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第一印象の“なじみやすさ効果”とは?

心理
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 人と出会ったとき、初めて会った相手なのに「前から知っていたような気がする」と感じたことはありませんか? それは、声のトーンや話すテンポ、あるいは雰囲気が、友人や家族に似ていて、思わず安心してしまう——そんな経験は多くの人が持っています。

 しかし、これは偶然ではなく、私たちの脳に備わった「なじみやすさ効果」によるものです。そして、初対面の印象に大きな影響を与えるこの効果を理解すると、人間関係づくりがぐっとスムーズになります。今回、「なじみやすさ効果」について、現象、仕組み、具体例、実用例などを説明します。

“なじみやすさ効果”とは?

 心理学で 「単純接触効果(mere exposure effect)」 と呼ばれる現象に基づいています。なお、ブログ「なぜ“似ている人”に好意を抱きやすいのか?」で単純接触効果について簡単に説明しています。

  • ある対象を 繰り返し見聞きするほど 好意や親近感が高まる効果。
  • たとえ意識していなくても、見慣れたものには「安心感」を抱きやすい。

 つまり、「初対面のはずなのに安心感がある」のは、脳が「以前見たことがある気がする」と錯覚し、好意的に評価するからです。

脳の仕組み:処理流暢性(processing fluency)

 過去のブログ「なぜ人は「思い込み」に支配されるのか?」などで脳の処理について触れてきました。そして、脳では効率的な情報処理がおこなわれていることを説明しました。また、ここでも同じようなことが言え、以下に脳が効率的に処理している例を示します。

  • 人間の脳は「処理しやすい情報」を好みます。
  • 顔立ちや声、しぐさがどこか既知の人と似ていると、脳は理解・処理しやすいと感じてポジティブな感情を引き起こす。
  • その「スムーズさ」が “なじみやすさ” につながります。

第一印象における具体的な働き

顔の親近性

  • 顔のパーツの配置が「見慣れた平均顔」に近い顔がします。すると、初対面でも「安心感・好感」を持ちやすい。
  • そして、実際に「平均的な顔は魅力的に見える」という研究もあります。

言葉・声・仕草

  • 話すテンポや声のトーンが身近な人に似ている人がいます。そして、その人に対し「気が合う気がする」と錯覚しやすいです。
  • また、仕草や表情も“なじみやすさ”を高めます。

環境要因

  • 同じ学校・同じ地域・同じコミュニティにいた人と似た雰囲気を持つ人がいます。すると、その人には「懐かしさ」を感じやすいです。

なじみやすさ効果を高める3つのコツ

相手の言葉を少し“まねる”

 会話の中で相手が使った言葉や表現をさりげなく取り入れます。すると、相手に「自分と似ている」と感じてもらいやすくなります。また、これは「ミラーリング効果」とも呼ばれ、親近感を自然に生み出すテクニックです。

笑顔と柔らかい声を意識する

 笑顔や落ち着いた声のトーンは、相手の警戒心を和らげ「安心できる人」という印象を与えます。そして、特に第一声は大切で、柔らかい声色は「初めてなのに懐かしい」と感じさせやすいポイントです。

共通点を見つける・伝える

 出身地や趣味、好きな食べ物など小さな共通点についても、なじみやすさがあります。つまり、出身地や趣味について「あ、同じだ」と思う瞬間に距離が縮まります。このように、人は「似ている相手」に対してなじみやすさを強く感じるため、共通点は積極的に会話に取り入れましょう。

 ビジネスや恋愛での実用例

  • 営業や面接:服装・話し方を相手の文化や雰囲気に少し合わせます。すると、「なじみやすさ」が増し、信頼を得やすくなります。
  • 恋愛や交友:共通の趣味・出身地・知人の話題を使います。それにより、初対面でも親近感を抱かれやすい。
  • プレゼンや発表:スライドのデザインや言葉を「相手が普段から見慣れている形式」に寄せると理解がスムーズになり、好印象につながる。

注意点:なじみやすさ=好感とは限らない

  • あまりに似すぎていると「ありふれている」「個性がない」と評価される場合もあります。
  • 過去に嫌な経験をした対象と似ていると「なじみやすさ」ではなく「警戒感」を生むこともあります。

まとめ

 第一印象の“なじみやすさ効果”について説明しました。まず、なじみやすさ効果=単純接触効果によって、初対面でも安心感や親近感が生まれることを説明しました。そして、脳は「処理しやすい情報」を好むため、既知のものに似ている相手をポジティブに感じやすい。別の視点で、第一印象で「なじみやすさ」を演出することは、ビジネス・人間関係の両方で有効であることにも触れました。
 自然に親しみを持ってもらうためには、言葉のちょっとした工夫や態度がカギになります。「第一印象はなぜ3秒で決まるのか?」のブログでも示したように、人間関係は「最初の3秒」が大事です。そして、この時、なじみやすさ効果を上手に使えば、初対面の場面でもスムーズに関係を築くことができると考えられます。

 

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