誰かのつらい話を聞いたとき、「かわいそう」と感じることがあります。そして、「自分まで胸が痛くなる」こともあります。このような人の気持ちに寄り添うことは、やさしさの表れです。しかし、このとき、“同情”しているのか、“共感”しているのか、どちらなのでしょうか?「共感」と「同情」は同じように見えてしまいます。しかし、共感と同情は、どちらも相手を思う優しい心から生まれる感情です。しかし、その本質はまったく異なります。似ているようで、実はまったく違うこの2つの感情の違いについて調べました。この違いは、「かわいそう」と「わかるよ」にもあるような気がします。
このブログでは、「共感」、「同情」のそれぞれの意味、そして、その影響、これらの2つの違いについて調べましたので、以下に説明します。
「共感」と「同情」
共感(Empathy)とは?
相手の感情や経験をあたかも自分自身のもののように感じ、理解しようとすることが共感です。「共感」は、相手の気持ちを想像し、自分の中にもその感情を感じ取ることです。たとえば友人がつらい話をして涙をこぼしたとき、自分まで胸が締めつけられるような気持ちになる。これが共感です。また、誰かが悲しんでいる姿を見たとき、その人の感情を理解しようとする側の脳でも、同じような領域(共感ネットワーク)が活動することがわかっています。つまり、共感は相手の感情を自分の中で“再現”するような働きをしています。そして、共感は「同じ立場で感じる」ことで、心の距離をぐっと近づけることになります。
1-1. 心理的な立ち位置
- 「私」と「あなた」の境界線が保たれている:共感している状態は、相手の感情(悲しみ、苦しみなど)を理解してはいます。しかし、自分自身がその感情に飲み込まれない状態です。相手の隣に座り、「大変だね」と声をかけているような状態です。
- 例: 友人が失恋したとき、「彼女が今どれほど辛いか、胸が張り裂けそうになる気持ちがわかるよ」と感じることです。
1-2. 目的と効果
- 目的: 相手の視点に立って、その経験を理解することです。
- 効果: 相手に「私は一人じゃない」「理解されている」という安心感を与えます。問題解決ではなく、感情の受容がゴールになります。
“共感疲れ”が起きるのは、感情を共有しているから
共感が深いほど、相手の苦しみが自分のことのように感じられます。それが行きすぎると、心理的に疲れてしまうこともあります。これを「共感疲労(エンパス疲れ)」と呼びます。そのため、共感には“ほどよい距離感”が大切になります。つまり、相手の気持ちに寄り添いながらも、自分まで沈み込まないことが必要です。共感とは、相手の感情を理解しながらも、自分を保てるバランスの上に成り立つ力です。
共感がもたらす安心感
人は、自分の気持ちを「わかってもらえた」と感じるとき、強い安心感を得ます。そのとき脳では、「信頼ホルモン」と呼ばれるオキシトシンが分泌されます。そして、その効果でストレスが軽減されることもわかっています。つまり、共感とは“癒し”でもあります。気持ちをわかろうとしている姿勢が、相手の心を穏やかにし、信頼関係を育てていきます。
同情(Sympathy)とは?
相手の不幸や困難に対して「かわいそう」「気の毒だ」と感じることが同情です。「同情」は、相手の苦しみや悲しみを見て、「かわいそう」「気の毒だ」と感じる心の動きです。これは決して悪いことではなく、相手を思いやる自然な感情です。ただし、同情はどこかに「相手と自分は違う立場にいる」という意識を含んでいます。たとえば、雨が降って困っているを「気の毒だな」と感じるのは、その人を“外から見て”いる状態になります。また、心理学的には、同情は相手の感情を理解しています。しかし、自分の感情とは切り離している状態です。つまり、相手を思いやりながらも、少し距離のある感情の状態あります。
2-1. 心理的な立ち位置
- 「私」は安全な場所にいる:同情は、相手の苦しみに対し、安全な場所から見下ろしているような感覚を伴いがちです。「可哀想な人」というラベルを貼ってしまうこともあります。
- 例: 友人が失恋したとき、「可哀想に。そんなに辛いなら早く忘れた方がいいよ」と感じることです。
2-2. 目的と効果
- 目的: 相手の苦境に対して慰めや哀れみの感情を抱くことです。
- 効果: 慰めにはなるかもしれません。しかし、話し手からすると「私は弱い存在だと思われている」「上から目線だ」と感じられます。その結果、孤立感を深めてしまうこともあります。
決定的な違いと実践例
共感と同情の違いは、視点と発言に最も明確に現れます。同情は「大丈夫?」と相手を気づかう気持ちを生み、共感は「わかるよ」と心を寄せるつながりを生みます。つまり、同情は思いやりの始まり、共感は心の橋をかける行為といえます。同情は、苦しむ相手を慰めるような「やさしさ」です。これに対し、共感は、相手と心を共有するような「ぬくもり」をもたらします。
共感と同情の比較1
| 比較項目 | 同情 | 共感 |
| 感じ方 | 相手を思いやる | 相手の気持ちを感じ取る |
| 立場 | 観察者の視点 | 当事者に寄り添う視点 |
| 心の距離 | 少し離れている | 近い・共有している |
| もたらす効果 | 慰め・保護 | 理解・つながり |
| 注意点 | 上から目線になりやすい | 感情に引きずられやすい |
共感と同情の比較2
| 要素 | 共感 | 同情 |
| 視点 | 相手の立場に立つ | 自分の立場から見る |
| 境界線 | 保たれている(相手の感情に飲み込まれない) | 曖昧、または高い壁がある(自分とは違うと線を引く) |
| 発言の例 | 「それは辛かったね。私にも似た経験があって、あの時の気持ちはよくわかるよ」 | 「可哀想に。でも、私ならもっと頑張れるのに」 |
| 相手の反応 | 「ありがとう、話を聞いてくれて安心した」 | 「わかってないな」「なんかムカつく」 |
まとめ
ここまで「共感」、「同情」のそれぞれの意味、そして、その影響、これらの2つの違いについて説明しました。そして、相手の感情や経験をあたかも自分自身のもののように感じ、理解しようとすることが共感でした。また、相手の不幸や困難に対して「かわいそう」「気の毒だ」と感じることが同情でした。そして、相手を思いやる心でしたが、同情は上から目線でした。そして、共感と同情は、相手に対する関心という点では共通していますが、相手の心に寄り添う深さと立ち位置が決定的に異なりました。
そして 相手に安心感を与えるコミュニケーションの秘訣は、「アドバイスよりも、まず共感」でした。そのため、相手の感情をただ理解し、受け入れることから始めた方がよさそうです。そして、人を本当に支えるのは、相手の心をそっと感じ取る「共感」のような気がします。そして、真の繋がりは「共感」から生まれると感じました。


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