気圧の変化で頭痛がするという話を時々聞きます。また、この時期によく聞き、テレビなどで取り上げられることもあります。あまり気に留めることもなかったのですが、私もこの時期に頭痛になることが多いので調べてみることにしました。まず、気圧から頭痛が起こるメカニズムについての説明をします。そして、雨の日の日に頭痛がするのは、私の頭痛は気圧が原因なのかについて説明します。
気圧から頭痛?
気圧の変化によって頭痛が起こる現象は、「気象病」や「天気痛」と呼ばれます。特に、頭痛は「低気圧頭痛」とよく言われます。そのメカニズムは複数考えられています。そして、主なものとして以下の点が挙げられ、ここで説明します。
内耳のセンサーの過敏な反応
私たちの耳の奥にある「内耳」には、聴覚を司る蝸牛(かぎゅう)があります。そして、平衡感覚(バランス)を司る三半規管(さんはんきかん)もあります。この内耳の三半規管には、気圧の変化を感知するセンサー(前庭器官)があると考えられています。
- メカニズム: 気圧が変動すると、この内耳のセンサーが敏感に反応し、その情報が脳に伝わります。特に内耳の感受性が高い人は、わずかな気圧の変化でも過剰に察知してしまいます。そして、脳にその情報が伝達されます。
- 自律神経への影響: 内耳からの情報が脳に伝わると、自律神経のバランスが乱れやすくなります。自律神経は、交感神経と副交感神経から成り立っています。そして、これらがうまく切り替わらなくなると、様々な体の不調(頭痛、めまい、肩こりなど)につながります。
- 血管の拡張: 内耳の刺激が脳に伝わることで、脳の血管を拡張させる物質が放出されることがあります。この血管の拡張が周囲の神経、特に三叉神経を刺激します。その結果、痛みを引き起こすと考えられています。
脳内の血管の拡張と収縮
ここで示したように「気圧の変化」は、脳内の血管の動きにも影響を与えます。
- 低気圧時の血管拡張: 「低気圧」になると、体にかかる空気の圧力が相対的に低下します。これにより、体内の空気を含む組織や液体が膨張しやすくなります。また、脳の血管も拡張しやすくなります。そして、拡張した血管が周囲の神経を圧迫・刺激することで頭痛が発生します。
- セロトニンの関与: 気圧の変化は、脳内の神経伝達物質であるセロトニンの分泌量にも影響を与えると考えられています。セロトニンは血管の収縮・拡張に関わる物質です。そして、その分泌が不安定になることで、血管が急激に収縮したり拡張したりを繰り返します。その結果、頭痛(特に片頭痛)が誘発されることがあります。
体内の水分バランスの乱れ
この「気圧の変化」に伴い、体内の水分バランスが乱れることも頭痛の原因となることがあります。
- むくみ: 体に余分な水分が溜まるとむくみが生じ、頭重感やだるさにつながることがあります。東洋医学では、「水滞(すいたい)」と呼ばれ、湿気による影響も関連すると考えられています。
その他
- 慢性的な不調の悪化: 天気痛は、元々持っている頭痛(片頭痛や緊張型頭痛)や、首・肩のこりなどの慢性的な不調を悪化させることが多いです。
- 個人差: 気圧の変化に対する感受性には個人差があります。乗り物酔いをしやすい人や、耳鳴りがしやすい人は、内耳が敏感な傾向があり、天気痛を経験しやすいと言われています。
このように、気圧の変化が頭痛を引き起こすメカデンズムは複雑で、内耳、自律神経、脳血管、神経伝達物質など、複数の要素が絡み合っていると考えられています。
雨の日に頭痛がするのは?
頭痛が「雨の日」にする現象は、気圧の変化による頭痛と深く関係しています。そして、雨が降るということは、多くの場合、低気圧が接近していることを意味します。低気圧の中心部やその周辺では、周囲の空気が集まって上昇気流が発生しやすくなります。この上昇気流によって空気中の水蒸気が冷やされて雲ができます。そして、それが雨や雪となって降ってきます。つまり、雨が降ることは、その地域の気圧が低下しているサインであることが非常に多いのです。
雨の日の頭痛と気圧の関係性
- 雨が降り始める前や、降っている最中に頭痛が起こる。
- 低気圧が近づく予報が出ると、体調が悪くなる、頭痛がする。
- 台風が接近している時に頭痛がひどくなる。
- 梅雨時期など、気圧の変動が大きい時期に頭痛が起こりやすい。
もちろん、雨の日には湿度が高くなる、気温が下がるなどの他の気象要素も変化します。しかし、頭痛に関しては気圧の変化が最も主要な原因の一つとされています。もし、「雨の日に頭痛がする」という自覚は、それは気圧の変化の可能性が非常に高いと思われます。
わたしの頭痛は気圧が原因なの?
