PR

なぜ「話す時はため口、メールでは丁寧語」になるのか?

心理
スポンサーリンク

 対面しての会話の場合「おはよう!、よろしく!」で済むことがあります。しかし、メールの場合「お疲れ様です。〇〇の件、よろしくお願いします」になってしまいます。メールになると、手丁寧な文章になってしまうことがあります。このように「話す時はタメ口、メールでは丁寧語」という使い分けは少なからずされていると思います。特に、友人や職場の親しい同僚との間で行われているような気がします。しかし、単に「ビジネスマナーだから」という一言で片付けられる現象ではありません。

 また、この無意識の使い分けには、日本語のコミュニケーションにおける「非言語情報」の有無の違いがあります。そして、相手と本人の「関係性のデザイン」などという深い心理的な理由が隠されています。そこで、なぜツールが変わるだけで言葉遣いも変わるのか、会話における親密性と、メールにおける記録性という2つの側面から、そのメカニズムについて調べました。

 今回のブログでは、「話す時はタメ口、メールでは丁寧語」になってしまう要因について、話す時、メールという視点から調べましたので、以下に説明します。

話す時(タメ口が許容される理由)

「非言語情報」の存在

  • 話す時には、「非言語情報」が同時に伝わります。(非言語コミュニケーション) なお、非言語情報には、表情、声のトーン、ジェスチャー、アイコンタクトなどがあります。
  • タメ口を使っても、笑顔や親しげな態度があれば「これは敵意のない親愛の情だ」と捉えられます。そのため、相手に正確に伝わり、誤解が生まれにくくなります。
  • タメ口は「距離を縮めたい」「親しみを込めている」というメッセージになります。

リアルタイムな「空気」の共有

  • 会話は即時的です。それゆえ、相手の反応を見ながら、言葉の「強度」や「ニュアンス」を微調整できます。
  • 相手もタメ口で返せば、一気に親密な関係が築かれたと認識されます。

メール(丁寧語になる理由)

「言葉のみ」のコミュニケーション

  • メールは基本的に文字情報のみです。そのため、表情や声のトーンが伝わりません。そして、言葉そのものが持つ意味が全てになります。
  • タメ口や略語は「そっけない」「失礼だ」と誤解されるリスクが高まります。
  • 丁寧語は、非言語情報の欠如を補います。つまり、「あなたを敬っています」という姿勢を明確に伝えるための手段になります。

「記録」として残る性質

  • メールは残る文書です。それゆえ、後から見返される可能性があります。また、ビジネスではエビデンス(証拠)にもなります。
  • そのため、一時的な会話よりも、形式(フォーマルさ)が重視されます。そして、「失礼のない」文章の体裁を取ろうとします。

日本人特有の心理

  • 丁寧語を使うことで、「場」や「相手」への配慮を示す謙虚さの表現にもなります。

例外について

 例外について、LINE・チャットでタメ口が許容される理由親友とのメールや、社内のごく親しい同僚へのメールの2つの項目について説明します。

LINE・チャットでタメ口が許容される理由

 これは、ツールのリアルタイム性・即時性場の非フォーマル性が組み合わさっています。そして、「会話」に近い感覚を生み出しているためです。

        ツール(メール)の形式  >  関係性

 LINEやチャットがメールよりもインフォーマルな言葉遣いを許容する主な理由は、以下の2点に集約されます。

1. リアルタイム性・即時性による「会話」への接近
  • 用件の端的な伝達と即時応答: LINEやチャットは、短いメッセージをポンポンとやり取りします。そして、迅速な意思決定や情報共有を行うことに特化しています。これは対面の「会話」に感覚が近いものです。
  • 「場」の非フォーマル化: 即時性が求められる環境では、丁寧な敬語の挿入は「煩雑なもの」「手間に感じるもの」と認識されてしまいがちです。そのため、迅速性を優先し、形式を簡略化したタメ口や略語が自然と使われるようになります。
2. メールの「記録性・公文書性」との違い
  • 記録性の低さ(心理的): メールが「記録として残る正式な文書」です。これに対し、LINEやチャットは「流れていく一時的なやり取り」という心理的な認識が強いです。それは、特に日常的なやり取りの場合に言えます。
  • 非言語情報的な要素: スタンプや絵文字の使用が一般的になっています。そのため、対面会話のように感情のニュアンス親密さを文字以外で表現しやい環境になっています。そして、タメ口を使っても誤解を避けやすい環境が整っています。

