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子どもの不思議な行動は“発達のサイン”?ピアジェの認知発達理論

心理
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 子どもはときに、大人からすると「どうしてそんなことを?」と思う行動をします。例えば、水の入ったコップを移し替えると「こっちの方が多い!」と言ったりします。これは、奇妙で不思議な行動ですが、心理学者ジャン・ピアジェの認知発達理論で説明できます。また、子どもの行動には、その発達段階特有の“認知の限界”があります。そして、それが心理学の面白さを感じられるポイントと言われています。その発達段階それぞれの特有の“認知の限界”があるからです。心理学者ジャン・ピアジェ(Jean Piaget)は、子どもの思考の発達を段階的に整理しました。そして、認知発達理論として体系化しました。今回は、この理論を通して子どもの行動の意味について調べました。

 このブログでは、ピアジェの認知発達理論は、子どもの思考や知性がどのように発達していくかについて、その理論がどのようなものか、認知発達の4段階、子育てへの応用例などについて説明しています。

ピアジェの認知発達理論の基本

 スイスの心理学者ジャン・ピアジェは、「子どもは単なる小さな大人ではなく、独自の思考の枠組みを持っている」と考えました。そして、彼の理論は子どもが世界を理解し知識を構成するプロセスを段階的に説明しています。

理論の核心:スキーマと適応

 ピアジェは、子どもが知識を獲得するメカニズムとして、以下の重要な概念を提唱しました。

  • スキーマ (Schema):
    • 外部の情報を理解するための「枠組み」や「認知のパターン」のことです。
    • 例:赤ちゃんが「哺乳瓶を吸う」という行動パターン。そして、幼児が「犬は四足で吠える動物」と認識する枠組みなどです。
  • 適応 (Adaptation):
    • 既存のスキーマと新しい情報との間でバランスをとろうとするプロセスです。
    • これには、以下の2つの主要なプロセスがあります。
      • 同化 (Assimilation): 新しい情報を、既存スキーマに当てはめ理解することです。
        • 例:猫を見て、「ワンワン(犬のスキーマ)」と呼びます。
      • 調節 (Accommodation): 既存スキーマでは新しい情報を処理できない時があります。その際、スキーマ自体を修正したり、新しいスキーマを作ったりすることです。
        • 例:「犬でない、ニャーニャーと鳴く動物」という新しいスキーマを作ります。そして、「ワンワン」のスキーマを修正します。

 ピアジェは、子どもがこの「同化」と「調節」を繰り返しをおこないます。そして、この繰り返しで、より複雑で正確な思考(認知)ができるようになると考えました。

認知発達の4つの段階

 ピアジェは、すべての子ども認知発達が同じ順序普遍的な4つの段階を経ると主張しました。また、前の段階の思考様式が次の段階の土台となります。

感覚運動期 (Sensorimotor Stage)

  • 年齢: 0歳〜約2歳
  • 特徴: 自分の感覚運動を通して世界を理解します。しまし、まだ言葉や抽象的な思考は使えません。
  • 重要な獲得能力:
    • 対象の永続性 (Object Permanence): 目の前から物が消えても、それが存在し続けることを理解する能力です。そして、これが獲得されると、「いないいないばあ」で喜ぶようになります。

前操作期 (Preoperational Stage)

  • 年齢: 約2歳〜約7歳
  • 特徴: 言葉やシンボルを使って思考できるようになります。しかし、論理的な思考はまだ未熟です。
  • 重要な特徴:
    • 自己中心性 (Egocentrism): 自分以外の視点から物事を考えることが難しいです。つまり、他人が自分と全く同じものを見ている、感じていると思い込みます。
    • アニミズム (Animism): ぬいぐるみや太陽など、無生物にも命や感情があると考えます。

具体的操作期 (Concrete Operational Stage)

  • 年齢: 約7歳〜約11歳
  • 特徴: 具体的な物事経験に基づいて、論理的な思考ができるようになります。
  • 重要な獲得能力:
    • 保存の概念 (Conservation): 見た目が変わっても、量や体積は変わらないことを理解する能力です。
      • 例:水を背の低いコップから細長いコップに移し替えます。それでも、水の量は同じだとわかります。
    • 脱中心化: 他人の視点から物事を考えられるようになります。つまり、自己中心性からの脱却をします。

形式的操作期 (Formal Operational Stage)

  • 年齢: 約11歳〜成人
  • 特徴: 抽象的な概念仮説に基づいた思考(論理的、科学的思考)ができるようになります。
  • 重要な獲得能力:
    • 仮説演繹的思考: 可能性をすべて考慮します。そして、論理的な結論を導き出します。
    • 未来や理想といった抽象的な概念について深く考えることができます。

