PR

「確証バイアス 」― 自分の考えに都合のいい情報ばかり集める心理

心理
スポンサーリンク

 好きな芸能人の良いニュースばかりが目に入りる。また、新しい商品を買うとき、その商品のレビューサイトで良い評価ばかり探す。そして、悪い評価はスルーしてしまう。そして、自分が正しいと信じる意見を裏付ける情報ばかりをSNSで探す。このようなことはないでしょうか?

 このような自分に都合の良い情報ばかりを集めることを確証バイアスと言います。ここでは、確証バイアスのメカニズムと原因、具体例、対策、脳との関係について説明しています。

確証バイアス

 自分の考えや信念を裏付ける情報ばかりを無意識に集めます。そして、それに反する情報を無視したり軽視したりすることを確証バイアスと言います。これは人間が持つ認知バイアスの一種で、誰もが陥る可能性があります。つまり、確証バイアスとは、自分の考えが正しいと証明できる情報ばかりを集めてしまい、都合の悪い情報は無視してしまう心理傾向のことです。

メカニズムと原因

 確証バイアスが起こる主な原因は、自己の考えや信念を正当化したいという欲求です。つまり、自分の意見が正しいと再確認できると、脳の報酬系が活性化します。そして、心地よい感覚を得られます。そして、さらに都合の良い情報を探そうとします。これは、新しい情報を処理する認知的な負担を減らし、安定した思考を維持する役割も果たします。

日常生活における具体例

 私たちの身近なあらゆる場面で見られます。

  • SNSやニュース: 自分が支持する政党や意見に合う記事ばかりを読みます。そして、反対意見の情報を意図的に避けます。そして、検索エンジンのアルゴリズムも、ユーザーの興味に合う情報を優先的に表示します。さらに、この傾向を強めることがあります。
  • 人間関係: 「あの人は意地悪だ」と一度思い込むと、その人の親切な行動は無視します。そして、少しでも意地悪に見える行動ばかりが目に付くようになります。
  • 健康とダイエット: 糖質制限が効果的だと信じている人は、糖質制限で成功した人の体験談ばかりを読みます。そして、失敗した人の話や専門家の警告には耳を傾けません。つまり、「特定のダイエット法は効果がある」と信じている人は、その方法で成功した人の体験談ばかりを読みます。そして、失敗例や専門家の警告は軽視します。
  • ビジネス: 新規事業を提案する際、その成功を裏付けるデータばかりを集めます。そして、リスクや課題を示すデータを見過ごしてしまいます。
  • 仕事とキャリア: 新しい企画を提案した際、その企画の成功を後押しするデータばかりを集めます。そして、リスクや課題を示すデータは軽視してしまいます。

問題点と対策

 確証バイアスは、誤った判断や視野の狭窄、対立の助長など、様々な問題を引き起こす可能性があります。そして、このような問題を防ぐためには、意識的にこのバイアスに立ち向かうことが重要です。

  • 誤った意思決定: 十分な情報に基づかない判断を下し、失敗につながるリスクを高めます。
  • 間違った判断: 根拠のない情報に基づき、誤った決断をしてしまう。
  • 視野の狭窄: 多角的な視点を失い、新しいアイデアや学びの機会を逃します。
  • 人間関係の悪化: 異なる意見を持つ人との対話が難しくなり、分断を生み出す要因となります。
  • 対立の助長: 異なる意見を持つ人との対話が難しくなり、社会の分断が進む。

 抜け出すためのヒント

  • 「反証」を意識する: 自分の考えと真逆の情報や意見を、あえて積極的に探してみる。
  • 多様な情報源に触れる: ニュースは複数のメディアから、SNSでは異なる意見を持つ人をフォローしてみる。
  • 「これは仮説だ」と考える: 自分の考えを絶対的な真実ではなく、検証が必要な仮説として捉えることで、柔軟な思考を保つことができます。

脳機能と確証バイアス

 確証バイアスは、単なる心理的な現象ではありません。私たちの脳の情報処理システムと深く関わっています。そして、これは脳が効率と快適さを追求する結果生じると考えられています。

脳の報酬系と確証バイアス

確証バイアスの背後にある主なメカニズムの一つが、脳の報酬系です。つまり、自分の信念や意見に合致する情報を見つけると、脳の報酬系が活性化し、ドーパミンが放出されます。このドーパミンは私たちに快感や満足感を与えます。

  • 快感のループ: 「やっぱり自分の考えは正しかった!」という感覚は心地よいものです。そして、脳はさらにこの感覚を求めて、都合の良い情報を探し続けます。この「快感のループ」が、確証バイアスを強化する主要な要因となります。
  • 不協和の回避: 自分の考えと矛盾する情報に直面します。そして、脳は認知的不協和と呼ばれる不快な状態に陥ります。これにより、この不快感を避けるため、脳は無意識に矛盾する情報を無視したり、軽視したりする傾向があります。

脳の省エネ機能脳の省エネ機能

 確証バイアスは、脳が膨大な情報を効率的に処理するための省エネ機能の結果でもあります。つまり、脳は常にエネルギーを節約しようとします。

前頭前野と扁桃体の関与

 このプロセスには、脳の複数の領域が関与しています。

  • 前頭前野: 論理的思考や意思決定を司る部分で、新しい情報や矛盾する情報を処理する役割を果たします。しかし、確証バイアスが働くと、この領域の活動が低下し、感情的な反応や直感に頼った判断が優位になることがあります。
  • 扁桃体: 感情や恐怖の処理に関わる部分です。自分の信念が脅かされるような情報に直面すると、扁桃体が活性化し、恐怖や不快感を感じます。そして、その情報を避けようとする防御的な反応が引き起こされると考えられています。

 このように、確証バイアスは単なる「思い込み」ではなく、脳の報酬、感情、効率性を司る複雑なメカニズムによって支えられている、根深い認知の傾向です。

まとめ

 ここまで確証バイアスのメカニズムと原因、具体例、対策、脳との関係について説明しました。そして、自分の考えが正しいと証明できる情報ばかりを集めてしまい、都合の悪い情報無視してしまう心理傾向を確証デバイスということを説明しました。

 このため、『都合の悪い情報』を探してみるということも必要かもしれません。また、自分の周りで、確証バイアスが働いているなと感じる場面について考えてみることも良いかもしれません。そして、完璧にバイアスをなくすことは難しいけれど、意識するだけで世界の見え方が変わるかもしれません。

関係ブログ

コメント