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子供のころ遠く感じていた場所が近くに感じる

心理
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 子供の頃、冒険のような感覚で歩いて行った駄菓子屋が、今はすぐそこに・・・。また、自転車に乗れるようになって、隣町の公園大きな図書館へ行くのはドキドキものでした。そして、あの日、自転車を漕いでも漕いでも着かなかったような感覚がありました。しかし、今、同じ道を辿ってみると、ものの数分で着いてしまう現実に驚かされます。

 私の世界はいつからこんなに縮んでしまったのだろう。ふと地元を散歩しているとき、そんな風に拍子抜けした経験はないでしょうか?また、物理的な距離は1メートルも変わっていないはずなのにと思います。そして、どうして心の中の「物差し」は、こんなにも変化してしまったのでしょうか。この点について調べることにしました。なお、前回のブログ「久しぶりの小学校が驚くほど狭い。記憶と現実がズレる」で近い内容を書いています。興味のある方は参照してください。

 このブログでは、なぜ子供の頃の感じていた距離と大人の距離感が違うのかについて調べました。そして、どのような要因があるのか?、そこには、脳内の地図、時間感覚、身体の成長、移動手段の変化などについて説明しています。

どのような要因が関与している?

  • 1. 空間認知の発達
     子どもは地図的な理解が未発達で、世界が「広大」に感じられます。しかし、大人になると空間の把握が上手くなり、距離感が現実的になります。
  • 2. 時間感覚の違い
     子どもにとって1時間は人生の大きな割合を占めますが、大人にとってはごく一部の感覚です。そのため、同じ移動時間でも 子どもは長く感じ、大人は短く感じる 傾向があります。
  • 3. 身体のスケールが変わる
     子どものころは身長も歩幅も小さく、移動にかかる時間が長く感じられます。そして、同じ距離でも、大人になれば歩幅が大きくなり、体力もつくため「短く」感じるようになります。
  • 4. 移動手段の変化
     子どものころは徒歩や自転車が中心です。しかし、大人になると車や電車を使うため、物理的にも心理的にも距離が縮まります。
  • 5. 経験による“慣れ”
     何度も行く場所は、脳が「近い場所」として扱うようになります。そして、これは初めて行く場所は遠く感じるのと同じ原理です。

理由1:脳内の「地図」が完成したから(予測の力)

 子供にとって知らない道は「未知との遭遇」の連続です。また、どこで曲がるか、この先に何があるか分からない不安が、脳の活動を活発にします。そして、その結果、体感時間を引き延ばします。一方、大人はルートを予測できます。そのため、脳が「省エネモード」に入り、移動を短く感じさせます。つまり、子供にとってどこまで続くかわからない不安が、距離を長く感じさせています。

  • ゴールが見えない恐怖: 子供の頃は、その道の先に何があるか、あとどれくらい歩けばいいのかを知りません。つまり、目的地までのルートが脳内に入っていないため、心理的に遠く感じられます。
  • 脳内マップの完成: 大人は「あそこの角を曲がればコンビニがあって、その先が目的地だ」と予測できます。つまり、脳は予測できるものに対しては注意力を下げます。そして、移動のプロセスを「短縮」して処理してしまいます。

理由2:時間密度の変化「ジャネの法則」

 人生の長さを分母としたとき、子供の1日は非常に長く、重みがあります。つまり、その「時間の長さ」がそのまま「距離の長さ」として記憶されています。このような心理学的側面が影響します。そして、この要因で最も有名なのが、19世紀の哲学者ポール・ジャネが提唱したジャネの法則です。

  • 時間の相対性: 5歳の子供にとっての1年は、人生の20%を占めます。しかし、50歳の大人にとっての1年は人生のわずか2%です。
  • 体感速度: 子供は「初めて」の経験が多く、脳が処理する情報量が多くなります。そして、そのために時間が長く(=移動距離も長く)感じられます。しかし、大人は移動に慣れてしまい、脳が情報を省略します。そのため、あっという間に着いたように感じます。
  • 注:ジャネの法則
     「主観的に記憶される時間の長さは、年齢が若いほど長く、年長になるほど短く感じられる」という心理現象です。そして、生涯のある時期に感じる時間の長さが年齢に反比例するというものです。これによれば、人生における1年の比率が年齢とともに小さくなります。そして、子供の頃は1年が長く感じられても、大人になるとあっという間に過ぎ去るように感じるのはこのためと説明されています。

理由3:身体能力の向上と「移動コスト」

 自分の足が短かった頃の1kmと、今の1kmでは、消費するエネルギーが全く違います。また、「疲れ」が距離のフィルターになっているという物理的な視点です。つまり、身体的なスペックの向上が、距離のハードルを下げています。

  • 歩幅と筋力: 子供にとっての1kmは、小さな足で何度も地面を蹴る重労働です。しかし、大人にとっては、散歩程度の軽い運動に過ぎません。つまり、「疲れる=遠い」という身体的なリンクが、成長によって「余裕=近い」へと書き換えられます。
  • 乗り物の利用: 自転車や車、公共交通機関を使いこなすことができるようになります。そして、かつての「大冒険」だった隣町までの道のりが、単なる「通過点」に変わります。

視覚情報の変化(ランドマークの見え方)

 目線の高さが上がったことで、遠くが見通せるようになります。

  • 見通しの良さ: 背が低い子供は、塀や生垣に視界を遮られます。そのため、今自分がどこにいるのか把握しづらい状況にあります。しかし、大人は視点が高いため、遠くの看板や高い建物(ランドマーク)を常に確認できます。そのため、「目的地が見えている」状態で歩けるため、近く感じます。

内容の整理とまとめ

内容の整理

 ここまでこのブログでは、なぜ子供と大人の距離感が違うのかについて、どのような要因があるのか?、そして、その理由について説明しました。まず、要因について、空間認知の発達時間感覚の違い身体のスケールが変わる移動手段の変化経験による“慣れ”を説明しました。次に、その理由について、脳内の「地図」が完成したから(予測の力)時間密度の変化「ジャネの法則」身体能力の向上と「移動コスト」について説明しました。

まとめ

 前回のブログ「久しぶりの小学校が驚くほど狭い。記憶と現実がズレる」とかなり近い要素が関係しているような気がしました。そして、身体のスケール感の変化時間感覚の変化の影響が大きいような気がします。つまり、隣町の公園大きな図書館に行くのには、かなりの冒険感があり、それなりの移動時間がかかっていました。そして、自転車などでの帰宅時またこの長い距離を変えるのかという感覚がありました。しかし、大人になっての移動時間は相当短くなり、帰宅時にも軽い気持ちで帰ることができます。このように、自転車や徒歩などで目的地に着いた後、帰宅するのが辛い、遠いと感じる距離に対する感覚も変わっているような気がします。

 そして、このような身体のスケール感の変化や時間感覚の変化が主要な要因のような気はします。しかし、その他の要因も関係しているように思えます。それは、ここでは箇条書きに要因、理由を書きましたが、それぞれが相互に関係しているような気がします。そして、世界が近く感じるようになったのは、それだけ多くの経験を積み、自力でどこへでも行けるようになった成長とも考えることができます。

 

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