PR

なぜ日本のお札に「NIPPON GINKO」とローマ字で書いてあるの?

その他
スポンサーリンク

 日本のお札には「NIPPON GINKO」という言葉が使われています。つまり、英語表記の「Bank of Japan」ではないのです。昔、一瞬気になったことはありましたが、例のごとく、そういうものだと思い込んでいました。しかし、よく考えてみれば、外国人が使うにも関わらず英語が使われていません。「NIPPON GINKO」はローマ字表記で英語表記の「Bank of Japan」ではない。そこでなぜ日本銀行券にローマ字の「NIPPON GINKO」が使われたかを調べました。

国際的な通用性を意識した表記

 「日本銀行」の英語表記は一般的に「Bank of Japan」です。しかし、お札にはあえて日本語の音のローマ字「NIPPON GINKO」が使われています。

 これは、日本の紙幣が海外で流通、外国人が日本の紙幣を手にすることを想定しています。その際、「このお札は日本の『日本銀行』発行」ということが一目でわかるようにしています。

 英語に訳してしまうと、どの国の銀行が発行したのかが分かりにくくなる可能性があります。しかし、固有名詞「NIPPON GINKO」という表記で、日本の紙幣を明確に示しています。

歴史的な背景

 「日本のお札」と一口に言っても昔と今では異なります。つまり、明治時代発行の初期紙幣に「日本銀行券」という表記はありませんでした。

 明治時代には、アメリカの「ナショナル・バンク」に倣って設立された国立銀行がありました。そこでは、それぞれ独自の紙幣を発行していました。しかし、西南戦争などで紙幣が乱発されました。その結果、インフレーションが起きたため、紙幣の価値が安定しなくなりました。

 そこで、明治15年(1882年)に、日本で唯一の紙幣発行銀行の日本銀行が設立されました。そして、日本銀行発行の紙幣に、その証明として「日本銀行券」表記がされるようになりました。

 はじめから、国際的な通用性を考慮して、ローマ字での表記が採用されたと考えられます。

補足

偽造防止のための「マイクロ文字」

 現在使用されているお札には、偽造防止技術があります。そして、お札の偽造防止技術の一つに、非常に小さな文字を印刷する「マイクロ文字」があります。この「マイクロ文字」に「NIPPON GINKO」というローマ字表記が使用されています。

 現在のお札には、ルーペを使わないと読めないほど小さな文字で「NIPPON GINKO」が印刷されています。この技術は、肉眼では模様や線にしか見えません。しかし、精巧な印刷技術がなければ再現が難しいため、偽造防止に非常に効果的です。また、多くの国のお札にも同様のマイクロ文字が使われています。

まとめ

 ここ最近は、紙幣が新しくなっても「NIPPON GINKO」の表記を単なるデザインとして捉えていました。そして、英語表記の「Bank of Japan」でないことに疑問をもつこともなくなってしまっていました。しかし、ローマ字「NIPPON GINKO」の使用の背景は、明治の時代に日本の紙幣が海外で流通、外国人の使用を想定されたものでした。それは、音の「ニッポン」を含めて記号化して認識してもらうという意図があったかもしれません。そして、この思想が現在でも変わらず使用されている凄さを感じました。また、偽造防止に使われるまで色々の役目を果たしています。これは、日本のお札の信頼性を守るための工夫であることを認識しました。

 

関係ブログ

コメント