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なぜ「あとでやろう」は忘れられるのか?

心理
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 「あ、あれやっておかなきゃ。……まあ、あとでいいか」ということはよくあります。そして、そう思った数時間後、何をしようとしていたのかさえ思い出せないことがあります。例えば、「お風呂上がりにメールしよう」「あとでこの書類を出そう」などです。そして、そのまま数日が過ぎてしまった経験こともありそうです。

 私たちは毎日、驚くほど多くの「あとでやろう」をゴミ箱に捨ててしまっています。実は、人間の脳にとって「未来の予定を覚えておくこと」は、想像以上に苦手な作業のようです。そして、なぜ脳は、大事なことほど後回しにして忘れてしまうのかという疑問が生まれます。しかし、れるのは性格の問題ではなく、脳のスペック(仕様)の問題のようです。今回、そのメカニズムを脳科学と心理学の視点から調べることにしました。また、仕組みを知ることで、自分を責めるエネルギーを「忘れない工夫」に回せるようにすること。そして、「ド忘れ」と「先延ばし」を劇的に減らすための対策を立てたいと考えました。

 このブログでは、後に回しにして忘れてしまうことについて、後回しにして忘れてしまう要因なぜ忘れるのか?「あとでやろう」の正体あとでやろうの脳での処理解決策について以下に説明します。

後回し「あとでやろう」にして忘れてしまう要因

  • 展望記憶(Prospective Memory)の限界:
     「未来に何かを実行することを覚えておく記憶」は、脳にとって非常に負荷が高いものです。新しい情報が入ると、真っ先に押し出されてしまいます。
  • ツァイガルニク効果:
     人は「完了したこと」よりも「未完了のこと」を覚えている性質があります。しかし、あとでと決めた瞬間に脳が一旦このタスクは処理待ちと誤認することがあります。つまり、一旦忘れてOKと判断してしまいます。
     なお、ツァイガルニク効果は、人は達成できた事柄よりも、途中で中断されたり未達成のままだったりする事柄を、強く記憶に留める心理現象です。つまり、中途半端な状態を解消したいという欲求が緊張感を生み、記憶を強化します。
  • 感情的回避:
     脳はそのタスクが「面倒」「不安」と感じます。そして、生存本能としてその不快な記憶を遠ざけよう(忘れさせよう)とします。

なぜ忘れるのか?(脳のメモリ不足)

  • 展望記憶の脆弱性:
     未来の予定を覚えておく記憶を「展望記憶」と言います。また、これは脳の付箋のようなもので、風が吹けばすぐに飛んでしまうほど弱いことです。
  • ワーキングメモリの争奪戦:
     脳の同時処理能力(作業机の広さ)には限界があります。つまり、「あとでやろう」と机の端に置いた付箋があります。しかし、その付箋は、新しい情報が入った瞬間に、机の下に落ちてしまいます。なお、新しい情報の例は、SNSの通知、誰かからの話しかけなどです。
  • 脳の「完了」誤認:
     「あとでやろう」と決断した行動があるとします。しかし、この行動で脳が「このタスクは処理した」と勘違いしてリラックスしてしまいます。

「あとで」の正体(感情が記憶をブロックする)

 単なる記憶ミスではなく、心がわざと忘れさせているという少し意外な視点が存在します。

  • 感情的回避:
     そのタスクに「苦手意識」「面倒くささ」「失敗への不安」がります。すると、脳はストレスを避けるために、その記憶へのアクセスを遮断します。
  • 「やりたくない」のサイン:
     忘れるという行動があります。そして、この行動は、実は本心が「今はやりたくない」と強く拒絶しているサインかもしれません。

あとでやろうの脳での処理

 ワーキングメモリ(前頭前野):脳の「作業机」の限界

 「あとでやろう」を忘れる最大の理由は、脳のワーキングメモリ(作業記憶)の容量不足です。そこで、この例について説明します。

  • 脳の仕組み: ワーキングメモリは、情報を一時的に保持して処理するものです。つまり、処理するための「机」のような場所です。
  • なぜ忘れるのか:
     この机は非常に狭く、一度に広げられる情報は3〜5個程度と言われています。そのため、新しいタスクが生じた瞬間、古い「あとでやる」情報が消えてしまいます。つまり、新しいタスクが机に乗って、古い情報が机から床へ押し出され消えてしまいます。なお、新しいタスクには、スマホの通知を見る、誰かに話しかけられるなどがあります。