子育ての悩みへの応用例

 ピアジェの感覚運動期前操作期は、親が戸惑いやすい行動が多く見られます。そこで、この2つの段階に焦点を当てて応用例を解説します。

感覚運動期(0〜2歳)の悩み:見えなくなると泣き叫ぶ

 この時期の最大の課題は、対象の永続性を獲得することです。

  • 実際の悩み:
    • 親が部屋から少しでも離れると泣き叫びます。そして、「後で戻るよ」と言っても通じません。
    • また、おもちゃを布で隠すと、消えてしまったと思って探しません。
  • ピアジェ理論の視点:
    • 対象の永続性がまだ未発達です。それゆえ、「目で見えないものは存在しない」と本気で思っています。つまり、子どもにとって、親が視界から消えることは、親という存在がこの世から完全に消滅したことと同じくらいの危機なことになります。
  • 親へのアドバイス:
    • 「いないいないばあ」や「隠したおもちゃを探す遊び」を積極的に行います。そして、対象の永続性の獲得を促します。
    • 部屋を離れる際は、「すぐ戻るよ」という言葉だけにはしません。例えば、をかけ続けたり、何か目印を残したりします。そして、親の存在が完全に消えてないことを知らせて安心させることが必要です。

前操作期(2〜7歳)の悩み:わがままに見える言動

 この時期の思考の特徴に自己中心性アニミズムがあります。そして、これが親子の間で誤解を生みやすい原因となります。

自己中心性(Egocentrism)

  • 実際の悩み:
    • 「あの子が悲しんでいるから、おもちゃを貸してあげなさい」と言います。しかし、なぜか頑として拒否します。
    • 自分が「見えない」場所に入ります。そして、その場合には相手からも自分が見えていないと思い込んでいます。
  • ピアジェ理論の視点:
    • 子どもはまだ脱中心化ができていません。そして、そのため「他者の視点に立って考える」ことが認知的に難しい状態です。つまり、相手の感情や視点は、自分のそれと同じだと無意識に思い込んでいます。
  • 親へのアドバイス:
    • 無理に「相手の気持ちになりなさい」と説教はしません。そして、それよりも具体的な状況を説明します。例えば、「(友達の)太郎くんは、おもちゃがなくて泣いているね」と感情を言葉にして教えます。つまり、共感ではなく事実の認識を促すようにします。

保存の概念の未獲得と集中(Centration)

  • 実際の悩み:
    • 細長いコップのジュースの方が、太いコップのジュースより量が多いと信じて疑いません。
    • ケーキを半分に切ると、切る前よりも「数が増えた」と喜びます。
  • ピアジェ理論の視点:
    • 保存の概念が未獲得なため、形や高さという一つの側面に意識が囚われてしまいます。そのため、量や体積が変わらないという論理的な関係(可逆性)を理解できません。
  • 親へのアドバイス:
    • この時期に理論的に間違っていると説明しても理解できません。つまり、遊びや体験を通じて論理に触れさせることが重要になります。例えば、同じ量に見えるように自分で移し替えさせるなど、操作を通じて学ばせます。

具体的操作期(7〜11歳)の悩み:なぜ?が増える

 この時期は論理的思考が急速に発達します。しかし、抽象的な議論にはまだ限界があります。

  • 実際の悩み:
    • 正義や平等といった抽象的なルールについて、理屈っぽい質問が増えます。
  • 親へのアドバイス:
    • 具体例実体験を交えて説明します。そして、抽象的な概念を具体的な事象に結びつけてあげます。また、「なぜそう思うの?」と質問します。そして、子どもが導き出した論理を尊重します。これにより、論理的思考の発達を促します。

まとめ

 ここまでピアジェの認知発達理論は、子どもの思考や知性がどのように発達していくかについて、その理論がどのようなものか、認知発達の4段階、子育てへの応用例などについて説明しました。まず、ピアジェの認知発達理論の基本について、理論の核心であるスキーマと適応について説明しました。次に、認知発達の4つの段階の感覚運動期、前操作期、具体的操作期、形式的操作期を説明しました。そして、子育ての悩みへの応用例として、感覚運動期わがままに見える言動前操作期のわがままに見える言動という親が戸惑いやすい行動について説明しました。

 それぞれの発達段階で認知できることを理解していないと子供に対して間違った対応をしてしまう。そして、このことは全く知りませんでした。また、知っていたとしてもそれぞれ4段階のどの段階にあるか正しく知ることはすべての人にとって容易とは言えないような気がしました。そして、理解できる?感じられる人には、容易に理解できるのかもしれません。難しい一面を知ることができたと感じました。

 

 

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