
- 梅雨の間にあまり汗をかく機会がなく、暑熱順化ができていないと、熱中症のリスクが非常に高まります。
- 暑熱順化にかかる時間には個人差もあります。そして、数日から2週間程度かかると言われているため、梅雨明けに備えて早めに始めるのが理想的です。
特定のイベントや活動の約2週間前
- 例えば、夏のスポーツイベントや屋外での作業など、暑い環境での活動の予定がある。そんな場合は、その約2週間前から集中的に暑熱順化に取り組むと良いと考えられます。
特に注意が必要なタイミング
- 5月の暑い日: 早くから夏のような暑さになる日があるため。
- 梅雨の晴れ間: 梅雨の雨で気温が下がった後、急に晴れて気温が上がった時。この時には体が暑さに慣れていないため。
- 梅雨明け直後: 急激な気温上昇と、梅雨で体が鈍っている可能性があるため。
- お盆明け: 夏休みなどで涼しい場所に滞在していた場合、暑熱順化が戻ってしまうことがあるため。
暑熱順化はどれだけ維持ができるの?
暑熱順化は、一度体が暑さに慣れても、数日間暑い環境から離れると、その効果は徐々に薄れてしまいます。一般的には、3~4日程度で暑熱順化の効果が顕著に失われ始めると言われています。そして、3~4週間程度で完全に失われてしまうとされています。
もとに戻る要因
- 涼しい場所での長期滞在後: 冷房の効いた室内で過ごす時間が長くなる。そして、涼しい地域へ旅行したりすると、体が暑さに慣れる必要がなくなります。このような時に順化効果が失われやすいです。
- 梅雨の期間中: 梅雨に入ると気温が一時的に下がったり、日照時間が減ったりします。このような時期に、汗をかく機会が減り、体が暑さから遠ざかることがあります。そして、梅雨明けに急に気温が上がると、体が順化できておらず、熱中症のリスクが高まります。
- お盆休み明け: 夏休み中、涼しい環境で過ごすことが多かった。そして、休み明けに仕事や学校が始まって再び暑い環境にさらされる。このような状況になると、体がついていけずに熱中症になるケースがあります。
まとめ
暑熱順化は、本格的な暑さが始まる前から余裕を持って始めることが重要ということはわかります。しかし、暑熱順化ができていても、暑熱順化の効果は数日間汗をかかないと失われてしまいます。そこで、夏の間も継続的に汗をかく習慣を維持することが大切という結果でした。
しかし、実際には暑いので涼しいところで過ごしてしまいます。その一方、効果が失われてしまわないようにしないといけません。そうすると、体に負担が少ない方法を選択する必要があります。ただ、体に負担が少ない方法と言っても、人それぞれだと思われます。何か、継続的に汗をかく方法を探さにとと感じました。私の場合は、ぬるめの湯船に浸かったりするなどかなあと感じました。それでも、継続できるかが問題ですが・・・
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