自分の頭痛が気圧によるものかどうかを確認する方法はいくつかあります。主な方法は以下の通りです。
頭痛と気圧の変化の記録・比較
これが最も直接的で効果的な方法です。
- 頭痛ダイアリーをつける:
- 頭痛が起きた日時、強さ、症状(ズキズキする、締め付けられるなど)を記録します。加えて、服用した薬の種類と量、効果などについても記録します。
- その日の天気(雨、曇り、晴れなど)や気温、湿度を記録します。加えて、前日の睡眠時間、ストレスの有無なども記録できるとより良いと考えられます。
- 気圧予測アプリを利用する:
- 「頭痛ーる」や「ウェザーニュース(天気痛予報)」など、気圧の変化を予測・表示してくれるアプリをスマートフォンにインストールします。これらのアプリは、気圧の急な低下や大きな変化がある場合に通知してくれます。加えて、今後の気圧の推移をグラフで示してくれたりします。
- 頭痛が起きた際に、アプリでその時点の気圧や直前の気圧の変化を確認します。そして、自身の頭痛ダイアリーと比較します。
ポイント
- 頭痛と気圧変化の同期: 頭痛のタイミングと、気圧の大きな変動が一致している場合、気圧による頭痛の可能性が高いです。特に、低気圧が接近時に頭痛が起こる場合は、その可能性が高いです。この低気圧接近時は、雨が降る前や台風の接近時などが該当します。
- 繰り返し確認する: しかし、数回の一致だけでは断定できません。数週間から数ヶ月間、継続して記録することで、より明確な傾向が見えてきます。
セルフチェックリストの活用
いくつかの特徴的な症状や体質が、気圧による頭痛(気象病・天気痛)と関連しているとされています。
- 一般的なチェック項目:
- 雨が降る前や天候が変わる時に体調が悪い、頭痛がする。
- 季節の変わり目に体調を崩しやすい。
- めまいや耳鳴りが起こりやすい。
- 乗り物酔いをしやすい。
- 首や肩こりがある、またはこりやすい。
- 猫背や反り腰など、姿勢が悪いと感じる。
- 飛行機や新幹線に乗ると耳が痛くなったり、くらくらしたりする。
- エレベーターに乗ると耳が痛くなったり、くらくらしたりする。
- 日常的にストレスを感じている。
これらの項目に多く当てはまるほど、気象病・天気痛の可能性が高いと考えられます。小林製薬の「テイラック」や、頭痛ーるの公式サイトなどでもセルフチェックリストが提供されています。
医療機関で相談する
セルフチェックや記録だけでは判断が難しい場合や、頭痛がひどく日常生活に支障をきたしている場合は、専門医に相談することをおすすめします。
- 何科を受診するか:
- 基本的には「脳神経内科」や「頭痛外来」が専門です。
- めまいや耳鳴りを伴う場合は「耳鼻咽喉科」も選択肢になります。
- 医師への伝え方: 記録した頭痛ダイアリーや、気圧と頭痛の関係性について感じていることを具体的に伝えます。この情報は、医師は診断の参考になることがあります。
まとめ
雨が降るなどの気圧の変化が、頭痛を起こす要因であるメカニズムは理解できました。しかし、同じ状況下でも頭痛が起きる人と起きない人もいます。そのあたりが難しいところだと思います。軽い頭痛であれば、セルフチェックで確認する方法もあります。これらの方法を組み合わせて、自分の頭痛が気圧と関連しているかどうかを確認することができます。傾向が分かれば、事前の対策や心構えができるようになり、頭痛による不調を軽減できる可能性もあります。
しかし、自己判断で「気圧のせいだ」と決めつけるのも危ないと思います。やはり、もし他に気になる症状がある場合や、頭痛が普段と違う、悪化していると感じる場合は、医療機関を受診し他方が良いと思います。それは、脳疾患など、他の重篤な病気が原因である可能性もゼロではないからです。
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