 要するに、LINEやチャットは、スピードを重視する「対話の場」として認識されており、そのスピードに合わせる形で、言葉遣いも最もシンプルで親密な「タメ口」が許容されやすくなるのです。

親友とのメールや、社内のごく親しい同僚へのメール

          ツール< 親密さ :関係性が優先される理由

1. 「内輪のルール」の適用
  • 関係性の再定義: メールには「フォーマルで記録性が高い」という特性があります。しかし、LINEなどでは送り手と受け手の間で共有されている「私たちは親しい関係である」という共通認識が最も強いルールとして適用されます。
  • 心理的な安心感: 非常に親しい間柄では、「この程度で失礼には当たらないだろう」「相手は自分の意図を理解してくれるだろう」という心理的な安心感があります。そのため、定型的な丁寧語を省略するコストを回避します。
2. コミュニケーションコストの削減
  • 煩雑さの排除: ごく親しい同僚との日常的なやり取りにおいて、毎回「お疲れ様です」などの定型文を使うのは非効率で煩雑になります。
  • スピード重視: 用件だけを端的に、かつスピーディーに伝えたい場合、敬語や丁寧語を排除する方が効率的です。
3. 親密さの確認・強化の機能
  • あえてのタメ口: フォーマルなツールであるメールで「あえて」タメ口を使う行為は、親密さを再確認・強化する機能も持ちます。「私たちは形式的な敬意を払わなくてもいいほど親しい間柄だ」という

整理

  • 通常:      ツール(メール)の形式  >  関係性
  • 親しい間柄:   関係性の親密さ     >  ツール(メール)の形式

内容の整理

1. コミュニケーションの「距離感」の違い

  • 話し言葉は相手の表情や反応を見ながら話します。そのため、親しみやすさやリズムを重視されがちになります。
  • メールは非対面で、相手の反応が見えません。そのため、誤解を避けるために丁寧な言葉を使う傾向があります。

2. 媒体の「フォーマル度」の違い

  • メールは記録に残ります。そのため、社会的に「ちゃんとした言葉を使うべき」という意識が働きます。
  • 話し言葉は一時的で、カジュアルな場面ではくだけた表現が自然になります。

3. 相手との関係性の「再確認」

  • 話している時は相手との関係性(友達、同僚など)を肌で感じています。そのため、ため口でも違和感がありません。
  • メールでは改めて「この人に対してどういう立場で接するべきか?」と考えます。そのため、敬語になることが多いです。

4. 自己表現のモード切り替え

  • 話す時は「自分らしさ」や感情が前面に出やすくなります。
  • メールでは「社会人としての自分」や「礼儀正しい自分」を意識します。そのために、言葉遣いが変わってしまいます。

まとめ

 ここまで「話す時はタメ口、メールでは丁寧語」になってしまう要因について、話す時、メールという視点から説明しました。まず、話す時にタメ口が許容される理由について、「非言語情報」の存在とリアルタイムな「空気」の共有という視点から説明しました。つぎに、メール使用時に丁寧語になる理由について、「言葉のみ」のコミュニケーション、「記録」として残る性質と日本人特有の心理から説明しました。

 そして、「タメ口と丁寧語」の使い分けは、マナーという意味合いは薄いものでした。そして、相手との関係性をどうデザインしたいかリアルタイム性かなどのそのツールが持つ特性に応じて選ぶものでした。つまり、最も誤解が少なく、円滑なコミュニケーションを選ぶためものでした。そして、使い分けは決して二枚舌ではなく、相手への配慮と、ツールの特性を理解した上での賢いコミュニケーション術でした。このような心理が無意識に働いていたとは意外でした。そして、こんなことを無意識にできているなんてすごいと思いました。

 

関係ブログ

コメント