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左右を間違えないための工夫とトレーニング

心理
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 「左右をよく間違える」という現象は、単なる勘違いで片づけられがちです。そして、前回のブログ「左右をよく間違えるのはなぜ?」というテーマで、緊張したときなどに左右がどっちかわからなくなり、間違ってしまう要因について説明しました。しかし、どうしたら少なくなるかなどについてはわずかしか触れていませんでした。

 そこで、左右を間違えないようにするための対策について今回説明します。実は、左右の判断は脳の情報処理に深く関係しています。ここでは、日常生活や仕事・学習の場面で役立つ「応用編」として、左右の判断がどおのようにされているか、そして、「具体的な工夫やトレーニング法」について説明します。

左右の判断について

 脳での左右の判断

 左右を間違える背景には、脳の働きが深く関わっています。

  • 脳の半球の役割
    • 右脳 → 空間認知やイメージ処理が得意
    • 左脳 → 言語や論理的処理を担当
      左右の識別にはこの両方の連携が必要で、わずかな混乱で間違えが生じやすい。
  • 利き手と脳の関係
    利き手が右か左かで、左右の判断のスピードや正確さに違いが出る研究もあります。
  • 錯覚との関連
    鏡の前で左右が逆に見える現象も、脳の空間処理のクセから起こるもので、左右感覚の混乱と通じる部分があります。

 左脳で言葉の「右」を受取ります。そして、右脳で手を挙げるや歩くなどの行動に移します。そのために、両方の連携がうまくできない場合は間違う可能性があります。また、右手を動かすのは左脳、左手を動かすのは右脳の働きによるものなので、利き手の違いによる影響の可能性もあります。そして、鏡の前に立つと左右が逆に映ります。鏡の前に立つ時間が多かったり、鏡を見ながらの作業が多い場合には影響を受ける可能性があります。

運転やスポーツでの左右判断

 日常の「左右ミス」だけでなく、運転やスポーツなど即時性が求められる場面でも大切です。

  • 運転
    ナビの「次の交差点を右です」を左に行ってしまうケース。
    → 対策は「ランドマーク(建物や看板)」を一緒に確認すること。
  • スポーツ
    サッカーや野球など、瞬時に左右を判断する能力が勝敗を分ける。
    → トレーニングとして「反応ゲーム」や「左右を言いながら体を動かす練習」が有効。

 車の運転は、即時性が求められます。そのため、カーナビを使用している場合には、左に曲がる、右に曲がるなどが大切な判断をしなければなりません。また、スポーツなどでも飛んでくる球が左右より詳細にどういう軌道でどの位置に届くなどを瞬時に判断するなどの場合は重要な判断になります。

工夫とトレーニング

左右感覚を「視覚」と結びつける

 脳は、抽象的な言葉(左・右)よりも「イメージ」のほうが素早く処理できます。そこで、イメージを利用します。

  • 手に印をつける:左手の甲に小さなシールやリングをつける。
  • 色で区別:左は青、右は赤、など自分でルールを決める。
  • 空間のクセを利用:部屋のレイアウトを左右の目印にする。

 ポイントは「言葉で考える前に、視覚的な手がかりを得る」ことです。

「動作」と組み合わせて覚える

 見ているだけより、体を使ったほうが記憶に残りやすくなります。そのため、体を動かすという点を利用します。

  • 手を挙げる練習:「右」と言われたら右手を素早く上げる。
  • 左右ジャンプ:言葉に合わせて実際に右へ左へ動く。
  • 音声と動作をリンク:「L(Left)」は舌を使う発音 → 左の手で舌を触る習慣をつける。

 言葉から動作のリンクを強めるために体を動かします。そうすることで、瞬時の判断がラクになります。

日常生活でのトレーニング

 無理なく続けられる方法があります。つまり、それは、生活の中に取り入れるという方法です。

  • 料理や作業で活用:「包丁は右、材料は左に置く」などルール化。
  • 道案内をする時に意識する:「コンビニを右に曲がって〜」と声に出して確認。
  • 鏡を使った練習:鏡の前で「これは左手」と意識して動かす。

その他

左右間違いを減らすための心理的コツ

  • 焦らない:急いでいる時に間違いが増えるので、ワンテンポ置いて判断する。
  • 「自分は間違えるかも」と認める:そうすることで、確認の習慣が自然につく。
  • 相手に確認する:道案内や指示を出すときは「こっちの右で合ってる?」とダブルチェック。

応用:子どもや高齢者へのサポート

 左右の混乱は、子どもや高齢者に特によく見られます。そして、このような場合にはサポートをする必要があります。そこで、次にサポートの工夫例を示します。

  • 子どもには 左右を色やキャラクターで覚えさせる
  • 高齢者には 物の配置を固定してルール化する
  • ゲーム感覚で 「右手はグー、左手はパー」 といった遊びを取り入れる。

まとめ

 このように、左右の間違いは「注意力がない」せいではなく、脳の処理の特性によるものが多いと考えられます。そのため、以下の3つを意識することで左右の間違いを減らすことができる可能性があります。

  • 視覚的な手がかり
  • 動作や音とのリンク
  • 習慣化によるトレーニング

 ここで示してきたように、左脳で言葉を処理して、右脳で空間認知をして行動に移します。また、右手を左脳、左手を右脳が動かします。また、鏡で見ると左右逆転し、鏡を見ての動作経験は個人で異なります。つまり、左右の判断は、その人個人の脳内の処理能力に依存します。そのためトレーニングをすることで改善する可能性があると考えられます。しかし、脳の処理能力の関係で改善が見られない可能性もあります。これも個性として見たほうが良いかもしれない一面があります。

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