展望記憶(前頭葉と海馬):脳の「未来の付箋」

 未来の特定のタイミングで何かを実行することを覚えている機能を展望記憶と呼びます。

  • 脳の仕組み: 海馬: 「何をやるか」の内容を保管します。
    • 前頭葉: 「いつやるか」のタイミングを監視します。
  • なぜ忘れるのか:
     展望記憶は、脳にとって非常に燃費が悪い(エネルギーを消耗する)機能です。そして、脳はエネルギーを節約しようとする性質があります。そのため、重要度が低いと判断した「付箋」は、無意識のうちに粘着力が弱まります。そして、その結果、剥がれ落ちてしまいます。

辺縁系 vs 前頭前野:脳内の「本能」と「理性」の葛藤

 「あとで」と言ってしまうのは、脳内での主導権争いの結果です。

  • 脳の仕組み: 扁桃体・辺縁系(本能): 「今、楽をしたい!」「面倒なことは嫌だ!」という感情を司ります。
    • 前頭前野(理性): 「将来のために、今やるべきだ」と計画を立てます。
  • なぜ忘れるのか:
     面倒なタスクに直面したとき、本能(辺縁系)が「不快だ!」とアラートを出します。すると、理性(前頭前野)が負けてしまいます。そして、「今はやらない理由」を捏造してタスクを記憶の奥底へ隠蔽してしまいます。つまり、これが「感情的先延ばし」の正体になります。

ドーパミン:脳の「ご褒美」の欠如

  • 脳の仕組み: 脳は達成感を得るとドーパミンという快楽物質を出します。
  • なぜ忘れるのか:
     「あとでやる」状態は、脳には「未完了」のまま放置されているストレス状態です。しかし、先のことだと、脳は得られるご褒美(ドーパミン)をイメージできません。その結果、報酬が期待できない情報は、脳にとって「価値が低い」とみなされます。そして、記憶の優先順位が最下位に落とされます。

解決策:明日から「あとで」をなくす脳ハック

  • 2分ルール
     「2分以内に終わることは、今すぐやる」。つまり、簡単なことは後回しにせずすぐやるようにします。そして、脳に「覚えておく」という無駄なエネルギーを使わせない最強の習慣です。
  • If-Thenプランニング(もし〜なら):
     「歯を磨いたら、薬を飲む」のようなルーティンと結びつけます。そして、既存のルーティンに新しい行動を紐付けるよういします。つまり、脳は「きっかけ」があると、驚くほど思い出しやすくなります。
  • 外部記憶へのアウトソーシング:
     「脳は考えるための場所であり、覚えておく場所ではない」という考え方にします。そして、リマインダーや付箋、カレンダーなどへ即座に書き出すことを習慣化させます。

内容の整理とまとめ

内容の整理

 ここまでこのブログでは、後に回しにして忘れてしまうことについて、後回しにして忘れてしまう要因、なぜ忘れるのか?、「あとで」の正体、あとでやろうの脳での処理、解決策について以下に説明します。

 まず、後回しにして忘れてしまう要因について、展望記憶の限界ツァイガルニク効果感情的回避を説明しました。次に、なぜ忘れるのか?について、展望記憶の脆弱性ワーキングメモリの争奪戦脳の「完了」誤認を説明しました、。そして、「あとで」の正体について、感情的回避「やりたくない」のサインを説明しました。加えて、あとでやろうの脳での処理について、ワーキングメモリ展望記憶辺縁系 vs 前頭前野ドーパミンを説明しました。最後に、解決策について、2分ルールIf-Thenプランニング外部記憶へのアウトソーシングを説明しました。

まとめ

 まず、「忘れる」のは脳の正常な機能です。それは、 脳が重要なことに集中するために不要な情報を捨てるとの捉え直しが重要な気がします。そのため、 自分の意志力を信じるのではなく、「仕組み(ハック)」を信じ試すから始まります。そして、『あとで』がなくなると、頭の中がスッキリし、毎日の幸福度が上がるような気がします。

 

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