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なぜ「やろうと思ったこと」をすぐ忘れてしまう?

認知科学
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 私にはあるあるなのですが、冷蔵庫の前まで行き冷蔵庫を開けたのに「何を取りにきたんだっけ?」となってしまいます。また、ある時は、何かを検索しようとしてPCを立ち上げて、PCが立ち上がり検索画面を目の前にして、何を検索するか忘れてしまいます。また、別の時は、後でメールの返信しようと思っていて別のことをしているうちに、メールの返信のこと自体を忘れてしまう。他にも、スマホを手に取って、別のことをしているうちにスマホを持ったまま何をしようとしていたのかを忘れてしまう。そして、部屋を移動したのに何を取りに来たのか思い出せなかったりいています。こんな事が多々ありました。あまりにもありすぎたのでこの件についてはこういうものだと諦めていました。

 ちょっと調べてみると、実はこれは誰にでも起こる“脳の仕組みによる現象”ということみたいです。今回は、この情報を共有するために「やろうと思ったことを忘れてしまう理由」と、その背景にある脳の働きや心理について掘り下げてみます。

忘れてしまう原因

ワーキングメモリの容量は少ない

 人間の脳には、「ワーキングメモリ(作業記憶)」と呼ばれる機能があります。これは、一時的に情報を頭の中にとどめておくための、いわば脳内メモ帳のようなものです。しかし、このメモ帳、意外にも容量が小さく、4~5項目程度しか同時に記憶できないとされています。以前は「7±2」などとも言われていました。つまり、

  • メールの返信のこと
  • 昼ごはんのメニュー
  • 通知の確認
  • 今日やろうと思ってたタスク

 などなど、いろいろなことが頭をよぎると、どれかがあふれて忘れられてしまうんです。残念ながら、忘れたことは「やる気がないから」ではないようです。つまり、「脳の構造上の問題」である可能性が高いようです。

注意が「目的」から逸れる

 スマホでメールを返信しようと思ってアプリを開いた。しかし、ついSNSやニュースに気を取られてしまった経験がある方が多いと思います。これは、注意(アテンション)が別の刺激に奪われたことが原因です。人間の脳は、基本的にひとつのことにしか集中できません。そして、目や耳から入ってくる情報に自動的に反応してしまう性質があります。そのため、通知音や光、画面の変化などに意識が向いてしまい、本来の目的を忘れてしまうのです。

記憶の「タグ付け」が弱い

 「やろうと思っていたのに、思い出せない」そんな時があります。この時、実は脳に情報は一度記憶されたけれど、取り出すための“ラベル”が付いていなかった可能性があります。 たとえば、「午後に○○をしよう」と思っていたとします。しかし、

  • どこで
  • どういう流れで
  • どんなきっかけで

 ・・・といった情報が結びついていないと、「引き出し方がわからない記憶」として埋もれてしまいます。これが「なんか忘れてる気がするんだけど、思い出せない…」という状態です。

対策

 「やるべきことを忘れない」ためには、ちょっとした工夫が効果的です。

メモを取る(アナログでもアプリでもOK)

 頭の中にためておかずに、外に出す習慣をつけます。そうすると、脳が解放されて集中しやすくなります。

具体的にイメージする

 「あとでやる」ではなく、「〇〇のあとに△△をする」と、時間・場所・行動をセットで考えます。このようにすることで、記憶に定着しやすくなります。

注意の分散を防ぐ環境づくり

 通知オフ、机の上を整理、作業用BGMなど、「注意が逸れにくい状態」を作ることも有効です。

まとめ

忘れるのは、自分のせいじゃない

 やろうと思っていたことを忘れてしまうと、「私ってダメだな」と感じることもありました。しかし、それは意志が弱いからでも、性格のせいでもないようです。つまり、脳の記憶や注意の仕組み、そして現代の情報過多な環境によるものと考えられます。忘れやすいのは、誰にでもある自然なことという、諦めていた感覚を正当化してもらった気分です。だからこそ、「自分の脳はこういう傾向があるんだな」と知って、うまく付き合っていくことが大切なようです。

未来の「自分のため」に、今できる工夫を

 私が言うのもおこがましいのですが、人間の記憶は完璧ではありません。しかし、ちょっとした工夫で「やろうとしてたことを忘れる」リスクを減らすことはできます。それは、思い出す工夫、忘れない環境づくりです。それは、未来の“忘れちゃうかもしれない自分”への、ちょっとした優しさと捉える事もできそうですが、すでに諦めてしまった私には・・・・。

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